今、世間を騒がせている大谷翔平選手の元通訳の違法賭博疑惑。特に取材ルートがある訳ではない私も日本時間で26日の朝に行われた大谷さんの記者会見に注目していた。信頼していた人に裏切られた気持ちは推して知るべしだろうが、慎重に言葉を選ぶ場面もあったもののいつものように淡々と率直に真実を語っているように感じた。事実は今後の調査に委ねるしかなく部外者があれこれ言っても意味はないだろうが、見た目の表情や声のトーンからすると私には嘘をついているようには見えなかった。個人的な感想を言えば私は大谷さんの言葉を信じたい。

 先週の高松宮記念からJRAの春のGⅠシリーズが開幕した。スプリントGⅠとしては異常なくらい前半のペースが遅くて内枠を生かしてインで立ち回った馬のワンツーフィニッシュ。結果的には昨年のスプリンターズSの2,3着での決着だから順当とも言えたが、混戦メンバーで馬場状態も微妙だから配当面では中波乱くらいにはなっていた。かく言う私も実績のあるナムラクレアではなく4歳のルガルに期待して的中とはならなかった。惜しくもアタマ差及ばなかったナムラはこれでGⅠでは2着2回、3着2回ともどかしい結果が続いている。栗東所属馬だけに直接、取材する機会はないのだが、管理する長谷川調教師の記者会見の映像を見ると当事者にしか分からない思いは伝わってきた。同馬に限らず競馬の結果には様々な要因が絡んでくるのではっきり断定できないのだが、私は何となく今回は自信がないのかなと感じてしまった。負けたという点で捉えるとその判断は正しかったのかもしれないが、前に有利な展開でよく差を詰めたというのが今回のレースだったと思う。つまり状態は今回も良かったのだ。

 今週の大阪杯に出走を予定しているソールオリエンスは今からおよそ1年前に皐月賞を勝ってそこから勝ち星がない。3戦3勝で皐月賞馬になった当時はどこまで強くなるのかと期待感が高まっていたが、現時点ではやや期待外れになっている。だが、2戦2勝で京成杯しか勝っていない時点でも管理する手塚調教師の評価は高かった。未知な部分は多いが、かなりの素質があって今回はそれを証明してくれるのではないかと前向きだった。普段から取材している私にとっても共同会見での師の自信に満ちた表情を見て素直に◎を打ったのだった。不特定多数の人がいる記者会見ではどうしても言葉を慎重に選ぶようになって字面だけで本音を捉えるのは難しかったりする。更に言えば相手関係や馬場状態によって結果も左右されるから単純にコメントだけを聞けばいいというものではない。それでもトレセンで直接取材できる我々は五感を駆使して少しでもいい情報を提供できればと日々思っている。

美浦編集局 田村明宏

 

田村明宏(厩舎取材担当)
昭和46年6月28日生 北海道出身 О型
大阪杯のソールオリエンスは最終追い切りも無事終えて取材も完了。それでも馬券としての取捨に関しては未だに悩んでいる。最終結論は明日まで引き延ばしたい。その一方でソールの調教パートナーを務めた中山土曜1Rを予定しているコンテソレーラの動きが目立った。「初ダートだけど断然、ダート向き」と手塚師はキッパリ。