12月27日、JRAの2020年全日程が終了しました。観客を入れずに競馬を開催することが発表されたのが2月27日。ダービーまでも、いわゆる無観客競馬での開催が決まった時は諦めにも似た感情に襲われましたが、結果として1日として開催が途切れることはありませんでした。これはこの感染症に対するトレセン内外の関係者の対策・努力や協力、そして無観客開催であっても競馬を見続け、馬券を買って楽しんでくださるファンの皆さんがあってこそ。いろんな人の支えがあって競馬という娯楽が成立しているのだと、改めて知らされました。

 10月10日、限定的とはいえ、競馬場への観客の入場が再開されました。入場されたお客さんの姿を、報道エリアのゴンドラから身を乗り出して確認する記者の姿を思い出します。その翌週、秋華賞でデアリングタクトが先頭でゴールを駆け抜けたあと、スタンドから自然と湧いた拍手にはグッと来るものがありました。まばらながらパドックにお客さんの姿が戻り、ゴール前では威勢のいい声も聴こえるようになりました(大声はダメですよ)。

 コントレイルの無敗での三冠達成、アーモンドアイのラストラン、クロノジェネシスのグランプリ連覇……秋競馬だけをとっても過去にないくらい印象的な出来事が多かったのですが、決して多くない観客の存在感が今年ほど大きかったことはありません。競馬において、観客は間違いなく主役のひとりなのだと感じさせられました。

 2021年はどんな年になるのでしょう。明け3歳には、白毛のニューアイドル・ソダシや、無敗でホープフルSを制したダノンザキッド、朝日杯FSで混戦を断ったグレナディアガーズがいます。古馬戦線にはグランプリホース・クロノジェネシスに、コントレイル、デアリングタクトの三冠馬2頭、アーモンドアイに土をつけたグランアレグリアも。先が見えない現状に不安ばかりが先立ちますが、目を向ければ明るい話題もたくさんあります。そんな情報を競馬を楽しむ皆さんにお届けできるよう、引き続き頑張っていく所存です。2021年も競馬を楽しみましょう。

栗東編集局 坂井直樹

坂井直樹(調教・編集担当)
昭和56年10月31日生 福岡県出身 O型
2004年入社。栗東トレセンがある滋賀県も新型ウイルスの感染者数が増加傾向にあります。とはいえ、できることと言えば、マスクをして、外から帰れば手洗いやうがい、そして普段の体調管理。基本的なことをしっかりやることが、順調な競馬開催につながると信じるばかりです。来る年が皆様にとっていい年となりますように。2020年もありがとうございました。