去る1月7日、JRAより2019年度JRA賞の受賞馬が発表された。投票権のない私は選考には直接、関わっていないが、概ね妥当な結果だったのかなと感じている。一番、票が割れた最優秀4歳以上牡馬も含めて年間を通して活躍した馬がバランス良く選ばれたようだ。そんな中で2018年度には年度代表馬と最優秀3歳牝馬に満票で選ばれたアーモンドアイが一部門も獲得できなかったのは残念だった。4戦2勝、海外GⅠ勝ちと秋の天皇賞を3馬身差で制したパフォーマンスは無視できるものではなかったが、何よりリスグラシューとの直接対決でデビュー以来、初の大敗を喫したイメージが悪過ぎるだけに致し方ないのだろうが。
「茫然自失です」が有馬記念を振り返った国枝調教師の第一声だった。軽い熱発があって予定していた香港遠征を取りやめて急きょ、参戦したレースだったが、ファン投票1位の支持に応えたもので中間の調整は影響を慎重に見極めたものだったし、2週間にわたって追い切りに跨ったルメール騎手の感触も良かった。実際、外から見ていても秋緒戦の天皇賞時よりも動きは数段、良く見えたのだったが。複合的な敗因。確かに初の中山コースや時計がかかる芝コース。コーナーが多くスタミナを問われる設定など、不安要素もあったのだが、それらを乗り越えてこそ、歴史的な名馬。幾分、肩入れした面もあったが、私も国枝師同様にアーモンドアイの勝利を信じ切っていた。だが、圧倒的人気馬ゆえに馬群の中には入れなかったし、1周目のスタンド前ではゴールと錯覚したのかいつもとは違う力みが見られた。「いつもは走り切って疲れが見られるのに今回は筋肉が硬くなって余分な力を使っていたようです」とは陣営のコメントだった。当然ながら力負けではないし、幸いにして馬体に傷みもなかったようだ。
過去にはシンボリルドルフやディープインパクトのように付け入る隙のない絶対王者もいたが、そこはデリケートな牝馬。ここまで崩れがなかったのが異例のものでライバルのリスグラシューなどは4歳秋まではGⅠ未勝利でそこから快進撃が始まったのだ。まだ、はっきりしたローテーションは発表されてないが、もう一年はその勇姿を目に焼き付けるチャンスがあるし、新たな課題が見つかったのもプラスと言えなくもない。4歳の昨年は色あせてしまった輝きを今年は取り戻してくれる。ある意味、ドラマチックな復活劇を期待しながら今年も取材していきたい。
美浦編集局 田村明宏
昭和46年6月28日生 北海道出身 O型
今週は京都でシンザン記念が行われるが、思えば2年前のこのレースこそがアーモンドアイの活躍に起点になったのだ。今年も有力な牝馬が何頭か出走を予定しているが、中でも注目は天皇賞馬フィエールマンの半妹にあたるルーツドール。東京のデビュー戦はノーステッキで5馬身差の圧勝。連勝可能。