みなさんこんにちは。
函館へ出張中の丹羽です。
今回は函館、札幌に滞在する馬たちの、芝コースでの追い切りについて書こうと思います。
北海道開催中はほぼすべての馬が函館か札幌に滞在して調整され、レースに臨むことになります。レース当週に移動してくる馬(いわゆる直前入厩、直入)もいますが、1Rに1頭いるかいないかのレベルです。
函館は東西トレセンと同じくウッドチップのコースがメインで、あとはダートと芝。札幌はダートと芝で追い切りが行われます。
ここで、ひとつ。
馬場の保護を目的に、芝コースに入場制限があるのをご存知でしょうか。
私は函館に出張に来て7年目になりますが、この事実を知ったのは恥ずかしながら2年目くらいだったと思います。芝コースの追い切りそんな多くないんだな……とぼそっとつぶやいたら、先輩トラックマンに「そりゃ制限があるからな」と教えてもらいました。そんなことも知らんのか、というニュアンスも込められていた覚えがあります。
芝コースに入場できる馬は以下の通りです。
(1)芝未経験馬(馬齢問わず)、地方所属馬→1頭につき2回まで入場可
(2)各オープン競走の第1回登録完了馬→各競走に対して1回入場可
※ただし、申し出がある場合に限り前週の入場(1回)も可
※芝保護のため、芝レース出走予定馬以外に入場は遠慮してください
※芝保護のため、コース中央より外側を走行すること
(条件を満たさない馬でも、条件を満たす馬の調教パートナーとしてなら入場可能だったような気がします)
こんなことが、開催に伴うお知らせに書かれています。
函館で私が座っている席の後ろにずっと張ってあったんですが、右も左も知らない状況で出張に来たのでこんな注意事項に気がつきませんでした……。
要するに、初芝(新馬戦含む)か、オープン競走に出走予定の馬以外は芝に入るなということですね。
まぁ考えてみれば入場制限は当然ですよね、芝は傷みますから。
この原稿を書いている7月11日(火)、函館はずっと天気が悪く、追い切りが集中する明日12日(水)はウッドチップがぬかるんで走るづらくなる可能性大です。東西トレセンならポリトラックという選択肢がありますが、雨の影響を受けづらい芝で調教したい馬が全部入場したら、あっという間に芝はボロボロです。
たまーに、入場資格ないよな……?みたいな馬が芝コースで追い切ることがあり(今年も1頭いました。芝のレースに1度だけ出走したことがある馬で、しかも芝コースで追い切って実際はダートのレースに出走)、どこまで厳格に運用されているルールなのかは分かりませんが、基本的には芝コースには簡単には入場できません。
レーシングビュアーで調教映像を見る方なら分かると思いますが、北海道の新馬戦&重賞出走馬は芝で追い切るケースが多いんですね。それはこういう理由からです。
そして、あとひとつ。
芝コースの採時について。
レースで使うハロン棒は内ラチ沿いを通った場合を想定して設置してありますが、上記の通り、追い切りでは外側=馬場の5分どころより外を通るのがルールです。
なので、レースのハロン棒とは別に芝には調教専用のハロン棒が設置してあり(水曜日、木曜日だけ。レースの日には撤去してあるのでファンの方が目にする機会はほとんどありません。)、トラックマンはこの調教用ハロン棒を基準に時計を採ることになります。
この調教用ハロン棒は内ラチから約16m外=馬場の5分どころを通ったことを想定して設置されているようです。
「こんなに調教の時計が速いわけないでしょ!?」との意見を厩舎関係者からもらうことがありますが、おそらく、調教専用のハロン棒の存在を知らないことが原因かと思われます。
たしかに、見逃してしまうようなとても地味なハロン棒なんですよね……。
このあたりは、北海道開幕前に周知徹底していただけると、我々トラックマンとしてもありがたいなと思うところです。
今回は調教における芝コースの実態について書いてきました。
今年は美浦坂路閉鎖の影響で、新潟にも滞在する馬がいるとのことです。例年通り、小倉にも滞在馬がいます。
調教を見るにあたって、このコラムを思い出していただけると嬉しいなと思います。
個人的に最も好きな函館競馬は今週がラストウィーク。6週間、本当に早かった……。もう夢じゃないかと思うくらいに早かったです。
重賞が2鞍組まれて最も盛り上がる週なので、私も気合を入れて頑張ります。
では。
栗東編集局 丹羽崇彰
丹羽崇彰(調教担当)
1989年2月1日生まれ。2013年、キズナがダービーを勝った年にケイバブックに入社。普段は栗東坂路の調教や編集作業を担当。夏場は北海道に出張します。週刊誌の新馬紹介のコーナーを担当しているので、新馬の観察に特に熱を入れている。
北海道開催も函館が最終週を迎えました。約半分が終わりです。
夏競馬はまだまだこれからが本番ですので、引き続き現地に滞在して頑張って仕事します。
札幌でも引き続き、ごひいきに。
Twitterを@niwa_bookのアカウントでやってますので、よければご覧ください。