終戦の日の一日前に終戦する(田村明宏)

 今週で通して12日間の2回新潟開催が終了。関東圏でいうと福島、新潟と10週間続いたいわゆる、夏のローカル開催が終わって舞台は残暑の厳しい中山に移る。後半は相次いで上陸した台風のせいでトレセンの調教は多少、影響を受けたが、競馬開催は順調に消化され無事に次週からの本開催を迎えられそうだ。北海道へ長期滞在していた出張者も帰って来るし、普段と変わらない日常の風景が戻ってくる。
 普段からスポーツイベントに興味がある訳ではないので開幕前はあまり気にもしていなかったリオ・オリンピックだったが、日本選手の活躍と時差の関係で視聴しやすい環境だったせいか、ルール自体もロクに分からないのに女子レスリングを観戦したりであまり退屈することもなく時間を過せた。そんな夏の日々でも一日だけは少し違う時間を過すことに。本格化していた猛暑のせいか、トレセン、自宅、新潟の往復を続けての遠征の疲れが出たのか8月15日は外出することなく丸一日を休養に充てることになった。前日の関屋記念では期待していたヤングマンパワーがいつものように頭の高い走りながらゴール前でキッチリ抜け出したのを確認して普段通りに帰宅したのだったが。
 71年前の出来事で私自身は知る由もないが、この国は終戦、正確には敗戦の日を迎えた。今から考えると無謀な戦争を始めて当然の如くに負けたのだが、当時はノンビリと競馬を楽しむことなど出来なかったし、多くのひとは食べるものにも苦労したと聞く。夏の暑さや鳴き続ける蝉の声は同じだったろうが、飢えや絶望の中で過す日々はどんなものだったか。予想通りの結果にならなかったり、馬券を買って当たった、外れたと一喜一憂。出張先では思わぬアクシデントに遭ったりもしたが、毎週、競馬に参戦して生活できるのも平和な世の中があってこそ。前日の14日には私自身は戦い終わって15日には少しばかり休養。先人達の苦労に思いを馳せながら穏やかな気持ちで終戦の日を過したのだった。こんな反省の日も一日くらいは必要かもしれない。

美浦編集局 田村明宏

田村明宏(厩舎取材担当)
昭和46年6月28日生 北海道出身 O型
台風一過で夏の暑さが戻った8月の最終日。久しぶりの好天に恵まれたが、空気は爽やか。秋の到来も間近に感じるようになった。夏季限定で担当していた厩舎とも今週でお別れ。その中から今週は新潟記念を予定しているルミナスウォリアーに注目。前走は昇級していきなりの重賞挑戦だったことを考えるとやや過剰人気だったかも。今回は余裕のあるローテーションでいつもの調整に。巻き返す余地は十分。