こんにちは、障害戦大好きおじさんです。
3月29日の三木ホースランドパークJSは、小牧加矢太騎手騎乗のレッドバロッサ(セン6歳、栗東・佐藤悠厩舎)が勝ちました。昨年8月17日の新潟4Rで平場オープンを勝っていて、これでオープンは2勝目。テイエムタツマキに次ぐ斤量61キロを背負いながらも3馬身の差をつける快勝でした。

「まだ、もっと突き放せるくらいの余力があったのに、ラスト50mくらいで馬がヤメちゃってるんです。そこまでは見せムチだったのに、抜け出してからムチを入れたのは、そういう面を見せたから。まだ伸びしろはありますね」
レース翌週、手綱を取った小牧騎手が振り返ってくれました。61キロで勝てば、斤量面からは自然とレースの選択肢が重賞になってきます。相手は更に強くなりますが、伸びしろがあるなら期待を抱かずにはいられません。

さて、今回気になったのはそのレッドバロッサの馬装。見慣れない頭絡をしていたのです。
早速、小牧騎手に聞いてみました。あの頭絡、なんですか?
「『ミックレム』っていいます。顔の神経だったり血管の通りだったり、そういうものを考慮されて作られた頭絡なんです。馬にやさしい感じはしますね」
馬具による大きな効果は馬にかかるストレスとトレードオフ、というイメージを持っていただけに、負担をかけずに効果を得られる馬具があるということに驚かされました。
「やさしく、抑えないといけないところを抑えられる。強いものをつけたら馬って抵抗するんですが、馬からの抵抗がない形で馬を御せるんです。それが合わない馬ももちろんいると思うんですけど、レッドバロッサにはめちゃくちゃハマりました」
これまで、小牧騎手が騎乗していない馬が競馬で使ったことはちらほらあったようですが、競馬で頻繁に使われているイメージのない頭絡ですから、そこに行きつくまでには紆余曲折があったことでしょう。

「レッドバロッサは今まで、頭絡だけじゃなくて、いろいろ変えたりしてたんですよ。ハミはこの馬だけでめちゃめちゃ変えました。4回くらい変えてて。毎回馬装が違うんです。それぐらい難しい馬なんです。今回はこれがハマったから、とりあえずは次もこの感じで」
今回の勝利は、その試行錯誤の賜物ということでしょう。次走の目標は京都ハイジャンプとのこと。長い距離、17個の障害と最難所の三段跳びが待ち受ける難しいコースですが、三段跳び自体は昨年秋の京都ジャンプSで経験済み(4着)。今回掴んだきっかけが、更に上のステージへの足掛かりとなることを期待したいと思います。

栗東編集局 坂井直樹
坂井直樹(調教・編集担当)
昭和56年10月31日生 福岡県出身 O型
この三木ホースランドパークJSでミックレム頭絡が目についた人は他にもいたようで、「あの頭絡、何なん?って。調教で試しながらですけど、使いたいっていう平地のジョッキーもいるんです」と小牧加騎手は教えてくれました。それが誰なのかまでは教えてくれませんでしたが、「『ウォーリーを探せ』の感覚で探してみてください」だそうですので、みなさん、目を皿のようにしてパドックを見ましょうね。「1本買います?(笑)」とおすすめされましたが、私には使い道がありませんので丁重にお断りしておきました。