関西の新馬紹介のリストアップを担当して丸2年。次開催の2回中山、1回阪神での各6鞍をもって2014年生まれの新馬戦の番組がなくなり、ひと区切りとなる。ホッとするやら淋しいやら。掲載した馬が華々しいデビューを飾れば何よりだし、いきなりではなくてもいい結果を出してくれれば安堵するし、見送った馬が走れば複雑な思いがあり、一年を通して達成感と反省する気持ちの繰り返しだ。

 ピックアップの手順は私の場合まず実馬を見ることから始まる。チャンスは水曜、木曜の追い日と日曜の坂路。コースなら体つき、角馬場での歩き、コースでのキャンター、速いところを行ったときの動きをチェックし、馬との距離が近い坂路では間近で見られる利点を生かして観察。姿を確認したあとすぐに血統を確認し、社内に戻るとそれまでの調教時計をデータで引っ張り横の比較で数字を判断。これを複数回こなしていいチェックが続くようなら取材担当者に依頼し、厩舎サイドに許可をいただいたうえで掲載という運びとなる。

 2歳馬をより早い段階から仔細に見続ける必要性が出たことは、予想をするうえで想像以上に大きなプラスとなっていて、今週のフェブラリーSの出走馬で言えば、ゴールドドリームが不良馬場のなか切れのあるフォームで楽に坂路を駆け上がり、異彩を放っていたことを思い出す。この2年間のデビュー前の追い切りで一番の衝撃を受けたのはマカヒキ。速いタイムが出ていても、とにかく「ラク」。2歳馬離れしているというか、とにかく並の馬とはエンジンが違うのだ。京都記念の敗戦は遠征帰り、不向きな荒れた馬場など理由はいろいろありそうだが、ひょっとするとこの馬、チップでも楽に時計が出過ぎて、調教だけでは負荷がかりにくいのではないかと思う次第です。

栗東編集局 山田理子

山田理子(調教・編集担当)
昭和46年6月22日生 愛知県出身 B型
水、木曜のトレセンではCWをお手伝いしながら障害コース、Bコースを採時。日曜は隔週で坂路小屋へ。調教時間が何より楽しく、予想で最重要視するのは数字よりも生身の馬の比較。人気薄の狙い馬、危ない人気馬を常に探している。09年より関西障害本紙を担当。週刊誌では15年より新たに「注目新馬紹介」のまとめ役を引き継ぎ、新馬の観察に一層力が入っている。