こんにちは。検索大好きマンです。

 新馬戦の終わりは例年年明け2月中。それ以降は、初出走馬は既走馬を相手にデビューを迎えなくてはいけません。実戦経験の有無はレース結果に大きく影響を与えるように思いますが、実際どの程度の成績となっているのでしょう。成績の偏りはあるのでしょうか。2022年から2024年までの3年間を振り返り、新馬戦以外のレースにおける初出走馬の成績を見てみましょう。成績は(1着数.2着数.3着数.着外数) 、勝率/連対率/複勝率で表します。

●既走馬相手の初出走馬の成績(2022~2024年)
【総合】(70.56.65.2171)(3.0%/5.3%/8.1%)
【芝】(40.31.33.1022)(3.6%/6.3%/9.2%)
【ダート】(30.25.32.1149)(2.4%/4.4%/7.0%)
【1番人気】(13.7.1.12)(39.4%/60.6%/63.6%)
【牝馬】(30.23.27.1184)(2.4%/4.2%/6.3%)

●初出走馬がいるレースでの既走馬の成績
【総合】(1132.1143.1138.12888)(6.9%/14.0%/20.9%)
【芝】(473.479.478.5661)(6.7%/13.4%/20.2%)
【ダート】(659.664.660.7227)(7.2%/14.4%/21.5%)

 この期間、初出走馬の勝率は3.0%。初出走馬がいるレースにおける既走馬の勝率は6.9%ですから、劣勢は明らかです。しかしながら1番人気の成績は突出して良く、こちらは既走馬と比較して遜色がありません。調教などで素質の片鱗を覗かせている馬であれば、十分通用すると考えていいでしょう。芝、ダートでは大きな差は見られませんが、若干、芝の方が成績はいいようです。また、牝馬も平均をやや下回るようです。

 他の切り口で見てみましょう。距離別成績です。

●距離別成績(50走以上)
【1200m】(8.4.9.423)(1.8%/2.7%/4.7%)
【1400m】(7.7.13.377)(1.7%/3.5%/6.7%)
【1600m】(10.13.8.355)(2.6%/6.0%/8.0%)
【1700m】(2.2.2.102)(1.9%/3.7%/5.6%)
【1800m】(26.17.14.522)(4.5%/7.4%/9.8%)
【2000m】(11.8.14.221)(4.3%/7.5%/13.0%)
【2200m】(4.2.1.45)(7.7%/11.5%/13.5%)

 期間内に50走以上のデータがある距離についてみると、勝率、連対率は2000mで若干の減少は見られるものの、おおよそ距離が延びるほど成績がいい傾向が出ました。50走に満たない距離に関しても、1000mは29走で3着が1回だけ、1150mは44走で1、3着が1回ずつという成績です。距離が長い方が成績がいいのは明らかでしょう。

 考えられる理由として考えられるのは、レースの流れに対応し切れないのではないか、ということでしょうか。短い距離の場合、初めての実戦で戸惑っているうちにゴール、ということはありがちで、序盤の流れに乗り切れず後方からということもあるでしょう。1400m以下のレースに出走していた初出走馬のうち、4角で1~5番手につけていた馬は8.7%、1600m以上のレースだと13.2%と数字がアップします。流れに乗りやすい長めの距離で成績が上がることにも頷けます。ダートの成績が芝ほどではないのも、道中で砂を被ることを考えれば、経験の浅い馬には厳しいのかもしれません。

 ちょっと面白いのは、1800mでの単勝回収率が117%と非常に高いこと。出走回数、勝利回数も多く、単発の成績で引き上げられたものではないと考えられます。これは芝でもダートでも傾向に変わりがなく、興味深い傾向です。

●芝1800mのコース形態別成績
【ワンターン】(5.5.3.117)(3.8%/7.7%/10.0%)
【1周】(7.5.2.89)(6.8%/11.7%/13.6%)

 芝1800mをコース別に見た際、ワンターンでは勝率3.8%、連対率7.7%であるのに対し、コーナー4回の舞台ではそれぞれ6.8%、11.7%と成績が良くなります。ダート1800mでの成績がいい点にも納得がいく傾向で、この点は押さえておきたいところです。

●種牡馬別成績(抜粋)
【芝】
サトノダイヤモンド(5.0.3.15)(21.7%/21.7%/34.8%)
キズナ(4.0.2.45)(7.8%/7.8%/11.8%)
キタサンブラック(3.1.1.30)(8.6%/11.4%/14.3%)
【ダート】
キズナ(3.1.2.15)(14.3%/19.0%/28.6%)
ニューイヤーズデイ(2.3.0.9)(14.3%/35.7%/35.7%)

 種牡馬別の成績も見てみると、芝で突出して成績がいいのはサトノダイヤモンド産駒で、勝率は21.7%にものぼります。ある程度の出走回数があって平均を大きく超えるのは他にキタサンブラック(勝率8.6%)、キズナ(同7.8%)といったあたり。ダートではキズナが14.3%で目を引きます。ちょっと出走回数は少なめですが、ニューイヤーズデイも勝率は同じく14.3%。連対率の35.7%が光ります。いずれの種牡馬についても、スイートスポットは1800mが中心。芝だと1800~2200m、ダートなら1700mか1800mといったところに良績が集中しています。

 ちなみに、月別成績を見ると、ここに大きな差は出ていないようでした。時期を問わず、好成績を上げるパターンに当てはまる初出走馬がいれば、常に注目しておく必要がありそうです。ただ、単勝回収率が極端に高いのは3歳の7月と8月。これからの時期、しっかり注目しておきましょう。

 

栗東編集局 坂井直樹

 

坂井直樹(調教・編集担当)
昭和56年10月31日生 福岡県出身 O型
 たまには障害以外のエントリもね、ということで原点に立ち返ってみました。初出走馬が既走馬に混じるレースの力の比較はやはり頭を悩ませるもので、何かひとつきっかけになる材料ってないものかね、と考えたのがこの調査のきっかけです。これが使える記事になるかどうか、まずは自分で予想に組み入れてみるところから始めましょう。