先週、13日(金)はグリーンチャンネルの「トラックマンTV」に出演するため、東京・門前仲町へ。TV出演というのはいつまでたっても慣れないもので、周りのみなさんにとても親切にしていただいているのですが、“アウェー”感がたっぷり。出演依頼をいただいた時点で最初の緊張があり、2週前、1週前…とその時が近づくにつれ、ソワソワ落ち着かないものです。私なりの準備はこう。重賞レースを含めた特別戦が中心なので、日曜に前もって発表される特別登録で休日にまず下調べ。水、木曜の2日間で、日常業務と並行しながら、調教、過去のレースVTRチェックなどをして通常より半日ほど早い締め切りに合わせて予想を煮詰め、中央競馬PRセンターに◎○▲…の順番と、このレースのポイントは何だとか、どんな理由でこの馬を本命にしたのかだとか、ペースはどんな見立てなのだとかの原稿をFAXで送ります。原稿を送り終える目安が木曜19時。ほどなくして、担当の方から直接連絡があり、「山田さん、○レースのペース予想が抜けてました」「○レースの(印の順番を図で示した)分布図は、―――という意図ですか」などなど、鋭い突っ込みが2、3必ず入るのが定型パターン。「あ、すみません…」とか「これはこれこれこうです」と加筆修正をお願いし、これをクリアすると第一関門クリア。そこから先はいつものスタンスに戻ってトラックマンTVに放映されない土曜のレースと、東京への往来で時間配分が足りなくなってしまう日曜分の予想に着手。自分のリズムでほっとした気持ちになる瞬間といえます。ところで私の場合、「じっくりと時間をかけて考える」のがポリシーで、予想というのは、「時間をかけて当たるものではないけれど、時間をかけなければ当たらない」というのが持論。もちろん、ある1レースに限れば思いつきや勝負勘、ビギナーズラックで当たるし、ギャンブルなのだからそういった部分が重要な要素であることも承知ですが、専門紙のTMというのは、ひと開催で12レース×2日×4週間、96レースの予想をするのだからそれだけではまったくもって通じない。朝の早い3歳未勝利戦も、お昼ごはん時の障害レースも大事な1鞍として、大きな配当でなくとも、それが堅いレースだと判断すれば奇をてらわずに振り回さずに地道に的中を積み重ねていくものだという信念を持ってやってるわけです。まあ、時間をかけることが必ずしも好結果に結びつくとは限らないので正しいかどうかは分かりませんが、そういった考えのもと、「トラックマンTV」のスタッフの方にはお手間をかけて申し訳ないのですが、最終的に出した結論として金曜朝にふたつみっつほどの予想の修正をFAXします。過去にはこれが裏目に出て「自信の勝負レース」を外してしまったこともありますが、それは仕方ないですね。さて、本業である土曜日分の新聞作成を終え、雑務をこなして、軽く昼ごはんを食べると移動の時間。何故だか知らないけど、栗東から京都に逆走して新幹線で東京に向かうという行動が生理的に嫌いなので、草津駅から上って、米原駅から「ひかり」で東上。車中は音楽を聴いてぼんやりしたり、眠ったり、できあがったばかりの当日版を見ながらこんなことをコメントしよう…と考えたり。ここまでくると苦手なTV出演に対して「ま、何とかなるか」という割り切りや諦めに近い感情になって、少し落ち着いてきます。東京駅到着後は徒歩で東西線の大手町駅へ。学生時代の後半2年を都内で過ごしたので懐かしい気持ちになり、30分ほど駅構内をブラブラと歩くのですが、これが非常にいい時間に。自分を奮い立たせる意味とか、ご褒美をという大義名分があるのでいつもより財布の紐は緩く、何かしらを購入して、足早に大手町へと向かいます。門前仲町からスタジオまではほぼ一直線。途中にある焼き鳥屋で、帰りの新幹線用に2、3本見繕って、かばんの中にねじ込むのが本番前の最後のルーティーンで、それが済むといよいよ現場入り。到着するとすぐにプロの方にメイク、ヘアメイクをしていただき、出演者全員で50ページほどある台本に沿った打ち合わせが始まると襟を正す気持ちに。打ち合わせペースが速いのと、台本に書かれている質問が非常にシビアなうえに意表をつくものが多いことで、全身から冷や汗が出てくるのはもうしょっちゅう。この時、最後の緊張が走ります。全員でスタジオに移動して、座り位置の確認とマイク、カメラのチェック。5分ほどの猶予があり、しばらく置いてカウントダウン。たちまちスタジオ内が静まりかえり、1分前、30秒前……の声。
司会の五九楽師匠と小島友実さんがにこやかに。
「こんばんは――」。
栗東編集局・山田理子