あくまで体感ですが、栗東トレセンの追い切りの割合は坂路:CWコース:その他=6:3:1くらい。

坂路とCWに追い切りが集中するのは走路がウッドチップだからでしょう。ウッドチップ調教では馬の脚への負担が少なく、かつ高いトレーニング効率を得られると言われています。

大分昔ですが、知り合いの助手さんが「札幌競馬場に滞在していた○○という馬がさ、毎日ダートでしか乗れないから日に日に歩様が硬くなっていって、最終的に機械みたいになっちゃって…(苦笑)」と話していたのがとても記憶に残っています。その○○という馬は札幌で結果が出ませんでしたが、立て直して栗東坂路で調整されるようになると、秋にはまたしっかり走れるようになりました。

それだけ、ウッドチップの果たす役割は大きいものと思います。

さて本題へ。

坂路調教を継続的に見ていると、走りやすそうな馬場なのにやたらバタバタになる馬が多いな、とか、開場直後なのに時計が出ないな、と思う時があります。

そういう時はどういう時か。大体ウッドチップの交換作業が行われているんですね。

ウッドチップはその名の通り木の破片で、グーグルで調べると園芸用のものが出てきますが、坂路に敷かれているウッドチップも見た目は似たような感じです。あくまで見た目の話です。

材質が木なので当然馬が何度も走れば細かく破壊されるわけで、定期的に交換しなければ安全に調教が行えなくなります。というわけで、年に2回、春と秋にウッドチップの交換作業が行われるのです。坂路は時計の計測区間が800mで、助走と減速区間を入れると1000m以上になるので一気に交換ができず、スタート地点から徐々にゴール地点へ向かって、調教終了後や調教全休日に作業が進むことになります。

ウッドチップ交換作業は大々的にアナウンスされるわけではないので、調教を見ていて上記のような違和感を覚えたり新しいウッドチップを見かけると、坂路スタンドのエレベーター横に張り出してある掲示を見に行き、あぁ、やっぱり交換作業してたんだな、と後になって気づくわけです。

交換といってもすべて新しいウッドチップに替わるのではなく、古いものの一部を新しいものに取り替えるのですが、どうやら新しいウッドチップの方が馬により負荷がかかるようで、それが私の言う違和感となって表れていると思います。

ところが今年は時期になっても違和感を覚えることはなく、時計の出方も安定していれば極端にバテる馬も少なく、何より走路の見た目に変化がありません。

ですが、掲示を見に行くと4月13日から5月22日の間でウッドチップ交換作業をすると書いてあり、現に5月3日に私が確認したところ、坂路の時計計測区間は既に交換作業が済んでいました。(ラチに赤いテープが巻いてあり、作業の進捗状況が分かる)

しばらく疑問を抱えてモヤモヤしていましたが、先週、5月10日の調教終了後に駐車場を歩いていると、たまたまJRAの職員さんらしき方がいたので、思い切って話を聞いてみました。

私が疑問を投げかけると「気づいてくれましたか!!」と職員さんのテンションが爆上がりして、質問に応えてくれました。

ウッドチップを交換すると馴染むまでにやはり時間がかかるようで、ギャップを少なくするために毎回かなり工夫をして作業をしているとのこと。具体的には散水量を変えたり、ローラー車の転圧を強めたりなどなど。新しいウッドチップが上部に露出しない工夫もされているのだとか。

話を聞いて後日改めて見てみると、散水の効果か、坂路と、すぐ横を通る逍遥馬道(ウッドチップ)ではまったく馬場の色が違っていることに気づきました。言われなきゃ分からないもんですね…。

調教に騎乗している騎手たちの意見も取り入れつつ、よりよい馬場造りのためにトレセンの馬場造園課の方々が地道な努力を重ねていることを初めて知りました。

競馬場の馬場もそうですが、坂路の馬場もコンディションによって日々変化があって見ていて面白いです。
今後もツイッターなどでお知らせできればと思います。

ではまた。

※今回の件は5月15日発売号の週刊誌のコラムでも書いたのですが、そこではスペースが足らなかったので改めてこちらにアップした次第です。

 

栗東編集局 丹羽崇彰

丹羽崇彰(調教担当)

1989年2月1日生まれ。2013年、キズナがダービーを勝った年にケイバブックに入社。普段は栗東坂路の調教や編集作業を担当。夏場は北海道に出張します。週刊誌の新馬紹介のコーナーを担当しているので、新馬の観察に特に熱を入れている。

さて、いよいよ近づいてきました夏の北海道。今年も函館~札幌と13週間フル参戦が決定。

たまにしか家族に会えないのが悲しいですが、モリモリ仕事頑張ってきます。

ちなみに、函館ウッドコースも追い切り頭数が多く、しかもタイムは手動計測。最初の追い日の前日は、眠れないほど緊張します。

 

Twitterを@niwa_bookのアカウントでやってますので、よければご覧ください。