夏競馬。遠征と夏休み気分が相まって、毎年このシーズンはどうしても資金を捻出したいという欲が強くなる。が、そこに立ちはだかる難敵中京競馬場。今週号では、ローカル開催も含めて何十年と現地に出向くベテランTMが「トラックバイアスの傾向が目まぐるしく変化することでは屈指」と言及しているが、週により、日によっても時間帯で刻々と傾向が変わっていく。3週目の先週は芝もダートも明らかな前、内有利。芝はA→Bへのコース替わりの、ダートは雨の影響が大きい。最終週も予報通りならば道悪は避けられず、そうなると本年3回中京は芝、ダートとも良馬場がひと鞍もないということに……。ダートは引き続き超高速決着だろうが(先週はレコードが3つ、1800mでは日本レコード)、芝は非常に予測しづらい。

 フィナーレを飾る日曜メインはサマーマイルシリーズ第1弾でもある中京記念。18年フェアリーS、関屋記念の重賞2勝を制した関東木村厩舎所属のプリモシーンが6月30日に栗東トレセンに入り、ここに照準を置いて調整されており、おそらく1番人気の支持を得るだろう。夏が合うのか、状態は素晴らしく良く見える。中京記念が夏のマイル戦になったのは12年以降。過去7年間の最後の直線シーンを見直すと内から3~4頭目から抜け出した15年のスマートオリオン、内ラチ沿いで粘り通した17年のウインガニオンの2頭を除けば外からの差しで決着しており、最終週らしく内を開けて馬群が横に広がり、外が勢い良く伸びるというのが多い。例年通りならプリモシーンは脚質がマッチする。今年はトラックバイアス、それに付随して枠順も鍵だが、ゲートと折り合いの進境ぶり、鞍上との相性の良さは強調すべき点。極端な外を引かなければ、前走のように中団あたりにつけ、内のいいところを捌いてこられないものかと思う。先週までの傾向なら前へ行くクリノガウディー、グランドボヌール。いずれにせよ、プリモシーン中心の組み立てを考えている。

 ここに辿りつくまでの狙いは、土曜中京7Rと日曜中京7Rの両睨みのタガノブディーノ。中3週に間隔を詰め、短距離2戦目でペース慣れを見込んでいる。中京記念のあとは左回り1400mでトウカイオラージュ。道悪競馬を堪能し、小倉へとつなげて19年の夏を満喫したい。

栗東編集局 山田理子

山田理子(調教・編集担当)
昭和46年6月22日生 愛知県出身 B型
水、木曜のトレセンではCWをお手伝いしながら障害コース、Bコースを採時。日曜は隔週で坂路小屋へ。調教時間が何より楽しく、予想で最重要視するのは数字よりも生身の馬の比較。人気薄の狙い馬、危ない人気馬を常に探している。09年より関西障害本紙を担当。週刊誌では15年より新たに「注目新馬紹介」のまとめ役を引き継ぎ、新馬の観察に一層力が入っている。