一般社会と違って、競馬の世界は3月が新学期。開催日で言うと、新規ジョッキーは3月1日から。新規調教師は1週遅れて3月8日からのデビューとなった。自分の場合は調教班なのでこれらの人たちに取材をするという場面はほぼないのだが、それでも調教班なりの注目点や楽しみというのはある。
新人ジョッキーの場合、トレセンでの調教時は黄色いヘルメットを着用する。雨が降らない限り、服装も所属厩舎のユニフォームを着ているので、そこまで判別に困ることはない。むしろ2年目を迎えたジョッキーが黄色帽からどんな青色帽(2年目以降は青いヘルメットになる)に替わるのかというのが注目ポイント。柴田裕騎手、吉村誠騎手、橋木太騎手は普通の青帽だったので分かりやすいが、高杉史騎手が艶のあるダークブルーみたいなものにしてきた。このタイプのヘルメットは若手の中で流行っているのだろうか。鮫島駿騎手が最初にやり始めたように思うが、最近では田口貫騎手もそれにした。たまに栗東に乗りに来る三浦皇騎手もこのタイプ。これが実に分かりづらくて、調教取材で騎乗者も記さないといけない調教班からすると、なかなか厄介。4枠での競馬の時みたいな、どっからどう見ても「青」という帽色にしてくれたら嬉しいのだが、特に縛りもなさそうなのでブームが去ってくれるのを静かに待つしかない。
新規の厩舎がどんなユニフォームになり、馬装をしてくるのかというのはいつもちょっと楽しみ。今期は一気に6つもの厩舎が開業したから覚えるのも最初は大変。まず最も注目を集めそうな初の女性調教師の前川厩舎。これは明るい水色でユニフォームも馬服も統一。見た目にも非常に爽やかで好印象。順位というものを勝手につけると、個人的にはこれが1位。秋山厩舎は基本的に黒ベースだが、馬服とユニフォームの背中にAというアルファベットをあしらったマークが。騎手時代にもこのマークがデザインされたジャンパーを作っておられたので(自分も持っていてよく着ていた)、馴染みがありスッと入ってきた。井上智厩舎はユニフォームには特徴がないものの、馬服が白とエンジ色?の派手なチェック模様。まあ分かりやすくていい。加藤公厩舎はベージュと白のツートンカラーのユニフォームが特徴的。ちょっと角田厩舎っぽい感じがあるが、デザインははっきりと違うので戸惑うことはない。東田厩舎は青ベースでユニフォームの上の部分が迷彩色みたいなデザイン。これもよく分かる。佐藤悠厩舎が一番目立たないような感じで、ほぼ紺にオレンジのラインが控えめに配されている感じ。自分が一口で持った2歳馬がこの厩舎に入る予定なので、目立つユニフォームであってほしかったのだが。まあ落ち着いていて、悪くないと言えば悪くないか。
あとは新規厩舎がどのあたりの時間帯に追い切るのかも重要事項。何せ朝一番の坂路は大混雑で馬名を控えるのもひと苦労。どの厩舎も坂路を使わないということは考えづらいので、できたらバラけて追い切ってほしいもの。そうなったらそうなったで、休む間がまったくなくなってしまうのだが。水曜以外でどの日に速い時計を出してくるかも注目ポイント。ここまで見ていると、前川厩舎は金曜にやるようだ。
トレセン以外で3月に変わったことといえば阪神競馬場だろう。今週で3週目。なかなか時間がなく、まだじっくりと場内を歩けてはいないのだが、まあスタンド内は綺麗になった。特に驚いたのは5階の馬主席。パドックを見に行った帰りに喫煙所を利用させてもらっているが、そこは別世界といった感じでまるで高級ホテルを思わせるゴージャスさ。安物のスーツは着ているが、係員につまみ出されないかが、ちょっと心配になるくらい。チラッと見た一般指定席もゆったりとした雰囲気になっていたような印象。グルメストリートとかはこれからまた回ってみたいが、飲食に関しては値段もなかなか高級なよう。現金での券売機は激減しているらしく、こうなってくると中高年のファンは足が遠ざかるかもしれない。これからはファミリーやヤングカップルが集う場所になってくるのだろうか。それはそれでちょっと寂しさも感じる。とはいえ、これからは競馬が春のトップシーズンに突入していく時期。新しい騎手、調教師にシン阪神競馬場を多いに盛り上げていただきたいもの。
青木行雄(調教取材担当)
昭和44年8月7日生 大阪府出身 A型
1993年入社。坂路調教担当。北海道開催時と西のローカル開催では本紙予想も担当。開催日はMBSラジオ「GOGO競馬サンデー!」、BS11「BSイレブン競馬中継」に出演。年が明け、1月は福井、2月は宮崎へ行き、今月は札幌。これで上半期の旅行3部作は終了。もう大きいのは秋までない。昨年は競馬開催の日程上、3月には札幌に行くことができなかった。代わりに5月に行ったが、やはり雪が残っている3月の方が個人的には好き。ずっと住んでいる方にとっては雪降ろしなどがあって厄介な存在だと思うが、雪の少ない関西に住んでいると、たまに見る積もった雪にはテンションが上がってしまいます。