こんにちは、栗東の坂井です。

 今週は天皇賞ですね。GⅠですので2週前に登録馬が発表されていましたが、先週、それを受けて研究ニュースの石井大輔編集員から声をかけられました。

「去年もらったコレ、今年も使えそうやな」

 そう言って差し出されたのは1枚のA4用紙。そこには「GⅠ馬の出走が菊花賞馬を含む2頭以下だったGⅠ」と題された表がありました。作った本人ですら忘れていたものをよく残して、そしてよく思い出せましたねと笑いつつ、「え?今年も使えるの?」と登録馬を改めて調べました。

 今春の天皇賞は登録馬18頭。このなかにGⅠ馬は、昨年の菊花賞馬タイトルホルダー1頭だけです。なるほど、「GⅠ馬の出走が菊花賞馬を含む2頭以下だったGⅠ」です。使えますね。

 そんなタイミングでこのコラムの出番が回ってきましたので、ここでご紹介したいと思います。調査対象はグレード制導入後、1984年以降の菊花賞馬が出走したGⅠ。該当したレースは以下の通り。見づらい点はご容赦ください。★は菊花賞馬です。

【GⅠ馬の出走が菊花賞馬を含む2頭以下だったGⅠ】(画像でご覧になられる方はこちらから)

1985/4/29 天皇賞(春)
 1着シンボリルドルフ★
 5着ミスターシービー★

1985/10/27 天皇賞(秋)
 2着シンボリルドルフ★
 4着ニホンピロウイナー

1987/4/29 天皇賞(春)
 1着ミホシンザン★
 5着クシロキング

1991/4/28 天皇賞(春)
 1着メジロマックイーン★

1991/6/9 宝塚記念
 2着メジロマックイーン★
 10着バンブーメモリー

1991/10/27 天皇賞(秋)
 18着(1位入線)メジロマックイーン★

1993/10/31 天皇賞(秋)
 1着ヤマニンゼファー
 6着ライスシャワー★

1994/4/24 天皇賞(春)
 1着ビワハヤヒデ★
 2着ナリタタイシン

1994/6/12 宝塚記念
 1着ビワハヤヒデ★
 13着ベガ

1994/10/30 天皇賞(秋)
 5着ビワハヤヒデ★
 8着ウイニングチケット

1995/4/23 天皇賞(春)
 1着ライスシャワー★

1996/4/21 天皇賞(春)
 2着ナリタブライアン★
 5着マヤノトップガン★

1996/5/19 高松宮杯
 3着ヒシアケボノ
 4着ナリタブライアン★

1997/4/27 天皇賞(春)
 1着マヤノトップガン★
 2着サクラローレル

2000/4/30 天皇賞(春)
 1着テイエムオペラオー
 3着ナリタトップロード★

2001/6/24 宝塚記念
 2着テイエムオペラオー
 5着エアシャカール★

2002/6/23 宝塚記念
 4着エアシャカール★

2003/5/4 天皇賞(春)
 1着ヒシミラクル★
 5着ダンツフレーム

2004/5/2 天皇賞(春)
 10着ネオユニヴァース★
 16着ザッツザプレンティ

2006/4/30 天皇賞(春)
 1着ディープインパクト★
 10着デルタブルース★

2007/4/29 天皇賞(春)
 1着メイショウサムソン
 12着デルタブルース★

2008/5/4 天皇賞(春)
 2着メイショウサムソン
 3着アサクサキングス★

2008/6/29 宝塚記念
 2着メイショウサムソン
 5着アサクサキングス★

2015/5/3 天皇賞(春)
 1着ゴールドシップ★
 7着キズナ

2019/4/28 天皇賞(春)
 1着フィエールマン★

2020/5/3 天皇賞(春)
 1着フィエールマン★
 6着キセキ★

2021/5/2 天皇賞(春)
 1着ワールドプレミア★
 8着マカヒキ

 菊花賞馬とあって大半が春の天皇賞となりました。今回に合わせて春の天皇賞の成績だけに注目すると、このパターンにおける菊花賞馬はのべ(12.1.2.6)。馬券の対象にならなかったこともあるので全幅の信頼を寄せるというわけにはいきませんが、連対率が62%なら、軸として選ぶには十分の成績でしょう。

 もうひとつ注目したいのは「このパターンのうち、前走が阪神大賞典以外だった菊花賞馬」の成績。これは昨年、ワールドプレミアが日経賞からの臨戦だったのであえて調べたのですが、これが10頭で(8.0.1.1)。着外は85年のミスターシービー(5着)だけでした。ほぼほぼ単勝で買えそうです。

 このうち3着だったのは2008年のアサクサキングス。これとミスターシービーは、ともに大阪杯からの臨戦でした。今回のパターンのうち、日経賞からの臨戦馬は85年シンボリルドルフ、95年ライスシャワー、2021年ワールドプレミアの3頭で3勝。このパターンにこだわらずとも、「日経賞→天皇賞というローテの菊花賞馬」は84年以降で(5.0.1.0)。天皇賞の主要ステップが阪神大賞典であることは確かなのですが、菊花賞馬に限れば日経賞が「隠れた必勝ローテ」ということが言えそうです。

 ちなみに今回と同じく、出走GⅠ馬が菊花賞馬1頭だけだったGⅠは、91年春の天皇賞、91年秋の天皇賞、95年春の天皇賞、2002年宝塚記念、2019年春の天皇賞の5レースで、菊花賞馬は(3.0.0.2)。着外は91年秋の天皇賞と02年宝塚記念なので、「春の天皇賞なら迷わず買い」ですね。

 長々と書いてきましたが、一言で言ってしまえば「今年はタイトルホルダーが勝つよって前例が言ってます」。

 皐月賞は「最も速い馬が勝つ」、日本ダービーは「最も運のある馬が勝つ」と言われる一方、「最も強い馬が勝つ」と言われるのが菊花賞。そんな馬が唯一のGⅠ馬として出てくれば……。さあ、今年も前例通りとなるでしょうか。答えは4日後です。

栗東編集局 坂井直樹

坂井直樹(調教・編集担当)
昭和56年10月31日生 福岡県出身 O型
今回は菊花賞馬に焦点を当てて春の天皇賞を掘り下げましたが、菊花賞馬にこだわらず「GⅠ馬が1頭しかいない春の天皇賞」というパターンを探すと、84年以降に5回ありました。91年メジロマックイーン、95年ライスシャワー、2010年マイネルキッツ、2018年シュヴァルグラン、2019年フィエールマン。それぞれ1、1、2、2、1着。勝った3頭が菊花賞馬、2着の2頭は菊花賞以外のGⅠ勝ち馬でした。やっぱり菊花賞馬って強いんです。