こんにちは。栗東の坂井です。

 4週間の夏の小倉開催も折り返しを過ぎました。関西圏では小倉開催の前まで3週間のブランクがあったためか、現場=競馬場で仕事をしている身にはどうしても「短い夏」という感覚です。

 今年、その短い夏の影響をまともに受けたもののひとつが九州産馬です。夏の小倉開催が6週開催になった2011年以降、九州産限定戦は、1週目に新馬戦1鞍、2、3週目に未勝利戦が各1鞍、そして1週空けて、5週目にオープンのひまわり賞という日程で行われてきました。

▲昨年の2回小倉の番組表。赤く囲んだのが九州産馬限定戦。ひまわり賞の前に1週ブランクがある

 ところが今年の小倉開催は4週間。そのなかで新馬・未勝利戦3鞍とひまわり賞が組み込まれたため、1週目に新馬戦2鞍、2週目に未勝利戦1鞍、3週目にひまわり賞という日程になりました。各馬の出走機会の確保や、例年通りひまわり賞から小倉2歳Sへの出走が可能な日程という点で、可能な限りの策だったと思えます。

▲こちらはただいま開催中の2回小倉。ひまわり賞までノンストップ
▲出走全馬が連闘の調教欄(当日版紙面より)

 ただ、先週の九州産限定の2歳未勝利戦で珍事が起きました。1週目に組まれた新馬戦2鞍の出走馬が合計で28頭。勝ち抜けた2頭を除く26頭のうち20頭が1鞍しかない未勝利戦に出馬投票をしたため、出走予定馬18頭(うち枠順発表前取消1頭)全馬が1週目の新馬戦からの連闘となったのです。

 新馬戦に使わなかった・使えなかった馬(=未出走馬)は未勝利戦には優先的に出られるシステムになっています。九州産限定戦はいつも連闘が前提のような日程ですが、例年の「1週目は新馬戦1鞍(=出走最大18頭)」という日程では、そこから溢れた未出走馬が2週目の未勝利戦には少なからず混じっていました。ところが新馬戦が2鞍あった今年は、トレセンに入厩している九州産馬が全馬1週目に出走できました。各馬の出走機会が確保されたという点を喜びつつも、果たして、あまり記憶にない出来事となりました。

 記憶にない出来事という点では、その先週の2歳未勝利戦。個体差があることですから単純比較はできませんが、パドックでイレ込む馬が今年は少なかったように思います。今年はほとんどの馬がひまわり賞まで3連闘となることが日程が発表された時点で明らかでしたから、1週目はいくらか余裕をもたせて仕上げられた馬が多いのかな?と、記者席で他のトラックマンと話しました。だとすれば、3連闘だからと割り引くわけにはいきません。

 さて、先週日曜に発表されたひまわり賞の登録馬は23頭。このうち14頭が2週目の未勝利戦に使われていた馬というメンバー構成になっています。既に勝っているヨカヨカ、カシノレオ、ルクシオン、テイエムサツマドンと、佐賀から参戦するクラトリヴィーナスとライトシャワーの6頭は出走意思があれば出走可能なので、残りの12枠を未勝利馬17頭で取り合うことになります。ひまわり賞は55キロが基本的な斤量ですが、未勝利馬は2キロの減量を受けられる別定戦で、未勝利馬にもチャンスは十分あるレースです。近いところだと、2018年の勝ち馬カシノティーダは未勝利馬でした。

 一方で、収得賞金が500万以上ある馬は斤量に2キロが加算され、57キロで出走することになります。今年ヨカヨカはこのパターンで、2歳にして57キロを背負うことになります。57キロでこのレースに臨むのは、函館で新馬勝ちし、新潟のダリア賞を勝ってきた98年のカシノリファール以来。このカシノリファールが3着だったのですから…と考えてしまうのは穴党の性でしょうか。

 泣いても笑っても九州産2歳馬の夏は今週がクライマックス。この短い夏にきらっと輝く若い馬たちの元気な走りを是非ご覧ください。

栗東編集局 坂井直樹

坂井直樹(調教・編集担当)
昭和56年10月31日生 福岡県出身 O型
2004年入社。夏の九州産馬限定の新馬・未勝利戦の本紙予想を担当して丸6年のシーズンを迎えました。開催前から九州産馬に目を凝らし、その分、強い思い入れも持ちながら仕事に向かっています。そういったこともあり、ひまわり賞は本紙担当ではなくても特に当てたいレースのひとつ。今年は、佐賀から参戦するライトシャワーがちょっと気になっています。