秋競馬も3週目となるだけに、ネタとしてはちょっと古くなってしまうが、毎年この時期は札幌出張のことを書いているので今年も…。

 今年で6年目となった札幌出張。どちらかと言えば通いの出張が好きなタイプとあって、荷造りをする際には少し面倒だなあとも感じていた。ラジオの出演があるので、最終週までキッチリと競馬場に通い、開催の翌日に空路札幌へ。

 現地に着くと、知人宅に預けてある自転車を取りに行くのが最初の仕事。宿からは結構離れたところに住んでおられるので、まずは電車でそこまで出向き、自転車に再会するとそこからは汗をかきながらのサイクリング。途中、道を間違えてしまったこともあり、50分近くかかってしまった。結構クタクタになりながらも、パソコンなどのかさ張るものを置いてしまいたいので、体にムチを打って競馬場へ。今年は遅くなってしまった分、競馬場に行っても他社のTMさんの姿はなかった。

 1週目の朝は顔合わせのため調教班も全員、火曜日に競馬場に出勤。一部、メンバーに変更はあったものの、ほとんどが顔馴染みのメンバー。「またよろしくお願いします」などと挨拶を交わし、翌日からが本格的な仕事の開始となる。

 栗東でも調教班という立場だが、普段は坂路でばかり仕事をしているため、ストップウオッチに慣れていない自分。採時に関してはまったくといっていいほど役に立たないため、札幌ではゼッケン読みと清書のサブという立場。函館ほど一気にドバッと追い切る感じはないだけに、何とかこなせているが、昔の坂路で字を書き過ぎたせいか、今は手がスムーズに動かなくなってしまっており(腱鞘炎か?)、ちょっとプレッシャーはかかる。とは言っても1週目は裏函が主体で札幌の追い切りはまだ少なめ。その分、無事に終えることはできた。

 土曜日のひとり調教(競馬ブックは直前変わり身診断があるので、この曜日は6週間通して私が当番)もプレッシャーを感じたが、年々追い切りを行う馬は少なくなっており、結局のところ毎週2、3頭だった。余裕がある時は重賞出走馬の写真を撮ってツイッターに挙げたりもして、意外とこの時間は好きだったかもしれない。

 今年の一番派手な事件は、1週目が終わった日曜日に起こった。ちょっと開放的な気分になり、今季初めてのすすきのへ。楽しい店に行って昔からの顔馴染みと再会。カラオケなど唄っていると、すっかり終電も行ってしまった時間に。やむなくタクシーで帰路につくと、突然「ドカン」という凄い衝撃。出会い頭の衝突事故に遭い、救急車で搬送されることとなった。深夜の病院でレントゲンにCTの検査。切り傷や擦り傷の治療もあったため、宿に戻ったのは3時半頃。怪我自体は大したことなかったが、翌日が調教の日でなくて本当に良かったと思う。

 その程度だったので今はもうすっかり完治。そんなタイミングで慰謝料まで入ってきたので、ちょっと申し訳ない気分にもなった。周りからは「もっと通院しとけば良かったのに」ということをかなり言われたが、なるほど通院した回数×いくらみたいな感じで慰謝料はもらえたのかも。ただ、どこも痛くないのに病院へ行くというのもね…。

 6週間通して予想の方はボチボチといったところだった。本紙で会心のヒット!というほどのものはなかった気がするが、初日と最終日のメインレースがズバリ的中。3連単で初日の方は22万オーバー、最終日の方も16万オーバーだったので、そこはちょっとアピールできた気がする(ただ、自身で馬券も取れたのは最終日の馬単28,210円だけ。初日の方を取れていれば、随分と楽な出張生活を送れていたのだろうが)。

 約35,000人が訪れた札幌記念当日を筆頭に、今年も開催日は連日大勢のお客さんで賑わっていた札幌競馬場。中でも印象的だったのは最終日。第1Rからファンファーレが鳴ると拍手が起こり、そのボリュームは次第に大きく。メインレースの時は重賞並みの拍手と歓声だったが、もっと驚いたのは最終R、釧路湿原特別の時の異様な盛り上がり。阪神で行われる朝日杯FSの時あたりよりも、歓声の大きさは上だったかも。少し胸が熱くなった瞬間だった。あの盛り上がりを見ると、札幌にもGⅠがあっていいのではという気持ちになった。

 6年も行っていると知り合いや馴染みの店も増えてくるもので、事故を除けば私生活の面では楽しく過ごせた。休みを利用して函館にも出向いたが、札幌に比べると格段に人が少なく、時間がゆっくりと流れているようで心地いい。札幌も大好きだが、将来もし住めるとしたら函館がいいなあ、と今年も実感した。

 来年はどうやら札幌の開催が7週に延びるよう。他社のTMさんなどはかなり喜んでおられるが、自分はどう捉えればいいのだろうか。ブックの仕事に関してはそこそこやっているつもりだが、専門紙調教班という観点から見ると正直言って、私は活躍していない。このあたりで次の世代にバトンタッチして、久しぶりに夏は小倉へ。そういうタイミングが来ているのかなと、思ったりはしている。

※その分、プライベートで北海道に行く回数を激増させます。

栗東編集局 青木行雄

 

青木行雄(調教担当)
昭和44年8月7日生 大阪府出身 A型
1993年入社。坂路調教担当。札幌開催時と西のローカル開催では本紙予想も担当。開催日はMBSラジオ「GOGO競馬サンデー!」、BS11「BSイレブン競馬中継」に出演。札幌に着いた週に突然、北の地に猛暑が到来。出張が終わって関西に戻ってくると、残暑が急にぶり返す始末。何やら自分が暑さを運んでしまっている感があるが、ここにきてようやく涼しくなってきた。最近は春と秋が短い傾向にあるので、一番好きな冬の到来ももうすぐか。冬は燗酒が美味しいので、そこはワクワクします。