待ちに待ったデビュー戦(青木行雄)

 以前から興味があった一口馬主に初めてチャレンジしたのが、かれこれもう2年前。大きいタイトルを狙うならシルクやキャロットといった大手クラブに加入するべきなのだろうが、あまり巨額は費やしたくないという思いがあったし、マイナー志向が強い自分はややお手軽で初心者向きの印象があるユニオンオーナーズクラブとした。200口でひと口は6万円。これなら何とか参加できるだろうという思いだった。牧場での様子などを毎週1回報告してもらえ、入厩を心待ちにしていたものの、体質が弱かったのか調整のピッチは上がらず、気がつけばもう2歳の年末。このタイミングでいよいよ栗東入厩を果たした。贔屓目もあっただろうが、初めて坂路でのキャンターを見た時は「これは走りそうだ」なんて、勝手な妄想を抱いていた。入厩した厩舎は土曜日に速い追い切りをやるのが調整パターン。土曜日が調教当番になっている自分は坂路小屋から併せ馬を注目していたが、目を覆いたくなるような大差の遅れ。これをキッカケに中央登録は一旦抹消。地方デビューを目指して牧場で再調整されることとなった。

 そして月日は流れ、先週の日曜日に佐賀競馬場で遂にデビューを果たすことに。4歳2月にして初出走。他の馬はすべて出走経験があったが、能検では1着入線。未知の魅力もあったのか堂々の2番人気に支持されることに。距離は900メートル。しかもバシャバシャの不良馬場で、デビュー戦としてはかなり厳しい条件。スタートダッシュは抜群というほどではなく、中団少し後ろあたりからの追走。4角ではかなり厳しい位置取りだったが、直線はしっかりと追い込んで3着。デビュー戦とすれば上出来と言える内容だった。今週届いたメールではレース後も足元に異常はないようで、順調なら2月の下旬あたりにまた出走できるとのこと。中央と違って賞金は安く、優勝しても僅か35万円。これを200で割れば入ってくる賞金は1400円ほど!? これにはちょっとがっかりの気分になったが、自分の馬というのは思い入れが強いもの。パドックで周回しているのを見るだけでもワクワクする気持ちになった。これが中央の競馬場になれば、更に興奮の度合は高まることだろう。佐賀でいくつか勝って、中央の舞台で走ってくれることを心待ちにしたい。ちなみにフウレンカという馬なので、よろしければ覚えておいてください。

 フウレンカが中央で新馬デビューを果たせなかったので、次の年も一頭持ってみた。これも募集期間は順調に調整が進んで、早いデビューが見込まれていたのだが、一頓挫あってそこからまったくペースが上がらなくなってしまった。新馬戦も来週で終わり。この馬も中央での新馬戦デビューは叶わなかった。今も牧場で徐々に徐々にという感じの調整となっており、入厩はまだまだ先の話になりそう。ちなみにこの子はバフィーという名前です。こちらも良ければお見知りおきを。

 現2歳世代はさすがに持つのをやめた。いくらお手頃クラブとはいえ、3頭となると月々の出費もそこそこにはなってくるので。ちなみに今持っているのは共にシニスターミニスター産駒。ダートで数多く走ってくれればという期待を込めてこの産駒にしたのだが、ご存じの通りシニミニ産駒はプチブレイクをしてしまった。今後は募集価格もちょっと高騰しそう。2頭のうちのどちらかが抹消されればまた新たにとは思っているが、どれくらいの出資で持てるのか、抽選はずれなんていうこともあるのか、そこは気になる。

 毎週、初出走の馬がたくさんレースに出てくるが、デビューするだけでも本当に大変ということが一口馬主になってみてよく分かった。それだけに勝利した時の喜びというのは、たとえ未勝利戦でも格別だろう。自分もいつかそんな日が来るのだろうか。まずはフウレンカが佐賀で1勝してくれる日が来ることに期待したい。前走内容から、次は何とかなりそうな気もするのだけれど……。

 

青木行雄(調教取材担当)

昭和44年8月7日生 大阪府出身 A型

1993年入社。坂路調教担当。北海道開催時と西のローカルでは本紙予想も担当。開催日はMBSラジオ「GOGO競馬サンデー!」、BS11「BSイレブン競馬中継」に出演。2024年の中央競馬が始まってひと月ちょっとになるが、相変わらず馬券の調子がピリッとしない。動画の司会もチェンジとなり、気分的には少し余裕ができたはずなのだが。流れをガラッと変えるようなホームラン級の的中がそろそろ欲しいところ。それが放送内なら最高。BSの出番もとりあえずは残り2週なので、精一杯頑張りたい。