自分の物差し(山田理子)

 馬券を買うまでの手順がここ数年でようやく定まってきたので頭の整理も兼ねてまとめてみた。

1.まず調教ありきで、水、木曜のコース調教、隔週日曜の坂路でできるだけ多く実馬を観察してデキのいい馬、デキの下がってきた馬をひたすらチェック

2.デキのいい馬から着順の目立たない馬を選ぶ

3.なぜ、これまで結果が出なかったのかを考察
 考えられるケースは
 a.体質の弱さなど状態面に問題があった(このケースは調教過程、厩舎コメントなどで明らかになることがある)
 b.レース中のロスや不利、不向きな展開、枠順が原因で力を出せなかった
 c.適性条件に使われていなかった
 d.怖がりだとか、砂を被ると戦意喪失する気性で走り切っていない
 e.ズルさがあって実戦で手を抜いているため調教でやたら元気がいい
 f.ガサがない馬……調子が良くても根本的にパワーで見劣る(小回り平坦のローカルで注意)
 g.エンジンで見劣る脚の遅い馬………楽に動いていても意外に攻め時計が出ないタイプは絶対スピードで見劣る(時計がかかる状況で注意。ローカルの手薄なメンバー、タフな芝、道悪、障害転向など)
 すぐさま狙えるのはa.b.cのパターン。dは上級条件なら見送り、下級条件なら同型の存在、枠順、展開を吟味してスムーズなレースが望めれば買い。eは回収が難しいが馬具の効果や精神面の成長を感じた時点で狙い、f.gは開催を待って長期ビジョンで見守る。

4.今回適性条件に出走かを判断
 ・キャリアがあれば過去の成績に照らし合わせる
 ・血統、体形、走法、気性から推察
 ・当日の馬場、枠、展開、騎手の相性を考察

 と、ここまできたらあとはお金を入れるしかない。1のチェックで、調子が下がっているとジャッジした人気馬が出ていたら、自分を信じてチャンス到来、これはプレミアムレースだと思い込む。

 さて、ここで。前提が「着順が目立たない馬」なので、基本的には人気していないことが多いのだが、オッズは承認欲求に感覚が似ていて、狙っている馬があまりに売れていないと心配になることが、未だにある。私の馬券の師匠には「自分の思ってるオッズと開きがあるときほど多く買うのが鉄則」と教えられた。事を成し遂げるには「自分の物差し」をしっかりと持たねばと思う。

栗東編集局 山田理子

山田理子(調教・編集担当)
昭和46年6月22日生 愛知県出身 B型
水、木曜のトレセンではCWをお手伝いしながら障害コース、Bコースを採時。日曜は隔週で坂路小屋へ。調教時間が何より楽しく、予想で最重要視するのは数字よりも生身の馬の比較。人気薄の狙い馬、危ない人気馬を常に探している。09年より関西障害本紙を担当。週刊誌では15年より新たに「注目新馬紹介」のまとめ役を引き継ぎ、新馬の観察に一層力が入っている。