こんにちは、栗東の坂井です。
前回のコラムで3歳馬の障害デビューについて触れました。要約すると「3歳のうちに障害戦で勝ち上がるということはなかなか難しいこと」という内容だったわけですが、先週日曜の小倉1Rで3歳馬タマモナセバナルが逃げ切りを収めました。今年の3歳世代の障害戦出走は6月5日東京1Rのアームストロング、6月12日東京3Rのアイファーライオンに続く3例目(同じ日曜小倉1Rには3歳馬カリヨンヒーローも出走していました)。6頭という少頭数ではありましたが、自分でレースを作って勝ち切るのですから立派の一語。本紙予想担当者としては「参りました」の脱帽です。
さて、3歳馬が障害戦に出られるのはクラス編成の変わるダービー翌週から。つまり6月からなので、7月最初の週での勝ち上がりは非常に早いタイミングです。これほどまでに早く勝ち上がった3歳馬はどのくらいいるのでしょう。7月までに障害戦を勝ち上がった3歳馬は次の通りです(調査対象は86年まで)。
86年6月15日中京5R ヤマニンキャンドル
91年6月23日中京5R☆チアズシンプウ
91年7月6日中京5R カーネギヒカル
94年6月25日中京5R マイチャンピオン
94年7月17日小倉5R☆マイネルフィールド
97年6月14日阪神5R☆ニケスピリット
05年7月17日小倉4R☆ウインマジェスティ
08年7月6日阪神3R メイショウラダック
08年7月12日阪神3R サザンジェネラル
13年6月8日東京4R☆クリスクリングル
21年7月3日小倉1R☆タマモナセバナル
以上の11例が7月までに障害戦で勝ち上がった3歳馬。馬名に☆のついた6頭は初障害で勝ち上がった馬です。97年のニケスピリットなどは8月末に2勝目も収め、マチカネフクキタルの菊花賞にも出走しましたね。また、2011年までは今よりひと開催早く(ダービーのある開催=5月のうちに)出走可能でしたから、今回と同じ条件の中ではタマモナセバナルは「史上2番目に早い勝ち上がり」と言うことができるでしょう。
今回勝ったタマモナセバナルについて、障害試験の際に私がとったメモは「飛越は遠めだが大きくしっかり跳ぶ。最後の2つの障害は踏切がやや近かったが及第点。ラストまでしっかり脚を使って走り切った」。それでも平地未勝利の3歳馬がこの早い時期にいきなり走るのは厳しいのでは…と考えた結果、予想は無印にしてしまいました。競馬って本当に難しいですね。
栗東編集局 坂井直樹
坂井直樹(調教・編集担当)
昭和56年10月31日生 福岡県出身 O型
2004年入社。今回同じレースに出走し、先を越された格好になったカリヨンヒーローですが、障害試験の際、私はタマモナセバナルより上の評価をしていました。今回は発馬数完歩でアブミが外れ、芝の切れ目で飛んだり、1周目の4角でスパートしようとしたりといかにも初めてという内容。慣れればどこかで、とひそかに注目していきたいと思います。