記録ずくめの2020年(山田理子)

 “世紀の一戦”と謳われた2020年ジャパンカップは年長5歳アーモンドアイの勝利で幕を閉じた。三冠馬3頭が同時期に現役生活を送ったことは過去になく、デアリングタクトの秋華賞制覇からアーモンドアイのラストランとなった先週のジャパンカップまでの貴重なひと月余の間に、史上初となる三冠馬3頭の対決が実現。しかも、3歳2頭は無敗馬だったから2020年11月29日は後世に語り継がれる日となる。

 この勝利によりアーモンドアイは自身が記録した天皇賞(秋)で記録した芝のGⅠ勝利記録を8→9に更新するとともに、総獲得賞金が19億1526万3900円(JRA以外も含む)となりキタサンブラックの18億7684万3000円を抜いて歴代1位に。手綱を取ったクリストフ・ルメール騎手は年間GⅠ8勝となってアーモンドアイが牝馬三冠を達成した2018年に自身が記録した歴代最多記録に並び、記録ずくめの2020年らしい結末だったとも言える。

 記録ずくめと言えば、今年は連勝、連覇、史上初が非常に多かった。4月18日の中山グランドジャンプでオジュウチョウサン(石神騎手)が同一重賞5連覇の偉業を遂げ、5月3日にはフィエールマン(ルメール騎手)が天皇賞(春)を連覇。10月18日の秋華賞ではデアリングタクト(松山騎手)が、10月25日の菊花賞ではコントレイル(福永騎手)が無敗での三冠制覇。短距離路線は安田記念、スプリンターズS、マイルチャンピオンシップを圧勝したグランアレグリア(池添騎手とルメール騎手)によって制圧され、今週のチャンピオンズカップには国内無敗8連勝中のクリソベリル(川田騎手)が出走。あらゆるカテゴリーで同じ馬が同じ鞍上が人気に応えて連勝街道を突き進み、GⅠ戦線は、主役が入れ替わることなくきている。また、昨今言われる牝馬の活躍がより顕著だったのも2020年の特徴で、ここまで10の牡牝古馬混合GⅠのうち、高松宮記念(モズスーパーフレア)、大阪杯(ラッキーライラック)、安田記念(グランアレグリア)、宝塚記念(クロノジェネシス)、スプリンターズS(グランアレグリア)、天皇賞(秋)(アーモンドアイ)、マイルチャンピオンシップ(グランアレグリア)、ジャパンカップ(アーモンドアイ)の8競走で牝馬が優勝している。

 本年残るJRAGⅠはあと6つ。どんな締めくくりになるのでしょう。

栗東編集局 山田理子

山田理子(関西編集兼調教担当)
毎週の障害試験で時計を測り、飛越や馬についてメモした紙が20年以上分たまりにたまり、机の引き出しを占拠してます。