今の自分だったら当てられるか、2010年有馬記念ver.(丹羽崇彰)

カタールW杯が始まりました。

2002年当時中学生の野球少年だった私は、日韓W杯を見てサッカーの面白さにハマり、高校進学を機にサッカー部へと入部。足元の技術は一向に向上しませんでしたが、野球部出身ということで肩が強く、地面を這いずり回ることもできたので結局キーパーのポジションに収まり、下手ながらも何とか3年間退部することなくやり切りました。

私は自分が思っている以上に衝動的に行動する人間なのかもしれません。

競馬を好きになり、そして職業にまでしてしまったのは1つのレースがきっかけでした。2010年の有馬記念。大学生だった私はバイト先の韓国料理店の社員さんに誘われて、有馬記念の馬券を買うことになります。12月24日が金曜日だったのははっきり覚えていて、土日に競馬があるんだから金曜日から馬券は売っているだろうと午前中にウインズ横浜に行きましたが、勿論開いていない。調べたらネットでも買えるらしいぞ、ということで即PATの会員登録をして馬券を買いました。PATに登録していなかったら、あの馬券が当たっていなかったら、私の人生は変わっていたかもしれません。

初めて買った馬券は3連複で、名前が格好良かったヴィクトワールピサと、どうも人気らしいブエナビスタの2頭軸、相手は総流し。ローズキングダムが取り消したので13点の勝負となりましたが、3着に人気薄のトゥザグローリーが飛び込んで配当11,610円。いきなり万馬券を的中することができました。お手本通りのビギナーズラックですが、当時の私は競馬の才能があると思ったようで、そのまま競馬道を進むことになります。

先日、ふと思ったことがあります。
競馬記者になってある程度知識がついた今、2010年の有馬記念を予想したらどうなるだろう。
幸い弊社のサイトには当時のデータが残っていますし、重賞レベルだと映像も見られますので、物は試しにやってみることにします。
結果を知っているのでどうしても先入観はありますが、できるだけフラットに考えるよう心がけます。各馬のデータは2010年有馬記念までの物を参考。

以下、考えたことをできるだけそのまま文章化します。

 

1枠1番ヴィクトワールピサ……【▲】
前々走の凱旋門賞はあんまり上手に乗られていない印象。終始馬群が密集する形で、しかも内枠。トビが大きいこの馬には厳しい展開。
前走のジャパンCは上がりが速くて切れ負け。ダービーの時もそうだった。
同じ速度でずっと走ることが得意っぽい。
内々を上手に乗られたとはいえ皐月賞の内容が良く、中山向きか。
海外帰りの中3週にしては調教しっかりやってる。

勝ち切るまではどうかだが、崩れること少なそう。

1枠2番ネヴァブション……【…】
7歳馬。
前々走秋の天皇賞では直線でジリジリ来てる。けど、前走のステイヤーズSは中団でリズム良く走れ、4角でも雰囲気良かったのに、直線は切れ負け。
長距離戦走ったあとの中2週ではさすがに厳しいか。

っていうか東京2000mのスタートのアングルが非常に見やすい!
正面から映す今のアングルは見にくくて仕方がない。
横から映してくれ。

2枠3番フォゲッタブル……【…】
前走のステイヤーズSのレースぶりがある意味凄い。
1周目と2周目、2回引っ掛かってないか?これでよく5着に残ったな。スタミナある。
でも、ステイヤーズSからの臨戦はなぁ……。

2枠4番トーセンジョーダン……【…】
4歳馬で3連勝中。
ソツなくレースを運べるタイプで、個人的に好みの馬。
フォトパドックの画像を見るとちょっと太いかも。坂路の時計から判断しても、完調一歩手前かな。
G1も初めてだし、ちょっとやめとこ。

3枠5番ルーラーシップ……【△】
めっちゃフットワーク大きい。馬体かっこいい。

ダービー以来約半年ぶりの鳴尾記念を快勝するあたり力ある。
ダービーで力んでいたあたり、コーナー6回通る2500mはちょっと長いかも。

レース当週と1週前の調教が芝なのが気になるな…。日曜日には一応CWで時計出せてるけど、久々好走の反動を懸念。

3枠6番ローズキングダム……【出走取消】

4枠7番ブエナビスタ……【◎】
一番強いのはこの馬っぽい。
前走ジャパンCは直線で斜行して1位入線→2着に降着になったけど、能力では頭1つ抜けてる。スミヨン騎手も継続騎乗なら、馬の癖は分かっているはず。というか、2010年ジャパンCのカメラワークがひどい。ブエナビスタの斜行シーン映ってないし、とにかく見づらい。すみません、映像に対する愚痴が多いですね。

 

調教ちょっとだけソフトだけど、秋3走目だから仕方ないか。デキを保ってさえいればいい。

連は外さないか、ということでちょっと消極的な理由ながらも本命に。

4枠8番メイショウベルーガ……【…】
前走ジャパンCで直線でブエナビスタと並んだところから、あっという間に離された。ブエナにちょっと寄られてたかも?
使い詰めで上積みはなさそう。牡馬相手のG1だと厳しいか。

5枠9番ダノンシャンティ……【…】
いい馬だけど、体形的に距離長そう。
ダービー取消後の復帰戦が有馬記念では、さすがに厳しいか。
フォトパドック見ると、筋肉の張り戻っていない感じ。

5枠10番エイシンフラッシュ……【○】
前走のジャパンCは先行して力み気味。直線全然弾けず。
前に行くと味がないタイプっぽい。
それが分かったということで、ジャパンCの敗戦には意味があると思う。
叩き3走目で走り頃。好評価。

6枠11番トゥザグローリー……【二重△】
穴馬として魅力ありまくりじゃないか。
前走小倉で行われた中日新聞杯のラップがとても優秀。
マイルCSは明らかに距離忙しそうだったので、2500mくらいあっていいかも。
キャリア浅いけど、印は打っとこ。

6枠12番ドリームジャーニー……【△】
いっつも出遅れて、戦法は追い込みの一手。
中山と阪神得意そうだけど、展開が微妙。

7枠13番オウケンブルースリ……【△】
前々走の京都大賞典で約1年の休養から復帰。前走のジャパンCが叩き2走目だったけど、馬体の張りが悪く、体調面に疑問符。
フォトパドック見ると、今回は大分良くなっている。この馬も追い込み一手だけど、上積みに期待。

7枠14番ペルーサ……【…】
人気先行って印象で、あんまり好きなタイプじゃないな……。
有馬記念のメンバー見ると、逃げる馬少ない。差し届かない可能性大。

8枠15番レッドディザイア……【…】
アメリカ帰りで厳しい。

8枠16番ジャミール……【…】
ステイヤーズS組は基本的にノーマーク

はい、以上となります。疲れた……。

後半はもう文章が適当になってしまいましたが、一応ちゃんと予想はしました。

結果的に
◎ブエナビスタ
○エイシンフラッシュ
▲ヴィクトワールピサ
二重△トゥザグローリー
△ルーラーシップ、ドリームジャーニー、オウケンブルースリ

となりました。

トゥザグローリーを4番手評価にしてるのは、やっぱり結果を知っちゃってるからだけなのかな……。まったく人気ないところを見ると、当時はかなり印を打ちづらい馬だったに違いありません。

今馬券を買うとしたら、ブエナビスタとエイシンフラッシュのワイド1点とか買いそうな気がします。少なくとも3連複総流しはしないので、外れていたでしょね。

ちょっと無茶な内容のコラムになってしまい、そしてまた今回も特にオチはありませんでしたが、今は種牡馬になっている馬の現役時代を見られたりして、新しい発見がたくさんありました。

今度は別のレースをチョイスしてこそっとやってみようと思います。

皆さんも暇で暇で仕方がない時にやってみてください。時間はつぶせますよ。

 

栗東編集局 丹羽崇彰

丹羽崇彰(調教担当)

1989年2月1日生まれ。2013年、キズナがダービーを勝った年にケイバブックに入社。普段は栗東坂路の調教や編集作業を担当。週刊誌の新馬紹介のコーナーを担当しているので、新馬の観察に特に熱を入れている。

いよいよ関西のダブル開催がスタートします。ついに来てしまったかという感じですが、体調に気をつけて頑張ります。

Twitterを@niwa_bookのアカウントでやってますので、よければご覧ください。