小社では毎週、週刊誌やHP上で予想者ランキングを発表していますが、そのランキングを決定するものは、的中数ではなく収益。つまり、〝どれだけ数を当てたか〟ではなく、〝どれだけ儲かったか〟という収益優先の考えに基づくものです。

 賭け事の世界には「トリガミ(=的中しても儲けにならない)」という言葉があるように、重要なのは儲けること。それを思えば、〝基準は収益〟という考えも至極まっとうなものと言えるでしょう。

 ところで、収益でトップを取るために最も有効なものは何かというと、それは高額配当のヒットにほかなりません。たとえ地道にコツコツと数を当てている予想スタッフがいたとしても、結果的には一本の長打を放った人間がトップをさらっていく……。そんなことが、ほぼ毎週のように繰り返されているのが現実なのです。

 ちなみに、関東の予想スタッフを対象に、2014年以降の開催ごとの的中数トップ、収益トップを調べてみたところ結果は以下の通りになりました。

●2014年  的中数  収益

1回中山  田村    吉田

1回東京  田村/吉岡 松本憲

2回中山  田村    赤塚

3回中山  田村    吉田

2回東京  田村    林茂

3回東京  CPU   赤塚

2回福島  田村    赤塚

2回新潟  田村    林茂

3回新潟  田村    山下

4回東京  吉岡    長島

5回東京  田村    赤塚

4回中山  吉岡    高柳

●2015年  的中数  収益

1回中山  CPU   山下

1回東京  田村    松本智

2回中山  吉岡    松本智

3回中山  田村    長島

2回東京  田村    吉岡

3回東京  林茂    安中

2回福島  吉岡    長島

2回新潟  吉岡    吉岡

4回中山  CPU   山下

4回東京  田村    赤塚

5回東京  CPU   CPU

5回中山  吉岡    赤塚

●2016年  的中数  収益

1回中山  CPU   安中

1回東京 松本憲/田村 和田

2回中山  林茂    山下

3回中山  吉岡    吉田

2回東京  松本憲   赤塚

3回東京  CPU   平本

2回福島  CPU   長島

2回新潟  田村    吉田

4回中山  田村    長島

4回東京  CPU   松永

5回東京  CPU   山下

5回中山  田村    松永

●2017年  的中数  収益

1回中山  吉岡    長島

1回東京  吉岡    山下

2回中山  田村    田村

3回中山  松本憲   安中

2回東京  平本    長島

3回東京  松本憲   林茂

2回福島  CPU   高柳

2回新潟  田村    田村

4回中山  松本憲   赤塚

4回東京 CPU/田村 長島

5回東京  吉岡    CPU

4回中山  田村    赤塚

●2018年  的中数  収益

1回中山  松本憲   安中 

1回東京  CPU   安中

2回中山  CPU   松本智

3回中山  田村    長島

2回東京  田村    山下

3回東京 田村/CPU 松永

2回福島  CPU   石橋

2回新潟  吉岡    石橋

 

 約4年半、全56開催の集計で、同一スタッフが的中数でも収益でもトップを取った開催というのは僅かに4回でした(田村2回、吉岡1回、CPU1回)。この事実からも分かる通り、的中数と収益の両方を追求するのは極めて難しいことなのです。

 ところで調査対象となった56開催のうち、2017年2回東京のただ1回を除くと、的中数でトップを取ったのは中央開催における本紙予想担当の吉岡、田村、林茂、松本憲(現在は本紙を勇退)、そしてCPUのみでした。ちなみに、トップタイも含めて的中数トップを取った回数は田村がダントツの24回、次いでCPUが15回、吉岡が12回、松本憲が6回、林茂が2回となります。CPUを除くこれら4名、派手にランキング表の見出しを飾ったり、当日版の欄外で高額配当的中の宣伝をされることは少ないのですが、この結果はやはり、重責を担う本紙担当者として、その任に相応しいスタンスを貫いているということの証左でしょう。

 一方、収益で開催トップを取った回数は、赤塚と長島が最多タイの9回。なるほどこの両名、高配当的中の頻度が高く、当日版では『高配ハンター』というコラムを担当しています。

 

 さて、タイトルにもあるように、競馬ブックではこの秋の中山・阪神開催から新たな試みをすることになりました。その名も『MVT(モストバリュアブルトラックマン)』。このMVTでは的中数と収益の両方をベースにしたランキングを発表します。つまり、どれだけ儲かったかという、今までの収益オンリーのランキングから少々視点を変えて、どれだけ数を当てたかというファクターもそこに盛り込んでみようというもの。

 この新たなランキングの基本はポイント制。対象は今まで通り馬単ですが、集計は週単位でなく開催単位。開催毎に的中数の上位5人、同じく収益の上位5人に以下の通りのポイントが与えられるほか、万馬券の的中は1本につき1ポイントのボーナスが付与されます。

●的中数
 1位 → 5P
 2位 → 4P
 3位 → 3P
 4位 → 2P
 5位 → 1P

●収益
 1位 → 5P
 2位 → 4P
 3位 → 3P
 4位 → 2P
 5位 → 1P

 上位にランクされるためには、手堅く無難に数を当てるだけでは駄目、逆に、目をつぶってイチ、ニのサンで特大ホームランを狙うだけでもやはり駄目。〝バランス感覚の優れた好打者〟にスポットを当てる、そんなことを目的としたルールになっています。

 ただ、北海道開催中は、その北海道出張スタッフだけが2場分の予想をこなしており、公平を期すためにこの期間、つまり夏季開催は集計対象から外します。したがって、集計期間は秋シーズン開幕戦の中山・阪神に始まり、翌年春シーズンの最終戦となる東京・京都までの計9開催。その途中経過を開催ごとに週刊競馬ブック誌上で発表していく予定です。

 勿論、収益をベースにした従来のランキングの発表がなくなる訳ではありませんが、この新たな試みにも注目していただければ幸いです。ちなみに、4回中山および4回阪神の結果が発表されるのは10月9日発売の週刊競馬ブック誌上となります。

美浦編集部 宇土秀顕

宇土秀顕(編集担当)
昭和37年10月16日生、東京都出身、茨城県稲敷市在住、A型。
昭和61年入社。内勤の裏方業務が中心なので、週刊誌や当日版紙面に登場することは少ない。趣味は山歩きとメダカの飼育。本来なら、赤や黄に色づいてから葉を落とす落葉樹。あまりの暑さに茶色く干からびた葉を散らす姿は、見るに忍びありません。酷暑は来年以降も続くのでしょうか……。