秋らしい。訳ではないけれど、曇りの日が多く湿度が高くとも気温はグンと降下。
朝晩は特に秋を感じずにはいられない季節になってきた。
お腹がやたらと空くのはそのせいか。朝から晩まで空腹感との闘い。
競馬場でもがまんがまん……
それでも自然と食べているようで、数字も体の輪郭もふっくら。食欲から肥ゆる秋になってきた。
しかし、これでは本格的に病気になり、食欲どころではなくなってしまう。お風呂に入って、膨らんだお腹を揉みながら考えた。
秋なのだから芸術だ。
自分の場合、もっぱら読書と映画鑑賞か。何を読もうか、上映中の映画で何が面白そうか。そんなことを考えていれば、食べることを考える時間は僅かでも少なくなるかもしれない。
1年間に映画を100本。以前、これに挑戦した30代の頃は80本に到達するのが一杯一杯。
簡単そうで1週間に約2本ずつ見なければならないのは意外とハードルが高い。
年を大きく重ねて、性能もより低くなっている。年間100本ではハナからあきらめてしまう可能性が高い。
そんなわけで達成可能な数、年間30本を目標に掲げてみた。
2週間にほぼ1本でいい。一日にまとめて2本見れば、その月はかなり楽な感じになる。
目標と言えるほどの数字ではないけれど、現状の自分の生活を顧みれば、これでも達成できるとは言い切れない。
思い立ったが吉日、さっそく、都電で終点の早稲田まで乗って、昔ながらの名画座“早稲田松竹”に行くことにした。
早稲田松竹は1951年、昭和26年に松竹系の封切館として開館。その後に名画座になり、現在に至っている訳だが、何といっても2本セットでの上映というのがありがたい。
大抵はどちらか1本に興味があっていくのだが、おまけの1本に貴重な作品がある。
目的じゃない方の映画が結果的に印象に残った。なんてことはよくあった。
坂道を上がって下って、現地に到着してみるとちょっと様子が違う。
表にあったような気がした自動券売機が見当たらない。
おそるおそる、中に入ってみると受付の係の人が声をかけてくれてスムーズに対応してくれた。
昔は自由席だっただけれど、コロナ後は手売りで指定席になったらしい。
ひょっとして。よくあるコロナ案件で、ここも1本しか見れなくなったのか……と少しビビっていたら、次の映画はどうしますか?と聞いてくれた。
まだ昔の良きシステムを残しているところもあるのだと、非常に安心して映画を鑑賞する前に嬉しくなった。とは言え、昔は朝から晩まで、一日中いても良かったのだから、コロナの影響がまったくない訳ではない。
それでも、2本見れれば十分。
しかも、2本でも1本でも料金は1,500円。ホームページを見ると今年の6月に料金を改定したと書いてある。記憶は定かではないけれど、前はもっと安かったのか。
さてさて、肝心の映画。勢いでろくに調べず来たので、肝心の内容は概要もわからず、いざ見てみれば1999年のフランス映画2本。前衛的な作品で、今の自分に理解しがたいような内容。
途中からは苦痛を感じて、早く終わらないかと思ったが、家とは違って最後まで見なければならなくなるのが劇場で見る利点か。
心をゆすぶられるようなことはなかったけれど、それでもいいのか。そんな時代のそんな映画があったのかということを認識できただけでも良かった。
正味、5時間。ステンレスボトルに入れてあったコーヒーを飲んだだけ。
何も食べずに、食欲がわくこともなかった。
果たして、芸術と肥満は反比例するのだろうか。
いずれにしてもこの調子で何とかしのがないと、いつ来てもおかしくない循環器系の病気が急に来るかもしれない。
ほとんどがひとりでいる生活なのだから、現役でやれている内は少し過剰なくらい気をつけた方がいいのかもしれない。
ついつい、病院を避けてしまっている。
行ってしまえば意外と安心できるのに、何だか本当のことが分かるのと、普段の悪行がバレてしまうのではないと勝手にビビっている。
同じビビるのだったら、病気に対してビビればいいのだろうけれど……このあたりの心理状態が自分自身ではよく分からない。
いずれにしても我々の仕事は週末のお客さんの楽しい時間をより、充実したものにできるよう、いろいろな情報を目や足を使って提供すること。
自分自身の体調がひどくなってはそれも難しくなる。
何よりも自分自身が競馬を楽しめなくなってしまうのだから、いい情報を提供できるわけがない。
今週は好メンバーが揃った天皇賞・秋で、来週はブリーダーズカップに日本でもJBCが佐賀と北海道で行われる。
週末の日中だけではなくて、早朝から月曜日まで競馬が待っている。
食べ過ぎ、飲み過ぎに注意。
ちゃんとビビりながら、いい秋競馬にしましょう。
美浦編集局 氏名 吉田 幹太
吉田幹太(調教担当)
昭和45年12月30日生 宮城県出身 A型
道営から栗東勤務を経て、平成5年に美浦編集部へ転属。現在は南馬場の調教班として採時を担当、グリーンチャンネルパドック解説でお馴染み。道営のトラックマンの経験を持つスタッフは、専門紙業界全体を見渡しても現在では希少。JRA全競馬場はもとより、国内の競輪場、競艇場、オートレース場の多くを踏破。のみならずアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、フランス、イギリス、マレーシア、香港などの競馬場を渡り歩く、案外(?)国際派である。