今週の週刊競馬ブックでもカラーページで特集している通り、2019年のJRA賞が発表された。自分も票を投じた立場とあり、結果についての感想をちょっと書いてみたい。

 まずは2歳牝馬から。ここはレシステンシアで文句なし。この部門は唯一、満票という結果になったが、3戦3勝でGⅠ制覇とあれば、さすがに他馬に投票しようという気にもならなかったはず。

 続いて2歳牡馬。ここが一番頭を悩ませた。受賞したのは無傷の3連勝でホープフルSを制したコントレイルだが、サリオスも3戦無敗でGⅠ(朝日杯FS)を制覇。差し馬の展開になったなか、3番手追走から後続を2馬身半ち切った前走内容を評価。自分はサリオスに票を入れたが、ホープフルSの方が遅い時期に行われたこともあり、強く印象に残ったのだろうか、コントレイルが受賞となった。どちらが強いのか、直接対決する日が待ち遠しい。

 3歳牝馬は3冠レースがすべて異なる馬が勝利したため、ここもなかなか難しかった。桜花賞、オークスで3着。秋華賞優勝で悲願のGⅠタイトルを手にしたクロノジェネシスも考えたが、阪神Cで古馬相手に5馬身差の圧勝を収めた桜花賞馬のグランアレグリアとした。スプリント路線でもやっていけそうな印象があるだけに、今年のローテーションも気になるところ。

 3歳牡馬も3冠すべて異なる馬が優勝。GⅠ級を2勝しているクリソベリルに入れるという裏技もあったが、この馬は最優秀ダートで投票することとしてアドマイヤマーズに投票。パッとは思いつかないかもしれないが、NHKマイルCと香港マイルのGⅠ2勝は堂々たる成績。この馬が受賞すると思っていただけに、サートゥルナーリアはあまりにも意外な結果だった。僅か17票差という大接戦だったようだが、2着とはいえ最後の有馬記念で2着というのが評価されたのか。GⅠはひとつしか勝っていないだけに、これはウーンと首をひねる結果だった。

 4歳以上牝馬。ここでアーモンドアイに入れ、年度代表馬はリスグラシュー。スターの牝馬2頭が仲良く受賞してめでたしめでたしというシナリオを思い描いていたのだが、年度代表馬はどこかの部門で投票した馬しか選べないということを今回の投票作業をしている最中に知った。そうなってくると、この部門も直接対決の有馬記念で完勝したリスグラシューに入れざるを得ない。結局アーモンドアイは今回は受賞できず。GⅠ2勝で昨年もファンを魅了してくれただけに、特別賞か何かをあげてもという気はしたが…。まあ、こちらは今年も現役を続行するだけに、また頑張ってもらいたい。

 4歳以上牡馬に関しては、一瞬どの馬に投票すればいいのだろうという思いになった。香港で無類の強さを見せつけたウインブライトが受賞。自分もこの馬に投票したが、いろいろ調べてようやくこの馬にたどり着くという感じだった。スマホで投票する際にはご丁寧に今年のGⅠを勝った馬(海外含む)の一覧を表示してくれるので、それを見てなるほどこれがいたかと思った人もいたのでは。それだけ牝馬の活躍が目立った一年だったともいえるのかも。

 最優秀短距離馬は春秋のマイルGⅠを制したインディチャンプで文句なし。ただ、この部門はマイルとスプリントを一緒にして考えないといけないので、場合によってはかなり難しくなりそう。高松宮記念とスプリンターズSを勝った馬が異なったため投票はしやすかったが、どちらの路線も春秋制覇する馬が現れたら、めちゃくちゃ悩むだろう。最優秀スプリンターという部門を新たに設立してもいいと思うのだが。

 最優秀ダートホースはチャンピオンズCを勝ったことでクリソベリルが一躍浮上。自分も迷いなく投票した。無敗とはいえ、このレースを勝つまではそれほど強い相手と対戦していなかっただけに半信半疑だったが、ゴールドドリーム、インティといった中央のダートGⅠホースをなで切った内容は立派のひと言。今年は海外遠征も予定されているようだが、どんな走りを見せてくれるのか楽しみでならない。大井のビッグレースを2つとも勝ったオメガパフュームが受賞できなかったのは気の毒だったが、NARグランプリの方でダートグレード競走特別賞を手にしたようなので良かった。

 中山GJと中山大障害の優勝馬が異なったため、軽く迷った最優秀障害馬だが、年間を通して障害レースで活躍。JGⅡ、JGⅢもそれぞれ1勝していることからシングンマイケルに投票。オジュウチョウサンにもそれなりに票は入ったが、しっかりとした差をつけての受賞となった。オジュウは再び障害路線に戻ってくるよう。この2頭の直接対決が見られるようなら、またかなりの盛り上がりを見せるだろう。

 最後に年度代表馬。これはリスグラシューで文句なし。満票とはいかなかったものの、圧倒的な票を集めての受賞となった。有馬記念であれだけ強烈な走りを見せつけられると、自分も素直に投票する形となった。引退は残念だが、今度は繁殖牝馬としての活躍を期待したい。余力をたっぷり残しての引退というのは、いい方に出そうな気がする。

 専門紙という立場上、自分はまだ投票権をもらって3年くらいしか経っていないが、どの馬に入れようかなあと1年を振り返るのは楽しいもの。よほどのことがない限り「該当馬なし」は使用せず、今年の年末も一票を投じたい。

栗東編集局 青木行雄

 

青木行雄(調教担当)

昭和44年8月7日生 大阪府出身 A型

1993年入社。坂路調教担当。札幌開催時と西のローカル開催では本紙予想も担当。開催日はMBSラジオ「GOGO競馬サンデー!」、BS11「BSイレブン競馬中継」に出演。今週から試練のダブル開催スタート。小倉→中京と9週間行われ、1週の中休みがあり(と言っても金、土、日の3日間開催)高松宮記念でフィナーレを迎える。この冬は記録的な暖かさとあり、積雪での中止を心配する必要はなさそう。中休みウイークは週末に休暇を頂いて、北海道旅行を…なんてことも考えているが、堂々と休ませてもらうためにも小倉の本紙予想を頑張りたい。