2014年上半期のJPNサラブレッドランキングが8月7日に発表され、ドバイデューティフリーの勝ち馬ジャスタウェイが130のレーティングでトップとなった。同じ基準のレーティングによってランキングが作成されるワールドベストレースホースランキングも8月15日に1月1日~8月10日版が発表され、そこでもジャスタウェイはトップ。背後にイギリスの3歳馬キングマンの足音がひたひたと迫ってきている現状ではあるが、首位のまま前半戦を折り返したのは快挙といっていい。なお、この世界ランキング、今年から期間の切り方が毎回1月1日~○月○日までの形に変更され、すっきりと分かりやすいランキングになった。
ワールドベストレースホースランキングがインターナショナルクラシフィケーションと呼ばれていた時代、1996年に日本はオブザーバー参加、1998年から正式参加となった。1999年にはエルコンドルパサーUSAが凱旋門賞2着によって134の評価を受け、これが日本馬の過去最高レーティングとなっている。ここでは、JRAホームページで全馬のレーティングを見ることができる2001年度以降のランキングから上位馬を抜粋してみた。牝馬にセックスアローワンス4点を加えてベスト10(14頭)を並べると以下の通り。
レート 馬名 性齢 年度 距離コラム
130 ジャスタウェイ 牡5 2014 M
129 オルフェーヴル 牡5 2013 L
128 ロードカナロア 牡5 2013 S
127 ディープインパクト 牡4 2006 L
127 ナカヤマフェスタ 牡4 2010 L
122 ジェンティルドンナ 牝3 2012 L
125 アドマイヤムーン 牡4 2007 M
125 クロフネUSA 牡3 2001 M,I(ダート)
121 ブエナビスタ 牝4 2010 I,L
120 ウオッカ 牝4 2008 M
124 ゴールドシップ 牡3 2012 L
120 シーザリオ 牝3 2005 I
124 シンボリクリスエスUSA 牡4 2003 L
124 ハーツクライ 牡5 2006 L
2001年以降、レーティング120以上(牝馬は116以上)を得た日本馬の延べ頭数は82頭。年度ごとの頭数は以下の通りおおむね平均6頭となる。
年度 頭数
2001 8
2002 0
2003 4
2004 3
2005 6
2006 6
2007 6
2008 6
2009 6
2010 6
2011 11
2012 9
2013 8
2014 4
突出したところを見ていくと、2001年はアグネスデジタルUSA、ステイゴールド、エイシンプレストンUSAが香港国際競走に勝った年で、3歳世代も皐月賞勝ちのみで引退したアグネスタキオンこそ116にとどまったが、ダートのクロフネUSAが125、ジャパンCG1のジャングルポケットが123、有馬記念のマンハッタンカフェが120と高い評価を受けた。粒ぞろいでハイレベルだった印象がレーティングによっても裏付けられている。2011年はヴィクトワールピサのドバイワールドカップG1制覇を頂点とする国際的な活躍と、古馬のブエナビスタ、3歳のオルフェーヴルのほか、ダークシャドウ、トゥザグローリー、ペルーサなどG1勝ちに至らなくても120以上の評価を得た馬もいて、全体の水準は高かった。翌2012年はそこにスプリントのロードカナロアや3歳のジェンティルドンナとゴールドシップが加わり、多彩な名馬名牝の登場を見た。
生年別の集計は以下の通り。延べ頭数は1頭で3期120以上なら3と数えるということです。
生年 頭数(延べ)
1994 4(4)
1995 0(0)
1996 2(2)
1997 3(4)
1998 3(3)
1999 3(4)
2000 2(3)
2001 6(8)
2002 2(3)
2003 5(7)
2004 4(7)
2005 3(4)
2006 4(6)
2007 8(13)
2008 2(5)
2009 4(10)
2010 1(2)
2001年生まれは今を時めくハーツクライに加え、ダイワメジャー、牝馬のスイープトウショウ、オーストラリアで活躍したデルタブルースとポップロック、晩成のカンパニーのいる世代。翌年はディープインパクトに圧倒され、それ以外には牝馬のシーザリオだけが120の評価を得た。頭数、延べ頭数ともに最大の2007年生まれは前述のヴィクトワールピサが代表格だが、この世代はエイシンフラッシュ、ダークシャドウなど長く一線級で活躍するものが多かったために近年で最大勢力となった感が強い。2008年生まれがオルフェーヴルとロードカナロアの2強に尽きたのに比べると、2009年生まれはジャスタウェイ、ゴールドシップ、ジェンティルドンナ、フェノーメノが長く活躍していて、現役最強かつ近年最強世代となった。
秋にはジャスタウェイ、ゴールドシップ、ハープスターが凱旋門賞G1を目指すというし、かといって国内が手薄になるかというとそういうこともない。それくらい全体のレベルは上がっている。レーティングはあくまで出た結果に対する評価なので、より高いレーティングをめざすということは難しいが、より強い相手を求めての海外遠征であったり国内でのキャンペーンであれば、おのずと結果はついてくる。強い馬が無事に競馬をしてくれることが一番とも言えますね。蛇足ながら、ジャスタウェイはイギリスに向かってマイルのクイーンエリザベスII世SG1でキングマンと対決するとか、同日の10ハロン戦、チャンピオンSG1で世界最高レーティングのダメ押しをめざすという選択肢もあったのではないかと、これは外野の独り言。
栗東編集局 水野隆弘