厩舎の“先輩”と辿った成長曲線(坂井直樹)

 こんにちは、栗東の障害戦大好きおじさんです。

 11月30日、中山8RイルミネーションジャンプSでアサクサゲンキが勝ちました。22年の小倉サマージャンプ以来、実に2年3カ月ぶりの勝利で、平地を合わせて通算8勝目、障害戦は6勝目。中山では初めての勝利となりました。初めてだったのは中山での勝利だけではありません。手綱をとった小牧加矢太騎手とのコンビでも、これが初めての勝利でした。

 
▲アサクサゲンキの背で人差し指を突き上げる小牧加矢太騎手(24年イルミネーションJS)

「やっと勝ったあ。めっちゃ上手に乗れた」

 勝った翌週、トレセンで小牧騎手に声をかけると、喜びと安堵の入り混じった笑顔と声が返ってきました。デビュー1年目だった2022年、それもキャリア2戦目で騎乗したのがこのアサクサゲンキ。コンビを組むのはこのイルミネーションJSが実に10回目でした。

▲障害を飛越するアサクサゲンキ(24年イルミネーションJS)

 23年の小倉サマージャンプ前、久しぶりにアサクサゲンキへの騎乗が決まった時に小牧騎手から出た言葉を思い出します。

「乗り手の技術がそのまま出る馬。石神さんは上手ですからね。今度は僕次第です」

 アサクサゲンキは小牧騎手と2度目のコンビを組んだあと、22年の新潟JSで鞍上を石神深一騎手へ替え、続く小倉JSで重賞勝ちを収めます。その背にいなかったことに悔しい思いもあったでしょうし、久々のコンビ結成に期するところもあったでしょう。

 アサクサゲンキと小牧騎手との10戦、着順の推移は次の通りです。

4着(22年3月26日 ペガサスJS)

9着(22年4月23日 障害オープン)

4着(23年8月26日 小倉サマーJ)

2着(23年11月11日 京都JS)

8着(24年2月24日 春麗JS)

2着(24年3月16日 ペガサスJS)

3着(24年5月11日 京都HJ)

7着(24年10月13日 東京HJ)

2着(24年11月9日 京都JS)

1着(24年11月30日 イルミネーションJS)

 多少の波はあれ、着実に着順が良くなってきているのがわかります。

「(アサクサゲンキで勝つことが)今年の目標でしたからね。僕の成長ですから」

 これまでにもいろんな馬で「この馬で勝てたらうれしい」というコメントを聞いてきましたが、その中でも一番時間がかかったのがアサクサゲンキ。それだけに、自身の成長に確かな手ごたえを感じていることでしょう。

 先週、インプレスで今年の18勝目を挙げ、障害リーディングにまた一歩近づくことができました。年内はあと5戦。ここまできたら、先頭で走り切ってほしいと思います。

▲アサクサゲンキと初めての口取り(24年イルミネーションJS)

栗東編集局 坂井直樹

坂井直樹(調教・編集担当)
昭和56年10月31日生 福岡県出身 O型
 年が明ければ10歳となるアサクサゲンキですが、小牧騎手は「最後は余力をもって回ってきて、後ろを突き放しましたからね。まだやれますね」と太鼓判。次は2月15日、得意の小倉、年明けに移設された重賞・小倉ジャンプSを視野に調整が進められていくようです。京都JSで戦ったスマイルスルーとの再戦となる見込み。リベンジなるか、人馬の更なる成長に期待しましょう。