平成から令和に改元して5カ月が過ぎ、昨日、天皇陛下が即位を宣言されました。その令和元年も、あと2カ月と少しで終わろうとしています。
一年を振り返るには少しばかり早いタイミングですが、2月に父が他界した後、別の親族(義理も含む)二人が立て続けに逝ってしまい、その後に拙著の出版、という、本格的に上半期は怒涛の数カ月になりました。
後半に入ると、多少落ち着いたとはいえ、久しぶりに訪れた北海道浦河地区で新鮮な衝撃を受け、新潟で足を運んだ北方文化博物館でも度肝を抜かれ、そして前回少しだけ触れたラジオ番組の件があったり。
そこにラグビーワールドCが開幕し、凱旋門賞があり、ですから、10月に入っても慌ただしかったというのに、今度は台風襲来による中止、順延騒動…。
光陰なんとか、本当に、アッと言う間です。
そのラグビーワールドCですが、結局、現地観戦は叶いませんでした。当然、友人や知人らから「どうして行かないの」と聞かれることもあったのですが。
と言うのも、ご存知かもしれませんが、私の場合、この手の、興味のある競技の国際大会が日本で行われ、それが関東圏から行ける場所、日程、という条件さえクリアすれば、足を運んでいるケースが多いからです。
長野五輪は勿論のこと、05年の長野スペシャルオリンピックスも、06年のバスケットの世界選手権も行きましたし、ラグビーに関しても、4~5年くらい前でしたか、セブンスのワールドシリーズ戦も観に行きました。ですから当然、今回も、の感覚は確かにあったのです。
どうしても日程と場所の問題があるため、なかなか難しいのが実情で、対戦カードを選ぶ、なんてことはできません。それでも、国際大会を観戦するのが主目的だとすれば、例えば9月24日のロシア対サモア戦。日本と同プールの対戦ですから、ある意味、観戦意義は十分あるカードです。それが火曜日(19:15)の熊谷ですから、翌朝が美浦とはいえ、行こうと思えば行けなくもありませんでした。しかも公式ページのチケット販売状況をチェックすると、前々日の22日まで購入可能だったのです。
なのに行かなかった理由はただひとつ。前日の23日月曜日に、園田競馬場で『サンクスホースデイズinそのだ』に顔を出さなくてはならなかったから。兵庫を日帰りして、翌日、熊谷の移動に怯んで…いや、これは言い訳か。
そう、言い訳をついでになりますが、ラグビーワールドCのチケットを売り出した年明け当初は、「今年の秋は、もしかしたら凱旋門賞に行くことになってるかもしれないし」なんて荒唐無稽なことを真面目に考えていた、ということがありました。結局叶わず終いですが、それもあってラグビーの方に気分的に乗り遅れた感もあって…。
「どうしても行きたかったら、行くしかないよ。時間も費用も、何とかなるものだから」
ある先輩にこう言われたのが心に刺さってしまいました。実際、ロシア対サモア戦を見送った件。後になってから「何やってんだかなあ自分」と思いましたから。
時間は限られていますし、タイミングというのは、間違いなくあります。
というわけで今回の本題、になると思いますが、ラジオNIKKEIで9月20日に放送された『鈴木淑子の地球は競馬でまわってる』の内容について。
拙著『吹けっ!白い風』を書くことになった経緯や内容について話をさせてもらった後、最後に用意していただいた質問に、「今後どう競馬と向き合っていくのか」みたいなことがありました。
これは本の売り上げの一部を、サンクスホースデイズを主催している『サンクスホースプロジェクト』に寄付することになっている点に絡めて、だったのだと思いますが、自分としてはもっと広義の意味に捉えていたのです。
ところが、その話した中身というのが、どうも〝サンクスホースプロジェクト〟に限った内容に収束してしまった気がして、しゃべり残した感がありました。勿論、『サンクスホースプロジェクト』ひいてはその上部団体である『ホースコミュニティ』の活動に、可能な限り寄り添っていきたい、という思いに偽りはありません。しゃべり残した感、というのは、「そのうえで」の話。
競馬専門誌の一社員として、競馬文化にどんなふうに関わるのか、がこれまでの課題でしたが、違う形の踏み込み方がないのか、要するに別の方法論はないのか、を模索して具体化させる必要があるだろう、と今は強く感じていて、そんなことを踏まえて競馬に関わっていきたい、と思うわけです(番組でもそう話さないといけなかった)。
結論なんて簡単には見つかりっこありません。
ただ、自分にできること、いや、できるかな?という幻想に過ぎないのかもしれませんが、そういう思いが少しでもあるのなら、やっぱり、やらなくてはならないでしょう。次に向けて、を考えるのに、いつまでものんびり構えてはいられないのかなあと。
秋が深まりつつある今日この頃、新語・流行語大賞にノミネートされたのは昨年でしたけど、やっぱり、ボーッと生きてちゃいけないなあと、しみじみ感じているところです。
美浦編集局 和田章郎
昭和36年生 福岡県出身 AB型
1986年入社。編集部勤務ながら現場優先、実践主義。競馬こそ究極のエンターテインメントと捉え、他の文化、スポーツ全般にも造詣を深めずして真に競馬を理解することはできない、がモットー。この秋、九州、北海道への遠征を敢行予定。気合を入れた体調管理をしなくてはと、これまでとは違った緊張感に包まれてます。