こんにちは、すっかり家呑みが定着した栗東の坂井です。

▲届いた「勝鞍記念酒」

 先日、我が家に日本酒が届きました。蛯名正義調教師の騎手引退を記念してつくられた、JRA通算2541勝分の「勝鞍記念酒」です。このお酒のことは、小社ブックログで和田編集員も触れていたのでご存知の方もおられると思います。

 改めてどんな企画かを説明しておきますと、蛯名騎手がJRA初勝利を挙げた1987年4月12日ダイナパッションから、現役最終勝利となった2021年2月28日スマートアルタイルまでのJRA全勝鞍2541の勝鞍ごとに1本ずつ、レースゼッケンを模したラベルに蛯名騎手のサインや馬名、勝利レース名などをプリントした日本酒を発売するというもの。木箱入りでアクリル板のカバーもついていて、呑み終わったあとにはそのまま飾れる仕様となっています。商品には蛯名騎手の全勝鞍の詳細をまとめた小冊子の付録も。蛯名騎手ファンには(日本酒好きにも)垂涎の記念品です。8月5日、醸造元である浦里酒造店さんのツイートを蛯名正義調教師がリツイートする形で発売が発表され、発売前日のインスタライブでは、2541本のなかの1本だけ、ウメノファイバーのオークスのボトルに蛯名調教師が直筆サインを入れました。2541本は10日とかからず完売したそうで、もう発送は始まっていますから、誰かの手元に届いていることでしょう。

 さて「何勝目が届くのかは届いてのお楽しみ」というシステムだったので、私も今や遅しと到着を待ちました。届いたのは、蛯名騎手のJRA通算1255勝目となった2004年5月22日東京6R、勝ち馬はベルモントサンダーです。ポンとスタートを決めて好位のインに収まり、4角では押っつけ押っつけだったもののそこから渋太く、直線1ハロン標で先頭。外の各馬の追い上げを振り切って同馬の2勝目となりました。

▲2004年5月22日東京6Rベルモントサンダー

 ベルモントサンダー自身は中央で準オープンまで昇級したあと、6歳となる2007年に船橋・出川克己厩舎へ転厩します。その緒戦、準重賞のシーサイドCで快勝すると、続く交流重賞・東京杯でリミットレスビッドの3着に健闘。その後も08年川崎のスパーキングサマーCを制するなど第一線で活躍を続けたので、名前を聞いたことのある方は多いでしょう。芝でデビューした同馬が初めてダートに舞台を移したのがこのレース。ダートへの出走を進言したのは、蛯名騎手自身だったようです。

▲勝利翌週の週刊誌から。「速い脚がないからダートを使ってもらった」と蛯名騎手

 この進言がなければこの勝利はなかったかもしれないし、ベルモントサンダー自身のその後も変わっていたかもしれません。そういう意味では、大きな1勝だったと言えるでしょう。

 正直なところ、個人的にはベルモントサンダーについてそれほど大きな思い入れを持っていませんでしたが、今回のこの企画で同馬について改めて調べ、当時のダート短距離戦線を振り返り、主要メンバーの名前を懐かしく思い出すことができました。北海道スプリントCが旭川開催だったことも、これがなければ思い出さなかったかもしれません。いい機会に恵まれました。

 今はまだ冷蔵庫に眠らせてある「勝鞍記念酒」。封を切る日には改めて17年前に思いを馳せつつ、ウメノファイバーのオークスの映像でも観ながら一杯やるつもりです。

▲2004年5月22日東京6R、ベルモントサンダーの口取り

栗東編集局 坂井直樹

坂井直樹(調教・編集担当)
昭和56年10月31日生 福岡県出身 O型
ボトルに詰められた日本酒は茨城の浦里酒造さんの「霧筑波」で、「2014年醸造、7年間氷点下5℃で熟成された秘蔵の本生大吟醸」とのこと。日本酒好きとしても、封を切るのが今から楽しみです。今回届いたベルモントサンダーのレース=2004年は私が入社した年。勝手に運命を感じています。ちなみに、わが心の蛯名騎手ベストコンビはホッカイルソー。