▼黒駒は霊峰を飛び越える |
この飛翔伝説をもう少し詳しく紹介すると……。聖徳太子がまだ若かりし頃に、全国各地から献上された数百頭の貢馬(くめ)の中から一頭の馬の卓越した能力を見抜いて、これを飼育させました。数ヵ月後に聖徳太子が跨ると、その駿馬は大空高く舞い上がり、そのまま東国へと向かいます。そして、飛鳥の里から数百キロ彼方にそびえる富士山までたどり着くと、その富士の山頂さえも軽々と飛び越えて信濃の国へと舞い降り、3日後には飛鳥の都に帰ってきたというのが大まかな内容。そして、漆黒の馬体に映える鮮やかな四白、甲斐の牧から献上されたその駿馬こそが“甲斐の黒駒”だったのです。 |
▼伝承ではない甲斐の駒 |
しかし、古代から駿馬として名を馳せた伝統ある甲斐駒も、純血種として現代に遺伝子を伝えることはできませんでした。 |
▼桃源郷の伝説 |
桃の花が咲き誇る林の中に、世の中の争いごとや、時代の移り変わりといったものとは無縁の平和な世界がある。そして、俗界から吹いてくる風を桃の花がすべて守ってくれる。そんな中国の故事に由来するのが桃源郷。 |
美浦編集局 宇土秀顕 |