「リニューアルした中京の芝1200mって、意外と外枠がきてますよね?」

 「そうなんですよ、見てください。今週号の(週報の)高松宮記念のデータカプセル。表にまとめてみたんです」

 19日の月曜夜、草津駅からほど近い焼き鳥屋で、私と後輩の坂井直樹は、小島友実さんと一献を傾ける機会に恵まれた。小島さんとはグリーンチャンネルの「明日のレース分析」(現トラックマンTV)で6、7年ほど前に知り合い、弊誌で連載をもつライターさんとして、ツイッター仲間として、猫友達として交友があったが、ゆっくりと話をするのは初めてだった。小島さんが、取材で栗東に訪れ、3、4日滞在することになったので思いがけず時間ができたのだ。ツイッターでつながる坂井と3人で、焼き鳥を片手に、競馬談義に花を咲かせてビールをあおる。またこの店の鳥が美味で、ビールが進み、話題が途切れることなく次から次へと急展開。そして、今週末の高松宮記念に話が及んだ。

 冒頭の会話の前者は、馬場マイスターの小島さん。後者はブック切ってのデータ派であり、リニューアル当日から3週間中京に出向いている坂井。ふたりの見解がぴたり一致したとあれば、信頼度の高いファクターといえるだろう。2人の会話はこうだ。

坂井 「集計をとったら、明らかなんです。3週目までに中京芝1200mは6鞍行われているんですが、1~3着に入った18頭のうち13頭が10番枠以降なんですよ。勝ち馬でいえば1、13、12、6、8、12番。大方の見解が新中京の芝1200mは外枠不利というものでしたが、ここまでを振り返る限り、逆の結果が出ているんです」

小島 「データ的にもそうでしたか。私も競馬を見ていて、そう感じていたんです。改修した後もやはりコーナーの角度はきつい部類に入りますからね。どの競馬場にもバンクはあるのですが、3.5%の傾斜(3~4コーナー、100mに対して3.5mの勾配)というのは、JRAの全10場で最大です。この2つのことから、内に比べて外の方がコーナーを回りやすいんじゃないかと推測しているんです。外の方がコーナーの角度が大きいうえにバンクを利用できるわけですから、減速せずに回れるんではないかと」

坂井 「あと、ジョッキーの心理もありそうですね。「外が不利」と頭にあれば、意識は「内狙い」になり、内に馬が殺到して捌きづらくなる。実際、内でごちゃついて脚を余すようなケースは結構ありました。3週目の時点で内はぼこぼこで、悪いところを避けて回っている馬場状態ですし、まあ、内1頭分はいいようなので何ともいえない部分はありますが、基本的には高松宮記念も外有利と考えられるのではないですかね」

 ふむふむ。なるほどである。ふたりの掛け合いは面白い。小島さんにしてみればデータの裏づけがとれたわけだし、坂井にしてみれば自分の出したデータが馬場考察と一致したわけだ。お互い、持論に自信を深めたふうだった。それにしても、競馬談義というのはビールと串物があると、いっそう盛り上がる。いい夜だったと思う。

 現在21日水曜の14時32分。天気予報サイトで検索してみると、週末の中京競馬場の天気は23日(金)が「曇りのち雨」、24日(土)が「曇り時々雨」とあり、降水確率はそれぞれ70%、50%。予報通りなら、荒れた内はいっそう厳しい状況となりそうだ。
 ただ、可能性として、土曜の雨の影響が大きければ内も外も荒れてどこも同じという状況になることはあり得るし、日曜に晴れるのであれば、芝が密集していない、風通しのいい内側から乾き出すことも考えられる。
 
 今週は高松宮記念以外に芝1200mは日曜の三河特別(1000万)の1鞍が組まれている。レース入れ替えなどがなければ、このレースを見てからでもWIN5の投票は間に合う。ここで綿密な最終チェックをして、悔いのない馬券を買いたい。

栗東編集局 山田理子