サンデーサイレンス20周年(水野隆弘)

 1954年の9月16日が日本中央競馬会が設立された日なので、今週はJRA60周年のまさにその週ということになるのだが、それとは別にこの夏はサンデーサイレンス産駒がデビューして20周年にあたる。最初に出走したのは1994年1回札幌2週目6月18日7R新馬戦のキタサンサイレンス。これが初戦を飾ると7月9日にデビュー勝ちを収めたプライムステージが7月31日の札幌3歳Sも快勝。その後のサンデーサイレンス産駒の大活躍、フジキセキからディープインパクトに至る後継種牡馬の大成功は周知のとおりだ。

 サンデーサイレンスの没後12年、産駒のデビューから20年を経て、現在その勢力が日本の競馬に占める割合はどの程度なのか、要するに孫の世代がどれだけ走っているかを2014年9月14日現在のサイアーランキング(JBIS発表)をもとに調べてみた。いちいち競走成績を当たっていては骨が折れるが、リーディングサイアーのランキング表なら1位から最下位544位まで今年日本で産駒が走った590頭の種牡馬別に出走頭数から収得賞金まですべて網羅されている。作業はそこからサンデーサイレンス直仔を抽出し、その合計を全体と比較すればいい。中途半端な時期なので資料にもならないが、1年の3分の2を過ぎたところで参考までにやってみました。

 今年日本で産駒を出走させたサンデーサイレンス直仔の種牡馬は既に40億円超を稼いでいる1位ディープインパクトなどベスト10のうち7頭を占めているのをはじめ、収得賞金のない544位タイ(47頭)のイシノナイト、チョウカイリョウガまで92頭いる。全競走馬17,998頭が122,164回出走したうち、サンデーサイレンス直仔の産駒(以下SS直孫)は6,228頭が41,548回出走した。いずれも比率では34%台。JRAから地方競馬まで含め、全体の出走数の3分の1はSS直孫ということになる。

 賞金では今年9月14日までに行われた全競走の合計が563億3886.5万(円)。そのうち244億2108万をSS直孫が稼ぎ出していて、その割合は43%。これを重賞(地区重賞、自称重賞含む)に絞ると全賞金113億1647.4万のうち65億9312.4万となり、58%、実に6割近くをSS直孫が獲得していることになる。また「母の父サンデーサイレンス」は2007年からブルードメアサイアーランキングの首位を守っていて、今年も9月14日までに54億6826.1万(うち重賞10億5333.8万)を稼ぎ出した。これをSS直孫の値に加えると、全体の賞金の53%、重賞では実に67%を父系母系の孫が占めていることになる。

 サンデーサイレンス直仔の繁殖牝馬は最も若くて11歳。実際に母の父として最も収得賞金が多かったのは83億4011.3万を稼いだ2011年なので、こちらはそろそろピークを過ぎていくことになるが、当分は母の父の減少分を補って余りある勢いでSS直孫が稼ぐと見込まれる。没後12年、その勢力は生前にも増して広がっているとも言える。

 ところで、サンデーサイレンス直仔には現役競走馬が2頭いる。1頭は2002年生まれのビュレットライナー。今年も岩手競馬で9月13日までに12戦4勝と元気なところを見せ、58万9000円を獲得。もう1頭はラストクロップの2003年、英国のダーレーで生まれたダークドーンで、こちらも園田で今年9月11日までに13戦。2着が1度あって5万6000円を稼いだ。ビュレットライナーは通算124戦17勝、ダークドーンは150戦13勝。華やかさとは無縁だが、いずれもサンデーサイレンス産駒の強さの一面を示しているのではないだろうか。

栗東編集局 水野隆弘