いろいろとあった2020年も間もなく折り返し。上半期を締め括るドリームレース、宝塚記念が来週に迫った。コロナ禍により国内戦にメンバーが集まり、安田記念のGⅠ馬10頭に続き、こちらにもGⅠ8頭が集まる豪華顔合わせ。文字通り「夢の対決」が実現する。小社週刊誌では、GⅠ競走に関して2週前の有力馬の様子をレポートする企画があり、宝塚記念のそれに携わるなかで牝馬が近年高確率で馬券に絡んでいることに気づいたので、備忘録として書き留めておくことにする。

 牝馬は、81年~09年の29年間では38頭が出走して(1.1.4.32)に対して、10年以降の10年間では(2.3.4.11)に成績がアップ。優勝馬は、09年以前がスイープトウショウ(05)のみだったが、この10年間でマリアライト(16)、リスグラシュー(19)が名を連ねて単勝回収率は152.5にのぼる。3着内率に至っては15.7%から45.0%へうなぎ昇り。出走すれば半分は複勝圏内に入ってくれる数字の裏づけに加え、この1年で牝馬が宝塚記念(リスグラシュー)、天皇賞・秋(アーモンドアイ)、有馬記念(リスグラシュー)、高松宮記念(モズスーパーフレア)、大阪杯(ラッキーライラック)、安田記念(グランアレグリア)に勝っている現実を目の当たりにすれば、データ派ではない私でも乗っかりたくなるというものだ。

 果たしてなぜ牝馬が好走するのかはよく議論され、馬のレベル向上、精神面を含めた育成技術の進歩、セックスアローワンスなどが言われており理由はひとつではないと思うが、この宝塚記念に関しては急激に湿度が上がる気候に対する耐性が牝馬の方が強いのではないかと感じている。特殊な季節に行われる唯一のGⅠ。過去の成績、数字から辿る能力比較だけで答えを導き出すのは他のレース以上に難しいのかもしれない。

 今年はラッキーライラック、クロノジェネシスのトップクラスが登録しており、とりわけ気になるのは前者。父は12年の優勝馬であり、その父ステイゴールド産駒のこのレースでの強さは周知の通り。この春の大阪杯では、内々を立ち回り、直線で馬と馬の間の1頭分を抜けてくる阪神内回りのお手本のようなレース運びだった。3連勝で阪神ジュベナイルFを制した2歳女王が、4歳秋にエリザベス女王杯、5歳春に大阪杯のタイトルを上積みして、顕著な成長力を実証している。◎はサートゥルナーリアの予定だが、こちらも非常に気になる1頭。1週間かけて熟考しましょう。

栗東編集局 山田理子

山田理子(関西調教・編集担当)
障害戦好き。新馬紹介のリストアップに日々追われている。馬券は、手堅くでもプラスにして、浮いたお金で増やすのが夢。がさつなところを減らすのと、ちゃんとした名前のある料理を作れるようになるのが直近の目標。