東北めぐり(丹羽崇彰)

4月に福島競馬場に行ってきました。

東京、中山、新潟は学生時代に。京都、阪神、中京、小倉、函館、札幌は会社に入って仕事で行きましたが、福島だけはなかなか行く機会がありませんでした。

そんななか、願ってもないチャンスがやってきました。4月18日の金曜日に、トラックマンTVのスタジオ放送の仕事が決まったのです。場所は東京。皐月賞ウィークでしたが、その裏では福島競馬がやってるやん……東京での放送終わりにそのまま行っちゃえばいいやん……交通費もいただいてるし……ということで、トラックマンTVの出演が決まってからすぐにその週の有給を申請し、妻の機嫌がいいときを見計らって交渉を持ちかけ、福島行きを許可されました。

トラックマンTVの生放送は他の共演者の方やスタッフの方々のお助けもあって、意外にも緊張することなく楽しくできました。自腹で勝負する馬券も結果的に的中したし、皐月賞の自信の本命馬マスカレードボールも3着に好走してくれたので、頑張って予想した甲斐がありました。

20時30分に放送終了。大きな仕事を終えた安堵感に満たされながら東京駅に向かい、予約してあった東北新幹線に乗ろう……と思ったら、運転見合わせ。那須塩原~新白河間で何か異常があったようで、運転再開時刻は不明とのこと。余裕を持って最終21時44分発を予約していましたが、駅員さんによると遅い時間だと運転取りやめの可能性があるとのことで、ホームに止まっていた適当な新幹線の自由席に乗り込みました。人で溢れていたので座席に座れたのが奇跡的でした。

私はどうしても福島に行けない運命なのか…と自分を呪いましたが、23時ごろに何とか新幹線は動き始めました。埼玉県の大宮でそこそこ人が降りていったのにはびっくりしました。東京~大宮は在来線でも30分ちょっと。新幹線内で待っているくらいなら、在来線に切り替えて移動したほうがよかったんじゃないかと思いました。

結局福島駅に到着したのが午前1時前。ホテルが結構離れていたので、疲労困憊で歩きました。

疲れすぎてビールを飲むこともなく、すぐに就寝しました。

4月19日(土)

まだ日曜分の予想を入力していなかったので、午前7時前に起きてパソパソ。体が鉄のようだ。二度寝して、時間ぎりぎりにホテルをチェックアウト。福島駅に大きな荷物を預け、いよいよ競馬場へ。

行きはタクシーを使ったのですが、東北といえば国道4号線。道好きとして、普段走ることのない一桁国道を走行することができて感無量でした。福島競馬場ってあんなに国道4号線から近いところにあるのね。直線距離で100mも離れていないんじゃなかろうか。中京と京都は国道1号、新潟は国道7号に近いけれど、福島は別格の近さでした。タクシーの運転手さんに「これ国道4号ですよね!?」と聞くと「そうですけど」みたいな薄いリアクション。なかなか私の興奮が伝わりませんでした。

福島競馬場はコース自体は小回りですが、スタンドはとても立派でびっくりしました。パドックブース、記者室に顔を出して関東トラックマンにご挨拶。北海道で会ったことのある人ばかりだったので特に緊張しませんでしたが、私以外はもちろん仕事中なので、邪魔をしないように1Rだけ見て退散しました。

福島競馬場のスタンド。立派

さて、お腹がすいたので昼食です。1Fの「鳥ぎん」というお店が長蛇の列でとても気になったのですが、並びが凄すぎてあきらめました。もつ煮が有名のようですね。

私は有名な「牛肉どまん中」弁当&ビール。天気も良かったし、プライベートの競馬場で飲むビールは最高です。仕事中の関東TM各位すみませんと心の中で詫びを入れて、おいしくいただきました。

馬券はそんなに必死に買ってなかったのですが、まぁ一進一退という感じ。5Rに出走していたレッドシュテルンが5倍近くついたのと、10Rでパドックが良かったミスティアでちょいプラスくらいでした。場内のモニターで観た京都のトッピボーンがあまりに強くてびっくりしたことを覚えています。

いい感じに酔いが回り、福島を散歩したかったこともあって10R後に競馬場を出て帰りは徒歩で駅に向かいます。もちろん国道4号線で。前をいちゃいちゃしながら歩くカップルが目障りでしたが、道端のキロポストを撮影しながら散歩。調べると国道13号の起点(福島市舟町交差点)が近かったので、そちらへ遠回りしつつ駅に向かいます。

国道4号線のキロポスト。起点の東京・日本橋から273キロ地点

福島駅近くの物産館で娘へのお土産と頼まれ物の赤べこの置き物を買い、ホテルへと向かいました。

大浴場とは名ばかりの激せま風呂で汗を流し、夜に備えます。

福島競馬場も楽しみでしたが、うまいと評判のアナゴ屋さんももうひとつの楽しみ。

N刊競馬のS村トラックマンが開催の度にアナゴ料理の写真を送ってきてイライラしていたんですが、ついに現物を拝むことができました。

刺身、白焼き、炒め物などなどを満喫。アナゴではないのですが、〆に食べたカツオ丼も最高でした。すぐ近くの別の店で若手関東TMの会をやっているとのことで、そこに乗り込む形で合流し、二次会スタート。最後は7人で福島で有名なソフトクリームを食べて解散しました。

皆の優しさがつまったカツオ丼

 

翌日も仕事があったなかお付き合いしてくれた方々にただただ感謝です。

食べ物もとても美味しかったし、心身とも満たされた1日でした。

 

4月20日(日)

朝起きて散歩。西側に見える大きな山、地図を見ると多分、吾妻小富士だと思うのですが、まだ雪が残っていて壮観。私の地元の御嶽山を思い出しましたね。

この日は競馬場には行かず、高校時代の友人と合流して東北を旅行することになっています。

8時台の新幹線に乗って仙台へと北上。仙台駅から1キロほどのところにある「村上屋餅店」にどうしても行きたかったので、お店の開店に間に合うように予定を組みました。

が、現地に到着すると結構な行列。店内が狭くて回転も早くなさそうなので迷いましたが、せっかく来たのだからと30分ちょっと並んでずんだ、黒ごま、くるみ餅の3色セットと食べました。

念願の村上屋餅店

そこから仙台城跡へと向かい、友人と合流。高台になっている城跡から街を眺め、伊達政宗公の立派な像にご挨拶。近くにある仙台市博物館と回りました。仙台駅に戻ってレンタカーを借り、この日の宿である山形県の蔵王温泉に向かいます。

仙台南部道路、東北道、山形道と乗り継ぎ、高速道路を下りてからは曲がりくねった山道を走ります。こんなところに有名な温泉街があるのかと不安になりましたが、近づくと硫黄のにおいがぷんぷん漂ってきました。

友人が予約してくれた宿はとても素晴らしく、閑散期だったので値段もお手ごろ。白濁した硫黄泉は酸性が強く、金属でできたシャワー類は黒く変色していました。

ひとっ風呂浴びてから部屋で皐月賞を観戦。ミュージアムマイルの強さと、我が本命マスカレードボールの頑張りに声が出ました。クロワデュノールとのワイドが当たって馬券もプラス。

気分上々。

宿には夕食がついていなかったので、車で30分ほどのところにある焼肉屋さんへゴー。

テレビ番組の「ポツンと一軒家」に出てきそうな山の中にあるお店で、車のナビを疑うくらい。

「楓庵」という山形牛を大変リーズナブルに頂けるお店で、お酒を飲まなかったこともあってひたすらお肉でお腹を満たしました。大きなカットのヒレ肉が2枚で1600円などなど、ちょっと信じられない価格設定で、最後はお店のご主人に「たくさん食べてくれてありがとう」と感謝されるくらいいただきました。

いえいえ、こちらが感謝です。

山形牛のヒレ。うまい

店を出ると、数十メートル先を見るのが困難なほどの濃霧。

ペーパードライバーの友人はのんきなもんですが、私はひやひやしながら山道を運転して宿まで帰ります。

風呂→お酒→風呂→お酒の無限ループで、結局寝たのは深夜。

この日も大満足の一日でした。

 

4月21日(月)

朝は若干の胸焼け。風呂に入ったらすぐに回復しました。

この日は山形を観光する予定です。昨日来たのとは別の山道を下って、山形市街に下りていきます。東北はちょうど桜が咲いている時期で、山には残雪。白とピンクのコントラストが美しく、よそ見しないように努めて運転していきます。

この日も朝ごはんはお餅。山形市にある「餅の星野屋」さんというお店です。昨日行った仙台の「村上屋餅店」の方が知名度では上でしょうが、個人的には星野屋さんのずんだ餅の方が好みでした。めちゃくちゃ美味しかった。

食の一日と決めていたので、昼食を求めて山形県を北上。村山市にある「あらきそば」へ向かいます。昔の民家をそのまま利用したような店舗で、板に並べられた太めの蕎麦とニシンを炊いたもののセットを食べました。パドック解説でいつもお世話になっている山形出身のディレクターさんに教えてもらった店なのですが、山形の蕎麦文化を体験できてとても良かったです。

地元のおばあちゃんたちが接客を担当。

妻の母が山形県の新庄市出身で方言がきついと聞いてはいたのですが、店員のおばあちゃんの言葉はほとんど聞き取れませんでした(笑)。でも暖かい気持ちになったので全然OKです。

店の雰囲気含め、全部が好きでした。

すすれないくらい太い蕎麦。独特

新庄市まで北上してやろうかとも思ったのですが、時間の都合で断念。

将棋の駒で有名な天童市に向かって南下します。

またしてもディレクターさん推奨の「水車」に行きました。ここも蕎麦屋さんなのですが、鳥で出汁をとった「鳥中華」というものが有名とのことで、これを注文します。ど平日でも駐車場に車が溢れるくらい繁盛していて、観光客っぽいお客さんは鳥中華を注文する人が多かったように思います。

ややちじれのある中華麺と鳥出汁がマッチして絶品。うわさに聞いていたとおり、山形県は麺の県でした。

私の趣味が手打ちうどんなので、ちょっと応用して中華麺を打って親鳥で出汁をとって家で鳥中華の再現を試みましたが、当然ながら「水車」で食べた味は再現できませんでした。

鳥中華。シンプルで美味

食後はまたすぐに車に乗り、国道48号を通って仙台へと戻ります。国道48号を選んだのは、途中にニッカの宮城峡蒸留所があるから。北海道の余市には何度も行っていますが、宮城峡はそう簡単には来られません。ウイスキーの試飲ができなかったのは残念ですが、場内を散歩してお土産の限定ウイスキーを購入しました。私がウイスキーを好きになったにはニッカの「フロムザバレル」という商品を飲んで感銘を受けたからですが、フロムザバレルは最近はめっきり売っているのを見なくなりましたね。宮城峡にもなかったので、ひょっとするとそのうち終売になってしまうかもしれません。

蒸留所がこの旅最後のスポット。あとは仙台駅に友人を送り届け、私は仙台空港でレンタカーを返却して2泊3日の東北旅行が終了しました。

ニッカの宮城峡蒸留所。桜が綺麗

東北にはまだまだ行ってみたいところがたくさんあるし、そもそも福島競馬場にももっといたかった。私の気性と東北はすごくマッチしていると感じました。次はいつになるかなー。妻も久々に山形に行きたいと言っているし、また馬券を当てて東北旅行を計画したいと思います。

東北いいとこ、おすすめです。

 

栗東編集局 丹羽崇彰

丹羽崇彰(調教担当)

1989年2月1日生まれ。岐阜県出身。2013年、キズナがダービーを勝った年にケイバブックに入社。普段は栗東坂路の調教や編集作業を担当。夏は北海道(函館→札幌)で働いてます。

私の1週前と担当している赤塚TMとちょっと内容被っちゃいました。
でも北陸と東北とエリアが違うので、まぁOKということにしてください。
いつか国道1号を起点から終点まで走破することが目標なんですが、楽しそうなのは国道4号かなと思いました。何日あっても足りる気がしませんが。ちなみに北海道の国道5号は走破済みです。