気候変動に思う(吉田幹太)

 テレビでは台風10号のニュースがずっと流れている。

 関東圏に近づいた前回に引き続き超大型。進み方も以前では考えられないようなルート、時間経過になっている。

 突然、大雨が降るのは当たり前。

 天気予報サイトをしょっちゅう確認しながら外出しても、何度か雨で身動きが取れなくなることがあった。

 3回新潟6日目の12Rでは落雷の可能性があるために競走中止に。

 36℃超えが当たり前の日常もそうだけれど、いよいよ本格的に気候変動が体感できる状況になってきた。

 2回新潟開催は昼休みをたっぷり3時間以上設けて、2週間4日分を消化した。

 10年前には考えられなかったことが現実になり、大きなトラブルもなく開催を終えることができた。

 とは言え、現場にいた自分としては何もかも戸惑うことばかり。

 ある程度は想像していたとはいえ、3時間の休憩時間を有効的に使うことは至難の業だった。

 自宅で競馬を見ていたお客さんにとってはゆっくり楽しめていいのかもしれない。

 実際に馬券の売り上げは前年比で大きなプラス。

 暑熱対策だけではなく、興行的にも大成功と言っていいのだろう。

 しかし、3時間の休憩はほとんど休むことはできずに、30分置きに走る札幌競馬も気になってしまう。

 15時10分からようやく再開される6レースでピリッとはするのだけれど、いつもならそこから3レースしかないのに倍以上の7レース。メインが終わった後の残り5レースは普段のように集中しきるのは難しかった。

 その結果、普段の一日よりもどっと疲れが出て、夜の街に出ることもなく早々と就寝。

 寄る年波には勝てない。自分の体力の衰えにショックを受けていたが、翌朝、他の記者も同じように感じていたことを聞くと少し安心することができた。

 おそらくはこの形で来年以降も続くのだろう。

 となれば限度があるなかでも、対策をしっかり考えておかなければならない。

 そして夏の高校野球も今年から試合の行い方が大きく変わった。

 開会式から最初の3日間は一日3試合で昼休みがあり、5回終了時には10分間のクーリングタイム。そして延長はタイブレークで勝負が決することになった。

 その結果、ベスト4にはすべて優勝経験のない学校が進出。

 勿論、低反発のバットの影響も大きかったとは思うが、少し勢力図が変わってきたのは新しいルールに対しての対応力の差が出たともいえるのではないかと思う。

 気候変動、温暖化にいくら文句を言っても仕方なく、いかにその状況に対応できるかが大事になる。

 野球も競馬も気候に合わせて変えなければならい部分は変更せざる得ない。何年か後には新潟でナイター開催の競馬が行われている可能性もある。

 いずれにしても今までは考えもしなかったことが現実になっていて、それに自分がどこまで対応できるかが喫緊の課題なのではないかと思うようになった。

 仕事に限ったことではなくて、普段の生活でも同じこと。

 どれだけ工夫して対応できて、いかに楽しく残りの人生をまっとうできるか。

 ある意味、そう考えればプラスになる可能性も増えるような気がしてくる。不安ばかりの気候変動も年を重ねることも嫌なことばかりでもない。

 馬券はさっぱりの今年だけれど、秋競馬はいいことばかりになるかもしれない。

 ぼちぼち、巻き返しの一撃があるか……

美浦編集局 吉田 幹太

吉田幹太(調教担当)
昭和45年12月30日生 宮城県出身 A型
道営から栗東勤務を経て、平成5年に美浦編集部へ転属。現在は南馬場の調教班として採時を担当、グリーンチャンネルパドック解説でお馴染み。道営のトラックマンの経験を持つスタッフは、専門紙業界全体を見渡しても現在では希少。JRA全競馬場はもとより、国内の競輪場、競艇場、オートレース場の多くを踏破。のみならずアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、フランス、イギリス、マレーシア、香港などの競馬場を渡り歩く、案外(?)国際派である。