日本ダービー前日の5月27日に「第6回女性のための競馬講座」を開催しました。おかげさまで回を重ねて応募数が増え、ご協力いただいているJRA、また放送関係の方々にもたくさん声をかけていただくようになり、スタッフはみな軌道に乗ってきた手応えを感じております。当日の進行も大筋は定まり、マイナーチェンジを重ねつつというところ。ただ、今回、競馬新聞の見方の説明のなかで、「調教欄の見方」はとりわけ難しい、伝わりにくいことを再認識しました。競馬専門紙としては、全休日の月曜日、その翌日の火曜日以外は競馬開催日であってもコース、坂路とも、いわゆる「時計になるところ」(1F15秒以下、つまり6Fから90.0―75.0―60.0―45.0―15.0以下)は脚いろなどの様子をチェックし、新聞、WEBで掲載しているわけですから、何とか、数字の羅列の読み方、意味だけでも伝えたいのですが、みなさんの顔は明らかに???  どうしたものかと頭を悩ませます。仮に、数字の表記の意味を理解しても、「では、時計が速ければいいのですか?」、「併せ馬で先着していればいいのですか?」と問われれば、「好タイムも併走先着もいい材料であり目安にはなりますが、その内容によりますし、厩舎によって調教法はまちまちなので、一概には言えません」と回答することになり、質問者はまた???となってしまうでしょう。

 調教には厩舎の思惑が詰まっていて、調教班としてトレセンに毎週通って観察しても気づかないことが多々あります。馬の本質を知らないでいては、動きがいい、馬体がいい、時計がいいだけの判断にとどまり、それではと馬の本質を知ろうとしても、犬や猫のように身近ではなく、日常的に接することができないから、実感できずにイマジネーションの域。葛藤の日々です。ここ2年で編集部に入ったTMに、小さい頃から競馬が好きで学生時代に乗馬を始めたという20代前半の現場記者がふたりいてうらやましく思いますが、乗馬にしても手軽なスポーツではなく、ハードルは高いです。そこで自分自身が実践していてみなさまにお勧めしたいのが馬の本を読むこと。2度目を含めて最近は「吉田善哉 倖せなる巨人」(本村幸治著、徳間書店)、「血と知と地」(吉川良著、ミデアム出版社)、「挑戦!競馬革命」(角居勝彦著、宝島社新書)、「競馬感性の法則」(角居勝彦著、小学館新書)を読みましたが、いわゆる〝ホースマン〟の想い、思考を知れば、自分も一歩また一歩馬に近づける気がします。とりわけ「競馬感性の法則」は現役調教師の新書であるから、リアルタイムで楽しむには最高ではないでしょうか。帯には「競馬の必勝法 それは、馬という動物の本能をよく知ることから」と書かれてあり、第4章3の「調教」では数字だけでは絶対に分からない思惑、意図、工夫を教えてもらえます。そうそう、角居師の著書で読み忘れていたのが「勝利の競馬、仕事の極意」(廣済堂・競馬コレクション)。次はこれを読んでみます。

栗東編集局 山田理子

山田理子(調教・編集担当)
昭和46年6月22日生 愛知県出身 B型
水、木曜のトレセンではCWをお手伝いしながら障害コース、Bコースを採時。日曜は隔週で坂路小屋へ。調教時間が何より楽しく、予想で最重要視するのは数字よりも生身の馬の比較。人気薄の狙い馬、危ない人気馬を常に探している。09年より関西障害本紙を担当。週刊誌では15年より新たに「注目新馬紹介」のまとめ役を引き継ぎ、新馬の観察に一層力が入っている。