データで夏の小倉を攻略しよう(坂井直樹)

 こんにちは、栗東の坂井です。

 今年の夏の小倉は4週8日間の短期決戦。傾向が見えてきた頃には開催の終盤に突入していた、なんてこともありそうです。そうならないよう、先に傾向を掴んでおきましょう。今回は、2017年以降、夏の小倉開催で産駒出走数が25走を超えている113の種牡馬のなかから、「勝率」「連対率」「複勝率」「単勝回収率」「複勝回収率」「平均着順」「平均人気」の7つの項目に注目し、夏の小倉で馬券的に妙味のありそうな6頭の種牡馬をピックアップしてみました。

◎エイシンヒカリ
 勝率、連対率がともに通常の倍以上に跳ね上がる種牡馬。スピードタイプのイメージ通り良績は芝1200mで、この条件では連対率40%、回収率は単勝で234%、複勝でも99%のハイアベレージです。ちなみに、エイシンヒカリ産駒は冬の小倉でも良績を残していますが、冬の場合は芝1200~2000mまでまんべんなく好走しています。「小倉のエイシンヒカリ」は覚えておきましょう。

◎エイシンフラッシュ
 この期間の産駒出走数は129と十分過ぎるサンプルのなかで、連対率は通常の約2倍(11.2→20.9%)、勝率は2倍を軽く超え(5.7→12.4%)、回収率も107%の黒字域。条件は2000m以下であれば芝でもダートでも、というオールラウンダーぶりを見せています。各種項目がハイアベレージなのはダート1000mで、これは特定の数頭に引き上げられている面が否めませんが、成績、回収率で次にいいのが芝1200mなので、芝、ダートを問わず短距離で注目と言えそうです。

◎サトノアラジン
 勝率など成績各種の数字は微増。ただ回収率は単勝で87→179%、複勝は71→111%と大きく跳ね上がります。引き上げているのは芝1200mで、この条件での単勝回収率469%はもちろん高いのですが、複勝214%は特筆すべき数字と言えるでしょう。

◎スマートファルコン
 自身の産駒成績のなかで唯一、勝率が10%を超えるのが夏の小倉で、連対率も抜けて高い24.6%。回収率も単勝で268%、複勝で122%をマークしています。ダート1700mの成績は優秀で、回収率(単勝344%、複勝135%)も高水準。意外と成績がいいのはダート1000mで、少ない出走数のなかで(2.1.1.5)、回収率が単複で94%、176%という注目の条件です。私的イチオシはこの馬です。

◎シニスターミニスター
 項目のなかで全体の数字を上回るのは勝率と単勝回収率の2つだけですが、2着の数が極端に少なく、その分、馬券は1着固定で買いたい種牡馬。狙い時は自身の産駒の傾向通りダートで、特に成績がいいのはダート1000m。「夏の小倉のダートで1着固定」と覚えておきましょう。

◎パイロ
 ちょっとずつですが、7項目すべてにおいて全体を上回りました。ダート1700mにおいては突出した成績を残していて、特徴は単勝回収率が100%を割っている(84%)のに対して複勝回収率が125%と100%を大きく上回っている点。平均人気を平均着順が上回っており、悩んだ時のヒモ穴として選びたい種牡馬です。

▲小倉で狙いたい種牡馬たち

 小回り、平坦というコース形態や、夏の暑さ、そして冬の開催とは違ってほとんどの馬が直前入厩なので、長距離輸送の適性もファクターとなるでしょう。そのため、得意不得意が出やすい競馬場なのかもしれません。しっかりと頭に入れて、夏の小倉開幕に備えましょう。

 

栗東編集局 坂井直樹

坂井直樹(調教・編集担当)
昭和56年10月31日生 福岡県出身 O型
 この夏は普段以上に種牡馬に注目しています。「小回り1700mはとりあえずシニミニ」「長いハーツには巻かれろ」「悩んだらドゥラメンテ」は今夏の座右の銘。ロードカナロアも芝、ダート、距離を問わず好成績。「なんでもこなせる感」は父キングカメハメハ譲りですね。