3年ぶりに京都競馬場で行われた天皇賞。入場券も含めてチケットは完売。最終的には45,580人ものお客さんが来場され、物凄い盛り上がりを見せた。グランドオープンの初日も1Rのファンファーレで拍手が起きる現象が起きていたが、この日は最初から最後までそれが継続。やはりGⅠデーは違うなという印象を受けた。
ラジオの本番が始まるまでに場内も少し歩いたが、ゴールサイドスタンドの1、2階は凄い混雑。3階はスマートシートのチケットがないと上がれないのは意外だった。屋外で座席だけのスマートシートなんて買っても買わなくても一緒なのではと思っていたが、こういうルールがあるのなら買っておく価値はありそうだ。
この日は友人が京都競馬場に遊びに来ていたか、入手できたのは入場券のみ。かすうどんを買うのも長い行列。あと、女子トイレでなく、男子トイレが異常に並んでいたそう。逆の光景は球場やライブ会場でよく見かけるが、これはちょっと意外だった。あとステーションサイドのスタンドは昔のままでフリーエリアが多いので、結構わやくちゃになっていたらしい。
最終レースが終わってその友人たちと合流したが、長澤まさみさんのトークショーが終わっていたにもかかわらず、昔のパドックがあったところの芝生広場は人でいっぱい。何をしているのだろうと思ったが、そこにはビジョンが設置されているのでみんな香港のレースを観戦していたようだ。帰る人が分散してくれるという点で、この海外レースがあったのは良かったのかも。改札制限はしていたが、そこまで電車が混み合うこともなかった(大阪方面がどうだったかは知らないが)。
天皇賞のレースの感想も書かねば。日経賞での悔しさがあったこともあり、1週前の時点では本命アスクビクターモアと考えていた。調教の動きも絶好。ただ、考えれば考えるほどに先行馬には厳しそうなメンバー構成。差し馬を狙うのがベターと考え、ボルドグフーシュに本命を打つことにした。対抗以下も差し馬を中心にピックアップ。アスクビクターモア、タイトルホルダーは押さえの評価にとどめることに。
当日のパドック。ラジオでも話したが、タイトルホルダーは馬体はいいものの、前走時ほどの前向きさが感じられなかった印象。返し馬も妙に捌きが硬く、どうなんだろうという気持ちになった。本命にしたボルドグフーシュはパドック、返し馬ともにいい感じ。
大歓声とともに発走。タイトルが押して行く構えを見せるも、その外から強引にアフリカンゴールドがハナへ。この馬は一歩目がそう速くないが、大外枠の分、前に入られることがなかったのでこの形に持ち込めた。1分を切るペースで最初の1000mを通過したが、タイトルも2番手に収まったので宝塚記念のパターンを考えると悪くないのかなという印象。ただ、誤算だったのはアフリカンゴールドがあまりにも速く失速したことかも(心房細動)。1コーナーでは早くも先頭に立つ形となってしまった。
また、アイアンバローズも早めにプレッシャーをかけてくる形。4角手前でタイトルが馬群にのみ込まれていった際には悲鳴のような歓声が上がっていた。ただ、一気に下がってしまったのには驚いたが、前がキツくなる展開は予想していた通り。さあボルドグフーシュ差して来いという形だったが、最後のひと伸びを欠いて6着止まり。少し距離が長かったのか、或いは意外と短い直線の方がいいのか。人気落ちが予想されるので、逆に宝塚記念が狙い目なのかもしれない。印的には二重三角→三角→対抗での決着。シルヴァーソニックを本命にしておけば、動画も当たっていたのだが…。まあまあいい線での予想はできていたので、悔しい結果となった。消耗戦になることは予想通りだったので、ディープボンドにもっと大きい印を打っても良かったなとも思った。しかし、ディープボンドは今回、勝負どころの押っつけ押っつけがまったくなかった。坂の下りで勢いをつけられる京都は合っているのだろう。
2頭の競走中止と大差遅れで入線後に下馬という事案が発生し、レース終了後の京都競馬場はちょっと重い空気になっていた。競走中止の2頭は命に別状はなかったようだが、トーセンカンビーナは厳しい結果が待っていた。かなり過酷なレースだったと言えるだろう。そんなレースを制したジャスティンパレスは今後が楽しみ。4歳になって馬体も増え、完全に充実期に入ったのでは。ルメール騎手にはイクイノックスがいるだけに、鞍上がどうなっていくのかも気になるところ。
今回はみんなが笑顔になれるような結末ではなかったが、やはり2度の坂越えがある京都での天皇賞は見応えがある。来年も好メンバーで熱い戦いが繰り広げられることを期待したい。
青木行雄(調教取材担当)
昭和44年8月7日生 大阪府出身 A型
1993年入社。坂路調教担当。北海道開催時と西のローカル開催では本紙予想も担当。開催日はMBSラジオ「GOGO競馬サンデー!」、BS11「BSイレブン競馬中継」に出演。京都競馬が再開されて久しぶりにBS11のパドック解説の出番が回ってきた。動画は毎週録っているものの、やはり本当のテレビは緊張する。ここまで2週終わったが、まだ大きな当たりがない現状。今週あたりは奮起して、金のお花を胸につけたいものだが。