30日、日曜朝。
9月30日(日)の阪神競馬は、台風の影響により、安全な競馬の施行に支障があると判断されるため、開催を中止いたします。これに伴いWIN5の発売も中止となりました。
なお、代替競馬は、10月1日(月)に出馬投票をやり直さずに開催いたします。出馬表の変更はございませんので、お持ちの専門紙等はそのままご利用いただけます。
とJRAが発表。阪神開催がなけりゃ、代替の月曜分の新聞製作もなし、いうことで栗東所属チームは空白の1日。それなら久しぶりに、仕事を忘れてG1スプリンターズSを楽しもうじゃないかと決め込んだ。家で、テレビ観戦だ。その前に……。台風に備えてひと仕事。ベランダの物干し台を倒して、洗濯用のハンガーは家の中へ。庭にあるほうきやゴミ箱、植木が飛ばされないようひとまとめ。午前中のうちに一度ちらっと事務所に顔を出して雑事を済ますと、家に戻って家中の雨戸を閉めて、テレビの前に座り込む。
ちらちらと撮りためたブルーレイや他局チャンネルをチェックしつつ、また、時折うとうとしながらテレビで漫然と中山競馬を観戦。あれこれなんだかんだいううちに時間が過ぎていく。ところで、G1レースの前に、それと同じ鞍が設けてあるのはJRAの計らいなのだろうか。馬場状態や勝ち時計、前後半のペース、枠順やコース取りなど参考になるファクターが満載で、馬券を買う側はリアルに近いシミュレーションができる。偶然たまたまなのか、意図があってのものか。後者なら、アイディアを出したJRAの人はおそらくその昔のJRAに就職する前、藁をもすがるようにありとあらゆる情報を収集して馬券を買っていた馬券オタクだったのではないかと想像を掻き立てられる。これぞ、ファンサービスだ! 本日はひとレース前の第10R勝浦特別が芝1200m。いいぞ、いいぞ。 結果はサクラアドニスが1分7秒6で勝利した。前日土曜は少しばかり時計を要したが、日曜は晴天に恵まれ、台風の影響で風も強いこともあってか、芝はまた速くなっているようだ。馬場状態とメンバーのレベル、そして、この開催2日目の1600万特別で1分6秒9が出ていることも踏まえれば、G1も1分6秒台の決着になって不思議ないところ。10Rの前半3F33秒4の数字も、レースを観るうえでの参考ラップとなりそうだ(ちなみに昨年は勝浦特別が前半3F33秒1、スプリンターズSが33秒0だった)。あと内外の馬場状態の差はどうなのか。10Rの勝ち馬はインを立ち回って直線ソツなく抜け出すお手本のようなレースだったが、前日も含めたそれ以前のレースも踏まえると差しもある程度は決まりそうだ。
さて、スプリンターズのパドックと返し馬。前段階の自分の予想を踏まえて、慎重に最終チェックを始める。ピックアップしたのは内枠から順にこう。
2番フィフスペトル:背中が短く体形的に1200mの適性あり。久々でも気合が乗って体も仕上がっている。
7番リトルブリッジ:胸前といい股といいムキムキでボリューム満点。やっぱ香港のナンバー1だけある。気合も凄い乗っている。高速決着でどうかと思って無印にしたけど、もしかしてアッサリやられたりして。
14番カレンチャン:マイナス12キロ。ここまで減らなくても良かったかもしれないが、もちろん、細いということはない。闘志を内に秘めた感じで、テンションも適度。毛ヅヤが良く、歩きのテンポもいい。この馬、ホントに隙がないと思う。
15番エピセアローム:プラス2キロ。逞しさではまだちょい足りないが、テンションは上がっておらず、馬体増での出走。3歳秋を迎え、ずいぶん大人びてきたものだ。
16番ロードカナロア:マイナス6キロ。前走のセントウルSの時より体のラインのメリハリが出て筋肉のラインがしっかり。もう少しシャキッと歩くようになればなお頼もしいが、それでも、この馬としては力強さが出ている。返し馬はバネがあって良かった。
一方、予想で印をつけながら評価を下げたのは2頭。
3番ドリームバレンチノ:パドックの歩きの歩幅が小さい。硬さがあるのか。筋骨たくましいこのメンバーに入ると、馬体もそんなに目立たない。
11番パドトロワ:パドック周回を重ねるごとにテンションが上がり、発汗も目立つように。地下馬道を歩く際のイレ込み加減を見ると心配……。
締め切り間際に、3連単48点投入。当たる気満々で、背筋を正してファンファーレを待つ。
さあ、レース。バラッとしたスタートから、先行勢がドッと前へ。好発を切ったキャプテンオブヴィアスの外から、ダッシャーゴーゴー。内にマジンプロスパー、エーシンヴァーゴウ、パドトロワと5頭が並ぶ、想像以上の熾烈な展開に。マジン、パドトロワの後に、エーシン、ダッシャーと隊列が収まるが、前半3Fは32秒7。90年のG1格上げ以来5番目に速いラップだからペースは速い部類。1番人気カレンチャンは出入りのある前の集団を一歩引いて見る形で追走。枠なりに外、外を回りながら、直線半ばで逃げるマジン、パドトロワを捉えていざ先頭に立たんとするが、そこへグイグイと迫ってきたのが同厩舎の弟分ロードカナロア。大外枠も何のその、カレンチャンの更に後ろから、更に外から追い込み、さほど手間取ることなくこれを捉えると、見た目に勝利を確信できる4分の3馬身の差をつけて頂点に立った。1分6秒7はレコード。スプリンターズSとしては、従来のレースレコードだった2001年のトロットサンダーの1分7秒0をコンマ3秒上回るものだ。カレンチャンは不利もなく、自身のベストタイム1分6秒8で走って全力を出し切った。死力を尽くした女王を完全に捉えたロードカナロアの強さを称えるべきだ。頂上決戦にファンは沸き、高揚した。そしてまた、ゴールの瞬間にさっと左の手のひらを天に照らした岩田騎手のポーズも、あたかもエンディングが分かっているショーの主演のようで華麗だった。
馬券は、ドリームバレンチノを外したから何もなし。松山騎手はJRAG1での騎乗は3度目だったが、直線は混雑した内の狭いところから追いたくって3着にもってきた。予想で△、競馬ブックWEBの動画推奨(無料ですので、ぜひ見てください!)でも入れてたのに外してもうた……。いつものようにタラレバ、タラレバ……がぐるぐると回る。そのうえ、G1で負けたがために予定外に最終レースに手を出して赤字が増大するというおまけまで。でも、いいのよ、今日はロードカナロアが強いレースを見せてくれたから……と、そんな1日でした。チャンチャン。
栗東編集局 山田理子