気がつけば、今年も残すところあと1開催。そこで、いささか勇み足ではありますが2011年の10大ニュースを……。と、思ったのですが、あと1開催あればベストテン入りするような出来事のひとつくらいは起こる可能性が大。それが明るいニュースであることを願いつつ、ここでは一歩引いて、2011年の『9大ニュース』としてみました。

(1)大震災により東日本で7週の開催取止め
 多くの犠牲者が出た未曾有の大災害を軽々に語ることはできませんが、我々にとっても7週間もの開催取止めというのは異例の事態でした。福島競馬の年内休止、南部杯の東京施行など、震災絡みの一連のできごとが、やはり今年の一番大きな出来事といえるでしょう。

(2)ドバイWCで日本馬のワンツー
 3月26日ドバイのメイダン競馬場で行われた第16回ドバイワールドCで、ヴィクトワールピサが優勝。2着にはトランセンドが粘り込み、日本馬のワンツーという快挙が達成されました。このドバイワールドカップデーでは過去にハーツクライやアドマイヤムーンもGⅠ制覇を飾っていますが、最高峰であるワールドカップを日本馬が制したのは初めてのこと。また、日本馬にとってはシャドウゲイトの07年シンガポール航空国際C優勝以来、4年ぶりとなる海外GⅠ制覇となりました。

(3)オルフェーヴルが史上7頭目の三冠馬に
 10月23日京都の菊花賞でオルフェーヴルが優勝。セントライト、シンザン、ミスターシービー、シンボリルドルフ、ナリタブライアン、ディープインパクトに次いで史上7頭目の3冠馬に輝きました。ちなみに、着順掲示板を外した経験を持ちながら3冠制覇を達成したのは、ナリタブライアンに続いて2頭目ですが、同馬の着外経験は函館2歳Sの6着。まさに“一敗地に塗れる”といった二桁着順(京王杯2歳S10着)を経験しながらも、地に塗れたままでは終わらなかったのがオルフェーヴル。歴代3冠馬の中でも、異色の存在といえるかも知れません。

(4)スノーフェアリーが外国馬として初めて日本の同一GⅠ連覇
 11月13日京都のエリザベス女王杯で英のスノーフェアリーが優勝。外国調教馬として初めて、日本の同一GⅠ2連覇を達成しました。ちなみに、これまでこの記録に挑んだ外国馬は以下の通り。(まだいるかな?)

 ハーフアイスト     (1)→(4)(82~83年 ジャパンC)
 ペイザバトラー     (1)→(3)(88~89年 ジャパンC)
 ハートレイク      (1)→(12)(95~96年 安田記念)
 フェアリーキングプローン(1)→(9)(00~01年 安田記念)
 サイレントウィットネス (1)→(4)(05~06年 スプリンターズS)

 このほか、06年の安田記念に優勝したブリッシュラックが、1年置いた08年に再び参戦しましたが結果は14着に終わっています。それにしてもスノーフェアリー、去年も今年も腰が抜けるくらいに強かった!世界的な“牝馬の時代”を象徴するような、英の4歳牝馬による快挙でした。

(5)シンボリルドルフ、サクラバクシンオー、サッカーボーイが死亡
 シンボリルドルフの一番強烈な思い出といえば、ダービー翌日のあるスポーツ紙の一面(どこだったかは忘れた)。真ん中にドンとルドルフの写真があって、その上にデカデカと、本当にデカデカと「皇帝は来た」の見出し。これには痺れるくらい感動したものでした。ハラハラさせてドキドキさせて、そして最後にやってきたシンボリルドルフ。「皇帝は来た」の五文字にあのダービーのすべてが集約されている、いま振り返ってもつくづくそう思います。ルドルフの死は10月4日、その3日後の7日にはサッカーボーイが死亡。遡ってその半年前、4月30日にはサクラバクシンオーも死亡。
 昭和は遠くなりにけり……。いや、バクシンオーは平成でした。

(6)ジャパンCで日本馬が連勝記録を更新
 11月27日東京で行われたジャパンCでブエナビスタが優勝。これにより、日本馬の連勝記録は“6”となりました。そして、またしても日本馬が着順掲示板を独占。凱旋門賞5馬身差圧勝のデインドリームでも、日本馬の優位を覆すことはできませんでした。
 ところで、ジャパンCの上位3頭の年齢は5、5、7歳。昨秋~今春の一連の古馬戦線の結果を受けて、現4歳世代を少々持ち上げ過ぎたかなと反省。宝塚記念、秋の天皇賞、そしてこのジャパンCと年長世代の貫録勝ちが続いています。

(7)WIN5がスタート
 挑戦は続けてまいす、WIN5。4月24日にスタートしたこの新馬券、とにかく反響の大きいこと。あっちでもWIN5、こっちでもWIN5、かくいう私もその一人。その配当の大きさに「宝くじ感覚」との声がある一方、選んだ馬が2着や3着ではダメなのだから、「これぞ勝負ごとの本質」という考えもあるようです。自分は楽しめればそれでOK(笑)。
 ちなみに、5週目の5月22日には配当が初の1億円突破、6月26日には初のキャリーオーバー、9月4日には初の的中者ゼロ。この3回のうち2回で新潟の直線1000㍍競馬が絡んでいるのは果たして偶然か?まあ、偶然でしょうが。

(8)荒尾競馬の廃止が決定
 9月5日、熊本県荒尾市が荒尾競馬の廃止を発表。1928年の開設以来、84年の歴史に幕を閉じることになりました。ちなみに、この10年で廃止された地方競馬は、中津、益田、上山、足利、高崎、宇都宮、更には、北見、岩見沢、旭川。競馬をとりまく環境は厳しくなるばかり……。

(9)メジロ牧場が解散
 最後も淋しい話題になりましたが、5月20日、北海道洞爺のメジロ牧場が44年の歴史に幕を閉じました。1967年に故・北野豊吉氏が開業して以来、有珠山噴火による大きな被害を2度も受けながら、メジロティターン、メジロラモーヌ、メジロパーマー、メジロドーベル、メジロブライトらを輩出。その名門牧場解散の報には大きな衝撃が走りました。生産馬はまだしばらくターフを駆けることになりますが、牧場事業と同時に馬主からも撤退。白と緑の、あのお馴染みの勝負服の最後の勝利は、5月15日新潟4Rのメジロコウミョウとなりました。

 と、こんな感じで振り返ってみたこの1年、いや、11カ月。「いろいろあったけど最後に夢のような2分30秒が待っていた……」オーラスの有馬記念はまさに、そんなドリームマッチになって欲しいものです。
美浦編集局 宇土秀顕