前回のトレセン通信を担当した時も西のGⅠ(天皇賞・春)明けのタイミングだったが、今回もちょうど宝塚記念が終わったばかり。なので、またレースの模様を中心に当日のことを振り返ってみたいと思う。

 当日は入場制限が行われ、当日の現金購入による入場券の発売はなし。事前のネット予約での発売のみとなっていたが、私が確認した木曜夜の段階で入場券も完売。ファンの関心の高さが窺い知れた。日曜朝は競馬場周辺の道路もやや混雑。周辺には民間の駐車場がいくつかあるのだが、値段設定が3,000円だったりとなかなか強気。それでも車が何台も入っていく場面が見られた。

 競馬場の中も9時台から凄い人。特に驚いたのがパドックで、1Rから普段のメインと変わらぬくらいの賑わいっぷりだった。予想はできていたが、1Rのファンファーレから大きな拍手が沸き起こり、それは終日続くこととなる。

 お昼を過ぎると拍手のボリュームも更にアップしていき、いよいよメインレースの時間帯へ。ラジオの本番中でパドックは放送席からモニターで確認する形となったが、注目のイクイノックスは初めての阪神競馬場でも適度な気合乗りといった感じで悪くない気配。私が相手として期待していたボッケリーニとスルーセブンシーズは落ち着きがあって、非常に雰囲気は良かった。返し馬に関してはイクイノックスが迫力満点。これは違う!と感じさせるオーラが漂っていた。あと、パドックでは激しくイレ込んでいたジェラルディーナがスムーズに走っていたのが印象的。この馬のパドックでのイレ込みは、そう気にしなくてもいいのかもしれない。

 さて、レース。かなり押して押してで行き切るまでに時間はかかったが、外から予想通りユニコーンライオンがハナ。それについて行く形でドゥラエレーデが2番手。1000mの通過が58秒9だからまずまずのペースか。イクイノックスは最後方近い位置。逃げた前走とは一転したレース運びで道中はこれで大丈夫かなとも思ったが、勝負どころから大外をスーッと進出。捩じ伏せるようにして差し切り、世界最強馬の貫禄を見せつけた。2着は私も期待していたスルーセブンシーズ。直線に向いて軽く挟まれる場面があり、内に切り替えるロスがあったのが何とも痛かった。勝ち馬との差は僅かクビ。あそこがスムーズだったら、ひょっとしたかもしれない。3着のジャスティンパレスは勝負どころの反応が鈍かったが、それでも直線は渋太く差し込んで馬券圏内を死守。馬体も成長し、4歳になって本当に力をつけている。秋もGⅠ戦線で中心的存在となるだろう。対抗に推していたボッケリーニは直線で前が詰まってややブレーキをかけるところがあったのが惜しかったが、一瞬オッと思わせる場面はあった。上位馬のように直線、外に出せていればというのはちょっと感じたところ。

 結果的に上位に進出したのは後方で待機していた馬ばかり。土、日ともに逃げた馬が残るケースが結構目についていたが、前半からそこそこのペースで流れたことと、勝負どころでジェラルディーナが一気にマクッて行った分、先行馬には厳しい形となってしまったか。しかし、追い込み決着となったことで、とても見応えのある面白いレースだった。ファンの期待に応えて圧倒的1番人気馬が勝利したことで、場内もハッピーな雰囲気になっていたと思う。ちなみに競馬ブックの予想動画TMトークが2週続けての的中となり、自分的にもハッピーな結末ではあった。

 余談になるが、この日は開催最終日ということもあり、12R終了後に馬場開放が行われた。とても人気のあるイベントで、私もこの模様はツイッターで欠かさずアップしているのだが、最近これの参加条件が非常に厳しい。入場者先着30,000人にラバーバンドというものが配布され、それに記されている番号の下ふた桁が昼過ぎに発表される当選番号と合致しない限り参加はできない。しかもその番号の種類は6つだけだから確率は100分の6。これはあまりにも狭き門だろう。その分、馬場に入ってきた人たちの密度もややスカーッとしていた。帰りの電車の混雑を緩和させるためにも、ここは完全フリーで誰でも気軽に参加できるものにしてほしい。

 上半期のGⅠシリーズも終了し、次に関西でビッグレースが行われるのは10月の秋華賞。リバティアイランドの3冠達成が懸かる重要な一戦となるだけに、今度は京都競馬場が熱狂に包まれることだろう。その日を楽しみに待ちたい。

 

青木行雄(調教取材担当)

昭和44年8月7日生 大阪府出身 A型

1993年入社。坂路調教担当。北海道開催時と西のローカル開催では本紙予想も担当。開催日はMBSラジオ「GOGO競馬サンデー!」、BS11「BSイレブン競馬中継」に出演。不振を極めていた予想動画の競馬ブックTMトークだが、ここ2週は連勝。20万円弱あった赤字の額を7万円程度にまで減らすことができた。今週のCBC賞は堅そうなので一発回収は厳しいかもしれないが、あと2回くらい当てて黒字に持っていきたいもの。