例年、年明けの1回目のコラムではJRA賞に関連するテーマを書いてきたが、今年はちょうど昨日、各受賞馬が発表された。そのタイミングで触れない訳にもいかないので触れさせてもらう。年度代表馬は大方の予想通りドウデュースが受賞。有馬記念後の引退式が行われなかったのは残念だが、結果的にラストランになったジャパンカップも勝利で終わり、同期のイクイノックス引退後の最強馬のポジションを引き継いだ。可能性では言えば秋の古馬三冠達成も十分あったのではないかと思っている。直接対決の結果では4回対戦して先着したのは一度だけだが、その1回がダービー。個性の違いこそあったが、ポテンシャルは互角だったと言っても差し支えなさそう。
昨年末はそのドウデュースに加えて有馬記念がラストランになったシャフリヤール、スタニングローズ、スターズオンアース。更に最優秀ダート馬に選ばれたレモンポップと有力馬の引退が相次いだ。私が直接、取材した馬で言えばスターズオンアース。5歳の昨年は思うような結果を出せなかったが、貴重なドゥラメンテの血を残す大事な役割があるだけに最後のレースも無事に走り終わって引退できたのは何よりだと思っている。冒頭の年度代表馬に話を戻すと近5年は秋の天皇賞の勝ち馬がその座につくことになった。ひと昔前に比べればマシになったが、東京芝2000メートルと言えば枠順のバイアスが大きく能力検定に相応しくないとか賞金面でジャパンカップや有馬記念に劣るとなどと評価が微妙な時期もあったが、さすが伝統のレース。振り返るとそれ以前でもフロックで勝った馬などはなかった。
馬場状態の違いや前半のペースに左右されるので比較は難しいところだが、天皇賞の走破タイムから推し量ると2018年以降はそれ以前に比べてレベルが一段階上がっていると思う。7年ぶりに1分56秒台の決着になったその年は後半5ハロンが2秒速い、スローに近いラップだった。それ以前の56秒と言えば、2011年のトーセンジョーダンだったが、当時はシルポートが大逃げして前半の5ハロンが3秒も速いハイペース。結果的にレース上がりも35秒8を要して言わばバテあいのスタミナ比べに近い内容だった。その後、レコード更新になった2023年は後半5ハロンの方が0秒2速い平均ペース。まったく中身は違っていると言っていい。更にイクイノックスで強調できるのは血統表の2代前までが内国産で占められている点。これは純粋に日本馬のレベルが上がっていると言っていいだろう。日本競馬にエポックメイキングをもたらしたサンデーサイレンスも既に曾祖父の時代になっている。今年の年度代表馬は何か?さすがにこの問いに答えるほどの予知能力は持ち合わせていないが、相次いだスターホースの引退を名残惜しむ時間もないほどに新たな名馬が誕生する予感しかしない。
美浦編集局 田村明宏
田村 明宏(厩舎取材担当)
昭和46年6月28日生 北海道出身 О型
お屠蘇気分も抜けない中での3日競馬。日曜は雨もしくは雪の予報もあり今から戦々恐々としているが、今週の注目馬はフェアリーSを予定のモルティフレーバー。晩生のキタサンブラック産駒だけに良化はまだ先だろうが、前走は牡馬相手の2000メートル戦だったし、輸送で馬体を減らしてスタミナ切れしていた。立て直してマイル戦なら一変があっても。