ソダシの優勝で幕を閉じた桜花賞。白毛馬の優勝は史上初ということで、当日の夜はNHKニュースの一般コーナーでも報じられていたほど。話題性抜群で、大いな盛り上がりを見せた。
平時ならGⅠデーは1Rから場内がザワザワとしており、独特な雰囲気に包まれるもの。無観客だった昨年と違い、今年は3000人程度のお客さんを迎えることができたが、それでも静かだなという印象は否めない。先週、先々週あたりはレース中にかなり大きい声で叫んでいる人がいたが、注意喚起が徹底されたのか、行儀のいい人が多かったのか。
桜花賞当日は、有難いことに記者席でお弁当が配布される。確か2年前、3年前は馬の絵が描かれた重箱に入ったゴージャス弁当。今年(多分昨年も)は普通だったが、それでも箱がピンク色で桜をイメージしたかのようなもの。しっかりとした箱で重みがあった。どちらかというと記者も高齢者が多いので、中身は比較的あっさりめのおかずでご飯も少量だったが、51歳にもなるとこれくらいの方が嬉しく感じる。
13時からはいつも通りラジオの出番だったが、それまでに少し時間があったので場内のターフィーショップへ。ソダシのぬいぐるみが発売されたので、どんなものか見に行ってみたが見事に売り切れ。翌日の新聞記事を見ると、開場して45分くらいで完売してしまったとか。自分が行雄という名前なのもあるが、昔、同じく白毛のユキチャンのぬいぐるみを買った。写真で見ただけなので断言はできないが、今回のソダシは更に白度が増している感じ。ゴルフボールで例えると、ホワイトがパールホワイトになったような。かなりいい歳なので、さすがに購入まではしないと思うが、実物がどんなものか、また時々ショップに足を運んでチェックしてみたい。
ラジオなのでまったく伝わらないのだが、桜花賞ということでこの日は一応、ピンク色のネクタイを着けていった。そこまでしようとは考えていなかったのだが、前日に洋服店の前を通りかかると「鬼滅の刃」とコラボしたネクタイが店頭にズラリ。その中に私の好きな「禰豆子」仕様のものもあって、当然色はピンク。割といい値段がしたが、明日着けていくかという衝動に駆られ、思わず買ってしまった。当日はアシスタントのO嬢もピンクのカーディガンを着用。やはり放送に携わっていると、桜花賞というのは一段と特別感がある。
で、本題の桜花賞について。パドック解説は佐藤哲三さんが担当されているので、私は放送席のモニターでチェック。入念に乗り込まれてきたソダシは好仕上がり。集中力十分のサトノレイナス。どっしりと構えて毛ヅヤもピカピカのソングライン。体を大きく見せていたククナ。落ち着き十分のメイケイエール。このあたりが良く見えた。
返し馬に関してはアールドヴィーヴルが伸びやかで一番良かった。体はまた減っていたが、細いというほどではなかったように思う。サトノレイナスも推進力があって上々。私の本命ソダシは生で見た阪神JFと札幌2歳Sの時がとにかく良かったので、そのイメージを持ってじっくりとチェック。ただ、今回は少し捌きが硬いかなと感じた。その2走の時ほどスピードに乗せた返し馬をやっていなかったので、その分もあったのかもしれないが。ちょっと稽古をやり過ぎたか…という嫌な予感が頭をよぎり、直前になって自信度は若干下がってしまった。
なのでラジオの馬券勝負のコーナー(単勝1点、複勝2点をそれぞれ5000円ずつ買うという太っ腹な企画)にも迷いが生じたが、応援の意味も込めて単勝はソダシとした。複勝は穴っぽいところで、ククナとシゲルピンクルビー。
いよいよレース。ソダシはゲート先入れだったが、特にテンションが上がるところもなくスタートばっちり。好位のインで流れに乗れていたが、ペースがかなり速かったし、どちらかというと外を通った馬の方が伸びている馬場だったので、果たしてこれで持つのかと少々心配していたが、スムーズな捌きで直線もしっかり辛抱。最後はサトノレイナスの猛追に遭ったものの、ギリギリ凌いで勝利した。少ない人数ながらも、場内は割れんばかりの大きな拍手。流れが速かったし、当日は平場の2勝クラスで1分32秒台が出るという高速馬場だったが、1分31秒1のレコード決着にはびっくり。このあと大きなダメージが残らないことを祈りたい。
サトノレイナスは負けはしたが、ゴール前の伸びは際立っており、相当強い内容の2着。発馬がひと息で、位置取りが後ろになり過ぎたのが応えたか。3着のファインルージュはソダシをマークする形でロスのない立ち回り。追い切りも良かったので怖さは感じていたが、桜花賞に結びつかないフェアリーSからの参戦というのがどうしても気になり、印を抜いてしまった。これにより動画のTMトークもフォーカス外れ(ソダシ&サトノの3連複2頭軸流し)。うーん、残念。メイケイエールは3番人気に支持されていたが、今回も気性の若さを露呈してしまった。ベテランの横山典騎手を持ってしても制御不能といった感じで、調教再審査の制裁を食らうことに。ただ、1200mに路線変更してくれば、またいい競馬を見せてくれるのでは。
ソダシとサトノレイナスはいいライバル関係を築いていけそう。普通にいけばオークスでまた対決が見られるのかなといったところだが、実力はまったくの五分。どちらに軍配が上がるのか、非常に興味深い。秋のエリザベス女王杯はこの2頭に加えて、デアリングタクト、レイパパレも出走なんてことになれば、これはちょっとしたドリームレース。近年、牝馬の戦いはレベルも高く、本当に面白い。
ちなみに先週は馬券がまったくの不調で、久しぶりに払い戻しゼロ。ラジオの馬券勝負コーナーで辛うじて単勝が当たり、リスナーに18000円をプレゼントできたのが、せめてもの救いだった。今週は巻き返さねば。
栗東編集局 青木行雄
昭和44年8月7日生 大阪府出身 A型
1993年入社。坂路調教担当。札幌開催時と西のローカル開催では本誌予想も担当。開催日はMBSラジオ「GOGO競馬サンデー!」、BS11「BSイレブン競馬中継」に出演。今週は牡馬のクラシック第一弾、皐月賞。1週前の段階では若葉Sが強かったアドマイヤハダルを本命としたが、日曜は雨が降るかも。瞬発力が身上の馬なだけに、そうなると少し心配ではある。天気予報をしっかりとチェックしたい。オーソクレースの戦線離脱で鞍上がルメールに…。頼りになるのは間違いないが、オッズはグッと下がってしまうのだろうなあ。