4月20日牡馬クラシックの第一弾、皐月賞が開催されました。しばらく更新されないだろうと思っていた昨年のジャスティンミラノの皐月賞レコードがあっさり更新されました。要因は様々だと思いますが、まず思いつくのは今年からCコース開催になった馬場状態の良さがあげられるでしょう。今年の春の中山は雨に悩まされることが多く、「馬場が掘れている」と多くのジョッキーが語っていました。なので例年通りにBコース施行ならここまで速くはならなかったと思います。更に前哨戦のディープインパクト記念を勝ったファウストラーゼンの存在もあるでしょう。同馬は昨年のホープフルS、ディープ記念と中山2000メートルの舞台で同じように向正面でマクって先頭に立つ競馬をしていました。だから今回も同じ戦法は予想されていましたが、GⅠの今回は更に後続の馬も早目に動く形になって結果的に後半の5ハロンがいずれも11秒台のラップになって厳しい持続戦になりました。これも好タイム決着の要因です。更に人間の陸上競技でも言えることですが、やはり年々、競走馬もレベルアップしていると考えられます。この傾向は続くのではないでしょうか。

 一方、26日に行われたダービーへの最重要トライアルである青葉賞は良馬場開催では過去10年の中では2番目に遅いタイムで決着しました。こちらは直前の雨の影響もあったかも知れませんが、馬場の発表では良だったので大きな要因ではなく道中のペースの影響が大きかったと思います。前半の3ハロンこそ35秒1でしたが、その後は12秒台のラップが続き、7ハロン目には13秒3と落ち込みました。結局、11秒台のラップは最後の3ハロンだけで究極の決め手勝負になったと言っていいでしょう。その流れを上り最速の脚を使って後方から差し切ったエネルジコは評価できます。尚、今年から青葉賞は開催時期が1週繰り上がって皐月賞の翌週に行われました。この2つのレースを見るとやはり皐月賞こそがダービーにつながると考えていいのでしょうか?

 記憶に新しい昨年はレコードで勝ったジャスティンミラノがダービーでも1番人気に支持されましたが、残念ながら2着に終わって勝ったのは皐月賞で競走除外になって出走しなかったダノンデサイルでした。更にもう少し遡ると過去10年で1分57秒台で決着した年を見ると57秒9で2016年の勝ったディーマジェスティはダービー3着で皐月賞2着のマカヒキが優勝。57秒8で勝った2017年のアルアインはダービー5着、勝ったのは皐月賞5着だったレイデオロでした。レース展開や仕上がり具合など他の要因もあるので単純には考えられませんが、勝ち時計が速かった皐月賞馬がダービー馬になるとは言い切れないように思います。さて、青葉賞です。近年はなかなかダービーでの好走馬が出ていませんが、2011、2012年と続けて勝ち馬がダービーで2着に好走しました。当時とは馬場状態も違うので比較は難しいのですが、2011年のウインバリアシオンは28秒8、2012年のフェノーメノは25秒7とさほど目立つタイムでは勝っていなかったのです。消耗が少ない内容で勝ってレース間隔も十分にある今年のエネルジコは悲観する必要はない。今の時点ではそう考えています。

美浦編集局 田村明宏
 田村 明宏(厩舎取材担当)

昭和46年6月28日生 北海道出身 О型
今週の天皇賞の代表的なステップレースの阪神大賞典はサンライズアースが圧勝し、極めて速い時計をマークしました。その内容を信頼する手もありますが、良馬場では8年ぶりに3分32秒以上を要したダイヤモンドSを勝ったヘデントールも着差をつけての完勝でした。今回に向けて疲労を残していないという意味で今年は後者に注目しています。