ハッと目が覚めた、けれど布団から出たくない。寒い。そしてまだ眠い
それでも朝も結構すぎて、昼近くなはず。
夜中に2回もトイレに起きたのに、普通に起きることの方がつらい。
約束ははない、けれど、元気なら映画を観に行こうと上映時間は調べてある。
リミットはあと1時間。
迷いながらまたうとうと、結局、もう一回寝てしまった……
最近はこんな日が増えた。
体が重いのは前からだけど、気持ちもだらっとして。
コロナが終わった直後は朝から元気一杯に散歩して、戸田ボートにも頻繁に出かけていたのに、もう2ヶ月以上も行ってない。
部屋でゴロゴロ、ご飯をパクパク、スマホで少し投票してあとはネットをちらちら。
怠惰というテーマの動画みたいな生活かもしれない。
コロナ禍の時はなんだか異様に元気だった。
世の中、動いていなかったから、呑みに行くこともなかった。
競馬場の帰りはスーパーで買い物をして、家で自炊。
自宅ではほとんど呑まない。一人で食べるから量もさほど必要ない。
結果的には非常に健康的な日々に。
移動するのにも電車はガラガラ。街もひとがあまりいない。ストレスはなかった。
あの頃に戻りたいとは思わない。けれども、あれはあれでいい部分もあったのかもしれない。
先日の血液検査の結果が悪かった。
いつもは優しい主治医も今回は厳しかった。他の専門の医者を紹介された。
何となくだるい生活になってしまったのには原因があったんだ。
生活をあらためて、ちゃんと治療するしかないのか……
さて、翌朝。気持ちを入れ替えたわけではないけれどしっかりと目が覚めた。
ほんのちょっと気合を入れて布団から出るとパッと顔を洗う。
サッと部屋を掃除して飯も簡単に済ませた。
まだ朝は早い。これなら映画に間に合う。
簡単に着替えて、なるべく軽い持ち物で家を出た。
寒い。寒いけれど、何だか心身ともにピリッとする。とても心地いい。
外へ出れば気力が湧いて出てくるような、そんな感じがしてきた。
電車に乗りながら前の日に調べてあった時間で映画のチケットを購入。
混雑状況も一目でわかる。好きな席を自由に選べる。
ますますスマホに頼ってしまいそう。
目当ての映画は「侍タイムスリッパー」
ひと通り評価されて、いろいろな賞も受賞。今更感はあるが、身近で頼りなる先輩から猛烈に進められた。これは見ざるを得ない。そして、このケースにはずれはない。
映画館に着いて、どのスクリーンでやっているのかを確認。
しかし、同じ時間にやっているのは「侍タイムスリッパー」ではない映画。
そんなはずはない。前の日に布団の中でゴロゴロしながらスマホをいじって、ちゃんと確認したはずだ。
窓口で確認すると「それは2階です。もうじき始まる“敵”ですよ」と親切に教えてくれた。
ようやく活気を取り戻して部屋を出て、映画館までたどり着いたら、全然違う知らない映画を予約していた。
同じ映画館で同じ時間にやっているのだから、間違いないと確認もせずに買ってしまったとは。どれだけ部屋でダラダラしていたんだ。
こんなところで普段の生活のダメさを痛感させられるとは。
しかたない。ここまで来たのだから観てから帰るか。つまらなかったら途中で出ればいいだけだ。
トイレを済ませて中に入るとネットで確認したとおりにお客さんはまばら。
うす暗く静まったホールの中で、ゆったりと座れる椅子。この雰囲気を味わえただけでも良しとしなければ。
予備知識のまったくない映画が始まると意外なことに白黒だった。そして非常に静かな作品。
序盤はシャキッとした老人の男性の何事もない生活を映し出しているだけ。しかし、これが面白い。ついつい見入ってしまった。
敢えてここで後半は語らないけれど、結局、最後まで観てそれなりに楽しめた。
帰り道は映画のことをあれこれ考えながら、自分の老いについても考えさせられた。
ここまでいい加減に生きすぎたかもしれない。
何もかも分岐点に来ているような気は前からあった。
ただ、もともとが自分は小心者で怖がりな面がある。どちらかと言えば事なかれ主義でもある。
しかし、それでもそろそろ、今後のことについて真面目に考えなければならないようだ。
ずっと布団の中で生きられない。
寒風にあたりながらも、元気に残りの時間を楽しめるように少しずつ考えながら生きて行くか。
まずはひざの痛みを取って、かつての歩数に戻すことが先決か。
あとは最近、妙に売れているWIN5で勝負。
美浦編集局 吉田 幹太
昭和45年12月30日生 宮城県出身 A型
道営から栗東勤務を経て、平成5年に美浦編集部へ転属。現在は南馬場の調教班として採時を担当、グリーンチャンネルパドック解説でお馴染み。道営のトラックマンの経験を持つスタッフは、専門紙業界全体を見渡しても現在では希少。JRA全競馬場はもとより、国内の競輪場、競艇場、オートレース場の多くを踏破。のみならずアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、フランス、イギリス、マレーシア、香港などの競馬場を渡り歩く、案外(?)国際派である。