近年、最も強烈に記憶に残るGⅠといえばフェブラリーS。これは以前にもこのコラムで書いた通り。ただ、有馬記念もまた、他のGⅠとは違う特別な思いで迎える大一番。理由は単純明快、“総決算”だから。このレースだけは“理屈”ではなく、“感情と思い入れ”がすべて。で、今年。自分にとってその対象だったのがペルーサでした。
▼草原を駆けるが如く……のはずだった
其処彼処から「やっぱり」の声が飛んできそうですが、「やっぱり」その通りです。真面目にコツコツと走る馬もよし。だけど、コツコツという表現とは程遠い、いつ走るか分らない、でも、その気になったらとんでもない脚を見せてくれる。そんなペルーサには、多くの人々の心を捉えてやまない魅力がある。まさに自由奔放。その名前が、あのディエゴ・マラドーナの愛称というのも、いかにもこの馬らしい……。
出遅れるペルーサ、大外を回るペルーサ、それでも草原を駆けるが如く飛んでくるペルーサ。これが想定していた2011年のラストシーン。なので、自分にとっての2011年は土曜の朝にもう終了。実にあっけない幕切れでした(笑)。
一方、実際のドリームマッチの結末は、オルフェーヴルが食い下がる4歳勢を押さえ込んで四冠を達成。新たな時代の到来を告げました。
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▼有馬記念の後はしみじみとするもの
さて、その有馬記念が終わって約3時間。現在、美浦の事務所にいるのは自分ひとりだけ。姉妹紙の競馬研究も含めて、普段は30人からのスタッフが詰めるこの事務所を独り占め状態という、何とも贅沢な時間を過ごしています。競馬四季報冬号の出稿チェック完了を待ちながら(これがあるので帰れない)、何を考えているのかといえば、来年のこの時期のこと。
来年の話をしても鬼も笑わぬ年の暮れですが、「来年の暮れ」まではあと360日余り。笑い声が聞こえてきてむべなるかな……。
それはともかく、一年の総決算であるドリームマッチが終わる。その余韻の中で最終レースも終わる。夕闇迫る中、見上げれば宵の明星。「今年の競馬も終わったなあ」とため息をつく。有馬記念が花道だった馬がいれば(大抵いるけど)、その思いもひと潮。いま終わったばかりのドリームマッチをしみじみと振り返ってみる……。有馬記念が最終週施行となった昭和55年から、ずっとそんな思いで迎えてきたこのラストデー。
ところが来年の明日は、もう一日、競馬があります。この5回中山最終週は3日連続の開催で、総決算のはずの有馬記念はその中日。最終日がどんな番組なのかは知りませんが(阪神では阪神Cを施行)、この日を果たしてどんな気持で迎えるのだろうか?この“もう一日”が、どうしても自分の心にシックリとは収まらない……。
何というか、もうちょっと情緒的なものが大事にされてもいいのでは、というのが2012年の番組に対する率直な感想です。ちなみに、2013年の暮れもカレンダーでは3連休。果たして、そこでも“もう一日”があるのでしょうか?
まあ、そこまで考えていたら鬼も呆れて笑わんでしょう、では。
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(有馬記念から3時間後の誰もいない美浦編集部)
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