11月20日(水)、JRAは来年度より、障害競走を主に第3場(ローカル場)で施行することを発表した。明文化されたのはこう。
「2014年度以降の障害競走については、2場開催時や主要オープン競走を除き、原則として第3場での編成を基本とし、同日に2競走編成する場合は同一場で編成することといたします」
背景にあるのは周知の通り、障害ジョッキーの不足であり、JRAもこれを今回の決断の最大の要因に挙げている。今年1月19日に京都競馬場で行われた牛若丸ジャンプSにおいて、ディアプリンシパルに騎乗した北沢騎手とローレルレヴァータに騎乗した金子光騎手が落馬負傷したため、翌日京都・中山で2人が騎乗する予定だった2頭に跨るジョッキーがいないという理由で出走取消になった。物理的に騎乗が可能だった騎手は数人いたが、障害戦というのは人と馬が一体になって小さな丸太を跨ぐところから始め、段階を踏んで1カ月ほどの時間をかけて試験を受け、ようやくデビューするといった運びなので、じゃあ、あなた体空いているから実戦でこの馬乗ってくださいと急に言われても、ふたつ返事で、はい分かりましたとはならない。JRAはJRA側の理由で2頭が出走取消になった事実を重く受け止め、早急に次の開催1回東京と2回京都の番組を変更。日曜にはひと鞍だけを施行する対策を講じた。これなら、仮に土曜のレースで騎手が負傷しても、日曜には東西のうち誰かは騎乗できるだろうという算段だ。実際、その後、騎手不足による出走取消はなく、応急処置としての効果はあったが、人数が足りないことに対する抜本的な解決はなされてないから、いかんせん土曜日に頭数が集まらない。少頭数のレースが続き、深刻さは増していったように思う。
ローカル場に移した理由に、平地競走と比べて売り上げが良くないことは確かにあるとJRAは明言した。ただ、同時に1つの場に集中すればジョッキーの騎乗機会を確保できる、ローカル場で行われれば若手ジョッキーの新規参入を期待できるとのメリットも挙げている。簡潔に説明を加えると、北海道では障害競走は行わず函館、札幌を含んだ3場開催中は、実質2場開催扱い。また、本場としてではなく第3場として開催される1回小倉(2月)でも障害競走は行われない(関東勢の輸送面の負担を考慮)。更に重賞及びオープン特別は、原則的に今までの施行条件で行うという方針だ。
さて、24日(日)に発表された平成26年度春季番組表を眺めてみる。ローカルでは1Rや、4、5Rが連続で障害戦なんて日は当たり前になり、土、日に3鞍という週も。それはそれで新鮮で、JRAの思惑通り、ひとつの場に馬と人が集結すれば、今より出走頭数は増えるかもしれない。若手参入も期待できるのではないか。福島、新潟、中京の置き障害コースの鞍数が増える一方で、オープン特別・重賞が従来通り固定障害の本場で行われるレース体系は不自然でならないが、大きなテコ入れが図られ、いい事も悪い事も含めて来年から障害戦が大きく変わる。
栗東編集局 山田理子