3月20日、中山競馬場で行われたペガサスジャンプSは、単勝1.7倍の支持を得たメイショウダッサイ(牡7歳、栗東・飯田祐厩舎)が後続に7馬身差つける圧倒的なレースで勝利を収めた。最内枠からポンと出て、軽く仕掛けた程度で行き脚がつくと最初の障害を悠然と飛越。谷の手前でディライトフルを行かせ、ガツンとハミを取って交わしていくメドウラークをやり過ごすと3番手で谷を上ってポジションを収めた。適度な前進気勢を見せながらも、体のパーツに力みはなく、フワッと大きな放物線を描いたジャンプ。踏み切りのタイミングはばっちりで、高さも距離も十分。体幹、連動性に優れており、着地のクッションから次の一歩への移行も無駄がない。終盤は並走する前2頭との間隔を守り、ぽつんと進むから距離ロスはゼロ。前を完全に射程に入れて虎視眈々と機を窺い、メドウラークが向正面の8号ハードル(片面竹柵)のあとに先頭に立って引き離しにかかると、すぐさまこれを追随し、最終障害のあとの急坂で7馬身ち切り捨てた。その8号がほんのちょっとだけ低かっただけで、それを除く10個の障害飛越は完璧で美しくお手本と言えるもの。操作性、コンタクトも申し分なく、すべてが丁寧で隙がない。その結果、消耗が最小限に抑えられ、ラストの加速につながったのだろう。前哨戦でもビシビシと攻められていたのは、ハードに調教しても心身への不安がないからこそでこの馬への信頼度の高さの表れ。鍛え抜かれて完成の域に入っている。
冒頭の「7馬身差で難敵に挑戦状!」(小誌カラーグラフ見出し)は、もちろん、前週の阪神スプリングJを9馬身差で大勝したオジュウチョウサンへ向けられたもの。
未対戦の2頭の対決は4月18日の中山グランドジャンプで実現する。
栗東編集局 山田理子
山田理子(調教・編集担当)
昭和46年6月22日生 愛知県出身 B型
水、木曜のトレセンではCWをお手伝いしながら障害コース、Bコースを採時。日曜は隔週で坂路小屋へ。調教時間が何より楽しく、予想で最重要視するのは数字よりも生身の馬の比較。人気薄の狙い馬、危ない人気馬を常に探している。09年より関西障害本紙を担当。週刊誌では15年より新たに「注目新馬紹介」のまとめ役を引き継ぎ、新馬の観察に一層力が入っている。