こんにちは、今年も小倉競馬場に入って取材となりました栗東の坂井です。

今冬も多くの騎手が小倉に入って滞在馬の調教に騎乗しています。9日の朝に見かけたのは石神騎手、石田騎手、大江原騎手、大庭騎手、菊沢騎手、小林凌大騎手、佐々木大騎手、丹内騎手、原田和騎手、藤田菜騎手、丸山騎手、黛騎手、水沼騎手、蓑島騎手といったあたり。小林美騎手、佐藤翔騎手、土田騎手、栗東の鷲頭騎手も滞在するようです。

さてそのなかで話を聞いてみたかったひとりが美浦の水沼元輝騎手。昨年12月17日、中山競馬第4Rの障害未勝利戦でエンデュミオンに騎乗し、障害戦での初勝利を挙げました。障害戦初騎乗から32戦目での達成です。

▲水沼騎手障害戦初勝利のプラカードとともに

「(同期の)鷲頭(騎手)と『どっちが先に勝つかな』っていう話をしていたんですよ」(水沼騎手)

初勝利を挙げたエンデュミオンはもともと難波騎手のお手馬。その難波騎手が前日の落馬負傷で騎乗できなくなり、手綱が水沼騎手に回ってきました。とはいえエンデュミオンは清水久詞厩舎所属の関西馬で、難波騎手も栗東の所属。美浦所属の水沼騎手がなぜ?と思われた方も少なくないでしょう。

「難波さんが普段すごく良くしてくれて、難波さんがスクーリングに乗れない時(本番で騎乗する騎手が土曜に他場で騎乗予定がある場合、日曜の騎乗馬のスクーリングに騎乗できないので、他の騎手に頼むことがある)、清水久詞厩舎の馬のスクーリングを手伝わせてもらっていたんです。そういう縁もあったのかな。騎乗依頼をいただいたのは、難波さんが乗れないとわかってすぐだったと思います」

ということは、競馬が初めての騎乗ではなかった…?

「いえ、エンデュミオンにはスクーリングでは乗っていませんでしたから、当日の返し馬で『こんにちは』って感じでした。いつも依頼を受ける時点では過去の成績を見ないんですよね。あとから成績を見て、『あ、これは1番人気になるやつだ』って(笑)。勝ったあと、難波さんから『水沼君で勝ってくれてよかった』って連絡をいただきました」

▲エンデュミオンに騎乗し障害を飛越する水沼騎手(23年12月17日中山4R)

水沼騎手といえば思い出されるのは昨年の9月30日の中山1R、アイスジャイアントに騎乗した伴騎手が馬場入場後に落馬し負傷、急遽の騎手変更でレースに騎乗しました(8着)。

「基本的に頂いた依頼はすべて受けます。この時はお風呂に入っていたんですが、『誰か乗ってもらえませんか?』ということで『じゃあ僕乗ります』って」

この姿勢が初勝利への縁をつないだといってもいいでしょう。思えば、水沼騎手が障害戦に騎乗すると決心を固めたのは昨年冬のこの小倉開催。障害戦初騎乗は4月22日ですから、昨年のこの時期にはまだ障害戦デビューしていませんでした。「石神さんに弟子入りして良かったですよ」と笑う好青年は、今冬の小倉も2カ月間滞在する予定。勝利を上積みして飛躍の小倉としてほしいものです。

▲初勝利を挙げ、引き上げる水沼騎手とエンデュミオン

栗東編集局 坂井直樹

坂井直樹(調教・編集担当)
昭和56年10月31日生 福岡県出身 O型
 水沼騎手は美浦・加藤和宏厩舎の所属騎手。厩舎に所属していると自厩舎の馬の調教騎乗がもちろんありますし、平地との二刀流となると平地で騎乗する他厩舎の馬の調教にも乗ることになるので、障害での騎乗馬を新たに作る時間を作るだけでも大変なのです。大変でしょう?との問いに「障害はどうしても時間がかかりますし、大変ですね」と言いつつ、それでも頑張らないと、という意欲も感じられました。今シーズンは同期の鷲頭騎手も小倉に滞在するとあり、切磋琢磨して減量騎手2人で引っ張っていくくらいの活躍を期待しています。ちなみに水沼騎手、私が「厩舎のSNS見てお話伺いに来ました!」と伝えると笑ってました。