カンパニーの“燃ゆるとき”(宇土秀顕)

 

 

▼本題の前に……
   自分が使える注意力。何が苦手かといえば、これをバランス良く2つに振り分けること。発売以来、ちょこちょこ参戦していたWIN5ですが、WIN3あたりまで突破するともう仕事どころではなくなってしまうことが判明。したがって、WIN5の購入はしばらく自重していました。
 そんなわけで、翌週の特別登録が出ないうえ、札幌競馬が休みで2場所開催だった先月の18日(日)。これはまさに絶好のWIN5デーではありませんか!!午前10時過ぎに月曜版の出馬が終わり、あらかた人が引けた午後の美浦編集部。そこでノンビリと、心ゆくまでWIN5を楽しませてもらう予定でした。あくまでも予定では……。
 しかし、そんな時に限って最初の初風特別で敢えなく終了、しかも買い間違え。続く夙川特別で「間違えてなくても一緒だった」と勝手に納得。「アナモリじゃ結局ダメだったじゃん」と3レース目の内房S。「どうせなら全部外れでいいよ」のローズS。さすがにホエールキャプチャは持っていたけど……(笑)。大トリはベルシャザールの1点勝負だったセントライト記念。結局、お疲れさまでしたのWIN1でした。これでは自重してもしなくても一緒、やれやれ……。

▼コツコツと業績を重ねる
 それはさておき秋競馬ですが、快足の競演スプリンターズSで中山開催は一旦幕を閉じ、熱戦の舞台は東京へ。その前半のハイライトとなるのは勿論、秋の天皇賞です。来週末には特別登録も発表されますが、果たして今年はどんな闘いが繰り広げられるのでしょうか。
 振り返ると一昨年のこのレースでは競馬史に刻まれる偉大な記録が誕生しました。それが、カンパニーによる8歳馬のGⅠ制覇。この記録、単に“高齢馬の優勝”というだけではなく、4度目の挑戦で宿願を叶えたという点で、非常に意義深いものといえるのではないでしょうか。2000㍍戦になって24年目を迎える秋の天皇賞ですが、四半世紀近いその歴史の中で、この舞台を4回踏んだ馬は過去に4頭だけ。3回出走した馬は18頭ですから、この3回と4回の間にある壁、極めて厚いといえそうです。
 ちなみに、カンパニーの最初の挑戦となった5歳秋は16頭立ての16着。他馬がゲート内で暴れた影響で自身もテンションが上がってしまい、外枠発走から“何もできないままの2000㍍”でした。しかし、こんな苦い思いをした初挑戦も、3年後の大偉業に花を添えるエピソード。会社(カンパニー)を立ち上げた直後に大きな試練に遭いながら、その後、コツコツと業績を重ねて業界最大手に登りつめる……。まさにそんなカンパニーの競走生活だったのではないでしょうか。

▼翌年は新顔乱舞、今年は??
 ところでカンパニーの翌年は、そんなコツコツ型のサクセスストーリーとは対照的なレースでした。ブエナビスタが勝利を飾ったこの年、といってもまだ昨年ですが、着順掲示板に上がったブエナビスタ、ペルーサ、アーネストリー、オウケンサクラ、ネヴァブションの5頭はすべて新顔、つまり秋の天皇賞初挑戦馬。これもまたレアなケースで、ちょうどその10年前の2000年(テイエムオペラオー、メイショウドトウ、トゥナンテ、イーグルカフェ、ナリタトップロード)以来の記録でした。ちなみにその昨年は出走馬18頭のうち3回目、もしくは4回目の挑戦だった馬は皆無(これも99年以来の記録)。2度目の挑戦だった馬も4頭止まりで、18頭のうち14頭までが新顔。もう調べるのが面倒なので“新顔率77.8%”がどれくらい珍しいかには言及しませんが、まあ結構なもんでしょう(笑)。
 さて、今年はどんな天皇賞になるのか……。昨年優勝のブエナビスタが参戦の予定ですが、もし勝てば02、03年のシンボリクリスエスに続いて史上2頭目の秋の天皇賞連覇。勿論、牝馬としては史上初ということになります。ちなみに最近の牝馬は本当に堅実。この10年を見ると14頭の出走で3勝、2着2回の5連対。さらには、それら14頭の牝馬のうち11頭までが着順掲示板に上がっており、5着入着率は実に78.6%。この数字を踏まえれば、今年新たな“史上初”が達成される確率はかなり高いといえそうです。
 
 最後にデータベースはすべて信頼性に乏しい自分の手作業集計なので、間違いがある可能性が大。間違いが判明した場合は次回のコラムでまとめてお詫びします。それでは。

美浦編集局 宇土秀顕