上半期の競馬が終わりました。JBISサーチ発表のサイアーランキング(中央+地方、7月1日現在)ではディープインパクトが25億3273.4万円で首位。以下、2位ロードカナロア、3位ハーツクライと続きます。4位のドゥラメンテは、収得賞金19億1301万円のうちJRAの重賞で9億6762.9万円を得ました。この額は総合首位のディープインパクト(8億6286.3万円)を1億円ほど上回っています。隠れたリーディングサイアーといってもいいでしょう。
 ドゥラメンテ産駒はスターズオンアースが桜花賞G1と優駿牝馬G1に、タイトルホルダーが天皇賞(春)G1と宝塚記念G1に勝ち、上半期のG1勝利数(平地のみ、以下同様)でも4勝で首位となっており、インパクトの大きい活躍でした。複数G1勝利はこれまでディープインパクト産駒と決まっていて、各年度上半期のG1勝利数を見ていくと、2011年2勝(首位タイ)、2012年3勝、2013年3勝、2014年3勝(首位タイ)で4年連続首位に立っていました。2015年は1勝にとどまり、キングカメハメハ(4勝)に首位を奪われますが、2016年には4勝でトップの座を奪還、以降、2017年2勝(首位タイ)、2018年3勝、2019年5勝、2020年4勝、2021年5勝と6年連続首位を守っていました。
 そこに現れたのがドゥラメンテで、上半期4勝でディープインパクトに待ったをかけた点は父のキングカメハメハと同じです。その内容も前述の通りクラシック2勝と古馬中長距離の上半期2大タイトルですから、文句のつけようがありません。
 ドゥラメンテは父キングカメハメハ、母はサンデーサイレンスの娘でエリザベス女王杯2勝のアドマイヤグルーヴ、祖母は優駿牝馬や天皇賞(秋)に勝ったエアグルーヴ、3代母は優駿牝馬のダイナカールという日本で考え得る最高の良血馬の1頭といえるでしょう。2012年生まれのドゥラメンテは皐月賞G1、東京優駿G1に勝ち、4歳時は中山記念G2勝ちからドバイシーマクラシックG1の2着を経て、宝塚記念G1の2着で故障を発症して引退しました。2歳10月のデビューから4歳6月の引退戦までのおよそ1年半を駆け抜けて9戦5勝2着4回の成績を残しました。
 種牡馬となったのが2017年。しかし、種牡馬入り5年目の2021年8月に急死してしまいます。その死後に初年度産駒タイトルホルダーが菊花賞G1に勝ち、2年目の産駒からは2冠牝馬スターズオンアースが出現、タイトルホルダーの宝塚記念G1は父のリベンジと捉えることもできるでしょう。
 その名から連想できるような太く短い生涯でしたが、この上半期の産駒の活躍は、後になって見るとディープインパクトに引導を渡す画期となるのかもしれません。全5世代の産駒からはまだまだ大物が出現するでしょう。種牡馬地図を大きく書き換えて時をおかずに舞台を去ることにはなるのでしょうが、それも含めてドゥラメンテらしさといえるのかもしれません。

栗東編集局 水野隆弘

水野隆弘(調教・編集担当)
昭和40年10月10日生まれ、三重県津市出身
1988年入社。週刊誌の編集、調教採時担当。健康診断の結果を受けて、胃カメラの検査を受けてきました。このコラムの当番が回ってくるたびに医療行為を受けているようにも思いますが、年相応というべきでしょう。夏のローカル開催が始まると、調教スタンドの休憩時間の話題は昔は出張先の飲食店や遊びの話が中心でしたが、このごろは病気の知識や病院の評判、血圧といったことにシフトしてきました。やだねえ。