こんにちは、栗東の坂井です。

 先週土曜の朝、広瀬TMから一通のLINEが届きました。

「オープンまで行った馬で1番人気になったことがない馬って調べられますか?ボンセルヴィーソ以外にいるのでしょうか」

 探偵ナ○トスクープのお便りのようなメッセージですね。「気になる小ネタは坂井に振れ」というルールでもあるかのように、質問に名を借りたこのような「調査指令」が私の元には各所から下ります。ついに後輩からもやってきました。

 先日から想定班(厩舎を回って関係者に取材する担当)に配置換えになった広瀬TMの担当厩舎のひとつが池添学厩舎。そこに所属していたボンセルヴィーソが競走馬登録を抹消しました。ボンセルヴィーソといえば「好走してもなかなか人気を集めない、馬券ファンにはありがたい馬」の一頭。45走にのぼるキャリアのなかで、1番人気に推されたことは1度もありませんでした。そこで冒頭の調査指令です。

 そんなことを言われたら調べずにいられない私の性分を、会社で隣に座っている広瀬TMは分かっているのでしょう。いやらしいヤツです。何頭分調べなアカンねん、と思いつつも素直に調べる私。いい先輩ですね。確かにそんな馬そう多くはないだろう……と思ったらとんだ思い違い。調べたら出るわ出るわ……そのままお蔵入りするのももったいない、ということで、ここでご紹介したいと思います。

 以下は、1番人気に推されたことのないオープン馬のJRAでの通算出走回数ベスト10(坂井調べ)です。調査対象は、86年以降にデビューしたJRA所属馬(マル地は除く)。JRA最終出走が平地オープンクラスであることを条件とし、出走回数はJRA所属時のみとしました。ピックアップ漏れがありましたらご容赦ください。あくまでも話題のタネ程度のものです。

【1番人気経験のないオープン馬の出走回数ランキング】
① 89走/ファンドリリヴリア
② 63走/ダイタクウイナー
② 63走/セイカプレスト
④ 62走/イケドラゴン
⑤ 59走/サングラス
⑥ 58走/ブリリアントロード
⑦ 57走/キングハート※地方現役
⑧ 56走/ネコパンチ
⑨ 54走/ゲンキチハヤブサ※地方現役
⑨ 54走/シンゼンレンジャー
⑨ 54走/トキノゲンジ

 ボンセルヴィーソの45走は23位あたりに位置します。4位のイケドラゴンは地方転出後に1番人気に推されたことがあるので厳密にはここに入らないのですが「JRA所属時にはそうだった」というデータとしてご覧ください。ちなみに、今も地方で現役の2頭のうちキングハートは地方転出後未出走なのですが、ゲンキチハヤブサは地方で16走(8月17日現在)して未だに1番人気がありません。これを足せば70走になります。

 それをもってしても越えられない壁がファンドリリヴリアです。

▲89走して1度も1番人気がなかったファンドリリヴリア(98年4月19日阪神11R難波S。鞍上は小池隆生騎手)

 98年まで現役を続け、その年の春には天皇賞で南井克巳騎手を背に積極策に打って出た(10着)ので記憶に残っておられる方も多いでしょう。私も好きな馬の一頭でした。2番人気には9度推されたことがありますが、1番人気は1度もありませんでした。

 今回調べていて意外だったのは、JRA重賞勝ち馬にも1番人気未経験馬がいるということ。それも重賞勝ちが1回や2回ではない馬もいたので、そちらもご紹介します。

【1番人気経験のないJRA重賞勝ち馬の出走回数ランキング】
①58走(2勝)/ブリリアントロード
②57走(1勝)/キングハート
③56走(1勝)/ネコパンチ
④48走(1勝)/キクノストーム
⑤47走(5勝)/マイソールサウンド
⑥46走(1勝)/ドモナラズ
⑦43走(3勝)/ユーセイトップラン
⑧41走(6勝)/クラレント
⑨39走(3勝)/デンコウアンジュ
⑨39走(1勝)/マキハタサイボーグ

 カッコ内は重賞勝利数。どの名を聞いても「ホントに1番人気になったことがないの?」という馬ばかり。クラレントなどは2歳時、2戦目で重賞勝ちを収め、そこから5歳までに重賞を6勝、GⅠ3着も2回ある実績馬。それだけ強い馬たちと戦い続けたということでしょう。ちなみに最終出走レースを平地に限らなければ、スズカデヴィアスが46走(豪州6走除く)でドモナラズと並ぶ位置に入ります。

 最後に、調べていて久々に名前を見かけたサンコメーテスという馬をご紹介したいと思います。関西で競馬をご覧のオールドファンなら多くの方がご存知なのではないでしょうか。

▲キャリア103戦を誇るサンコメーテス(99年4月25日京都7R。鞍上は村本善之騎手)

 JRA通算103戦、レース間隔が2カ月以上開いたのは1度だけというタフネスホース。この馬は3度のオープン出走経験がいずれも格上挑戦だったため今回の調査対象からは外れましたが、その103戦すべてが2番人気以下でした。「オープン出走歴がある馬」で絞ればこの馬がダントツです。この出走回数ですから、もっと遡ってもおそらくこれを越える馬はいないでしょうし、出てもこないでしょう。空前絶後、唯一無二の存在です。

 今回の調査をしなければまったく気づくことがなかったテーマでしたが、少しはお楽しみいただけましたでしょうか。以上、調査報告でした。

栗東編集局 坂井直樹

坂井直樹(調教・編集担当)
昭和56年10月31日生 福岡県出身 O型
サンコメーテスは私がファンとして見ていた時期の「新聞を開けばそこに名がある馬」の一頭です。ハートランドヒリュ、ナカトップトウコウ……長くコンスタントに走り続けた馬には、見ているだけでも愛着が湧くものです。懐かしい心境にさせられる調査でした。